タングラム法律事務所

爆サイで開示請求されたら?意見照会書への対応を弁護士が解説

爆サイで開示請求されたら?意見照会書への対応を弁護士が解説

爆サイで開示請求されたら?意見照会書への対応を弁護士が解説

爆サイで開示請求されたら?意見照会書への対応を弁護士が解説

爆サイで開示請求されたら?意見照会書への対応を弁護士が解説

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年9月27日 最終更新日:2026年9月27日

以前、爆サイ.com(爆サイ)の地域掲示板に書き込んだ内容について、契約しているプロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届いた。会員登録もしていない匿名掲示板なのに、なぜ自分のところに書面が来たのか、このまま氏名や住所が相手に知られてしまうのか——。突然の書面に戸惑う方は少なくありません。

この記事では、爆サイの投稿について開示請求を受けた投稿者(発信者)側の立場から、書面が届くまでの仕組み、どのような書き込みが開示の対象になりやすいか、意見照会書への回答の考え方、開示された後の流れと、やってはいけない対応を解説します。

結論から言えば、爆サイの投稿で意見照会書が届いた時点では、まだ氏名・住所は相手に開示されていません。回答書は投稿者が言い分を述べられる実質的に唯一の機会であり、投稿の内容が実体験に基づく事実や意見にとどまるのか、それとも根拠のない断定や個人攻撃なのかによって、同意・不同意の判断とその後の見通しは大きく変わります。回答期限内に、投稿内容を確認したうえで対応を決めることが重要です。

爆サイの投稿で意見照会書が届く仕組み

爆サイの投稿をめぐる開示請求は、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法。2025年4月1日施行。旧プロバイダ責任制限法)に基づく手続です。書き込まれた店舗・従業員・個人が請求する側、書き込んだ人が発信者にあたります。

段階誰から誰へ投稿者から見えること
①IPアドレス等の開示請求被害者 → 爆サイ運営者通常は何も見えない
②経由プロバイダの判明IPアドレスから割り出し通常は何も見えない
③氏名・住所の開示請求被害者 → 回線事業者―
④意見照会回線事業者 → 回線契約者意見照会書が郵送で届く
⑤開示の可否の判断回線事業者・裁判所開示されれば氏名・住所が相手に渡る

爆サイは会員登録なしで書き込める「投稿型」の掲示板で、運営者は投稿ごとのIPアドレスとタイムスタンプを記録しているとされています。アカウントに紐づく通知が届く仕組みではないため、投稿者が手続を知るのは、多くの場合④の意見照会書が最初です。①の段階は、運営者が裁判外の請求に応じる場合もあれば、裁判所の発信者情報開示命令(情プラ法8条)を経る場合もあります。

回線事業者は、開示請求を受けたとき、原則として発信者の意見(応じるべきでないとする場合はその理由を含む)を聴かなければならないとされており(同法6条1項)、これが意見照会書の根拠です。手続全体の流れは開示請求されたらどうなるか(意見照会から損害賠償までの流れ)でも解説しています。

意見照会書が届くのは「回線の契約者」です。自宅のWi-Fiを家族が使っていた場合や、勤務先の回線から書き込んだ場合には、実際の投稿者ではない人のもとに届くことがあります。勤務先への影響については開示請求されたら会社にバレるかをご覧ください。

開示が認められやすい爆サイの書き込み

開示が認められるには、投稿によって請求者の権利が侵害されたことが明らかであることなどが必要です(情プラ法5条1項)。爆サイでは、次のような投稿が問題になりやすい傾向があります。

  • 根拠のない事実の断定——「あの店の○○は客から金をだまし取っている」「不倫している」など、社会的評価を下げる具体的な事実(名誉毀損)
  • 私生活の暴露——本名・住所・勤務先・家族関係・過去の経歴など(プライバシー侵害)
  • 執拗な人格攻撃——容姿や人格をおとしめる表現の繰り返し(名誉感情の侵害)
  • 源氏名・あだ名での書き込み——実名がなくても、スレッドの地域・店舗名などから本人と分かれば対象になり得る(同定可能性)

一方で、名誉毀損にあたる事実の摘示であっても、公共の利害に関する事実について公益目的で書かれ、真実であることが証明されれば違法性がないとされ、真実と信じるにつき相当の理由があれば故意・過失が否定されます(最高裁昭和41年6月23日判決・民集20巻5号1118頁)。また、「接客が雑」「二度と行かない」といった意見・論評は、前提事実が重要な部分で真実であり、人身攻撃に及ぶなど論評の域を逸脱していなければ違法性を欠くとされています(最高裁平成9年9月9日判決・民集51巻8号3804頁)。掲示板ごとの手続の特徴は掲示板・SNS別の削除・投稿者特定のページでも整理しています。

意見照会書が届いたら最初に確認すること

回答期限は2週間程度とされることが多く、時間の余裕はあまりありません。まず次の点を確認してください。

  • 差出人と回答期限——どの回線事業者から、いつまでに回答を求められているか
  • 対象の投稿——スレッド名・レス番号・投稿日時・本文。複数の投稿がまとめて対象になっていないか
  • 侵害されたとされる権利——名誉権、プライバシー、名誉感情、営業上の利益など
  • 自分の投稿か——投稿日時に自分がその回線を使っていたか、家族や同居人の可能性はないか
  • 開示を求められている情報——氏名・住所・電話番号・メールアドレスなど

爆サイは同じスレッドに何度も書き込めるため、対象の投稿が自分のものか記憶があいまいなこともあります。心当たりが薄いまま投稿を認めると、後で訂正するのは困難です。

開示に同意する・しないの判断

回答書は通常「開示に同意する」「開示に同意しない」の選択式で、同意しない場合は理由を記載します。

回答想定される展開
同意する回線事業者が任意に開示し、氏名・住所が請求者に渡る。その後、損害賠償請求や示談交渉に進むことが多い
同意しない回線事業者は任意開示を控えるのが通常。請求者が裁判所の開示命令を求めるかどうかを判断する
回答しない言い分が記録に残らないまま手続が進む。有利に働くことはない

不同意と回答しても、裁判所が要件を満たすと判断すれば開示命令が出されます。この場合、回線事業者は、開示に反対していた発信者に対し、原則としてその旨を通知しなければなりません(情プラ法6条2項)。開示命令の決定に不服がある当事者は、告知から1か月以内に異議の訴えを提起できます(同法14条1項)。

不同意の理由は、「真実である」「体験に基づく感想である」「対象者を特定できない」といった点を、投稿の文言に即して具体的に書くことが大切です。基本は意見照会書の回答書を自分で書く方法で解説していますが、書き方次第で投稿者であることや不利な事情を自ら認める結果になりかねません。当事務所の意見照会対応のページもあわせてご覧ください。

開示された後に起きること

氏名・住所が開示されると、多くの場合、請求者の代理人弁護士から損害賠償を求める通知書が届きます。根拠は不法行為(民法709条・710条)で、慰謝料に加えて、投稿者の特定に要した調査費用や弁護士費用相当額が請求されるのが一般的です。

慰謝料の水準については、法務省が令和8年に公表した「インターネット上の名誉権侵害等の損害賠償額等に関する調査報告書」で、分析対象の裁判例における慰謝料の中央値が30万円程度と示されています。ただし実際の請求額はこれを大きく上回ることもあります。損害賠償請求権は、被害者が損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効により消滅します(民法724条)。

やってはいけない対応

  • 書面を放置する——反論の機会を自ら手放すことになります
  • 爆サイで反論や謝罪を書き込む——新たな投稿が別の権利侵害と評価されたり、投稿者であることの裏付けになったりするおそれがあります
  • 相手の店舗や本人に直接連絡する——トラブルが拡大するおそれがあります

よくある質問

爆サイの投稿を削除すれば、開示請求は止まりますか。

止まるとは限りません。請求する側は投稿画面を保存したうえで手続に入るのが通常で、削除しても既に生じた損害賠償請求権は消えません。被害の拡大を防ぐ意味はありますが、削除だけで手続が取り下げられるとは考えないほうがよいでしょう。

会員登録していない匿名の書き込みでも、本当に特定されるのですか。

特定される可能性があります。爆サイは投稿ごとにIPアドレス等を記録しているとされ、そこから回線事業者が判明すれば、契約者の氏名・住所の開示請求に進めます。意見照会書が届いたのは、手続が回線事業者の段階まで進んでいるということです。

同じスレッドに書いた他の人の投稿まで、自分の責任になりますか。

原則として、責任を問われるのは自分が書いた投稿についてです。意見照会書に記載された投稿のうち、自分が書いていないものがあれば、その旨を明確に回答することが重要です。ただし、他の投稿者と共同して特定の人を攻撃したと評価される場合には、責任の範囲が問題になることがあります。

開示に同意しないと、心証が悪くなって不利になりませんか。

開示に同意しないことは法律上認められた正当な対応で、それ自体が不利に扱われるものではありません。理由を具体的に述べておけば、判断材料として考慮される可能性があります。

まとめ

爆サイは会員登録不要の匿名掲示板ですが、IPアドレス等から回線事業者をたどることができ、投稿者には意見照会書という形で最初の通知が届きます。この段階ではまだ氏名・住所は開示されていません。

実体験に基づく事実や意見であれば、真実性や意見・論評の枠組みで争う余地があります。他方、根拠のない断定や私生活の暴露にあたる場合には、開示を前提に示談の見通しを立てるほうが結果的に負担を抑えられることもあります。方針は投稿の文言と事実関係によって変わるため、自己判断で回答する前に、横浜のタングラム法律事務所など、この分野を扱う弁護士に相談することをおすすめします。

爆サイの投稿で意見照会書が届いた方へ

タングラム法律事務所(横浜)では、発信者情報開示請求に係る意見照会への対応について、豊富な取扱い実績を有しております。回答期限が短いことが多いため、書面が届いたらお早めにご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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