タングラム法律事務所

相手の氏名・住所が判明した後に注意すること|時効と接触方法

相手の氏名・住所が判明した後に注意すること|時効と接触方法

相手の氏名・住所が判明した後に注意すること|時効と接触方法

相手の氏名・住所が判明した後に注意すること|時効と接触方法

相手の氏名・住所が判明した後に注意すること|時効と接触方法

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年9月27日 最終更新日:2026年9月27日

弁護士会照会や発信者情報開示請求によって、ようやく相手の氏名と住所が分かった。長い時間と費用をかけてたどり着いた情報だけに、「すぐにでも相手に会って話をしたい」「家族や職場にも知らせたい」と感じる方もいらっしゃると思います。しかし、ここでの行動を誤ると、請求が難しくなるだけでなく、ご自身が責任を問われることにもなりかねません。

この記事では、相手の氏名・住所が判明した後に注意すべきこととして、時効、相手への接触の仕方、判明した情報の扱い方、請求方法の選び方を、横浜の弁護士が解説します。

結論として、相手の氏名・住所が判明した時点から損害賠償請求権の3年の時効が進み始める可能性があるため、速やかに請求に着手することが大切です。一方で、相手の自宅を訪ねたり、家族や職場、SNSに知らせたりすると、ご自身が責任を問われるおそれがあります。請求は内容証明郵便や訴訟など、法的な手続で進めてください。

相手が判明した時点から時効が進む可能性がある

不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効により消滅します(民法724条)。最高裁は、「加害者を知った時」とは、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知った時をいうと判断しています(最判昭和48年11月16日民集27巻10号1374頁)。

つまり、相手の氏名・住所が分からない間は3年の期間が進まないと考えられる一方で、判明した時点から進み始める可能性があります。特定までに時間がかかった事案では、20年の期間にも注意が必要です。時効が迫っている場合は、内容証明郵便などで催告すると、その時から6か月間は時効の完成が猶予されます(民法150条1項)。

やってはいけない相手への接触

行為問題になり得ること
相手の自宅や勤務先を訪ねるトラブルの拡大、住居への立入りや面会の強要などの問題
相手の家族や職場に知らせる名誉毀損、プライバシー侵害
SNSやネット上で相手の名前を公表する名誉毀損、プライバシー侵害
「払わなければ会社にばらす」などと伝える脅迫・恐喝などの問題

正当な請求であっても、方法を誤ると、相手から逆に損害賠償を請求されたり、刑事上の責任を問われたりするおそれがあります。相手と感情的なやり取りになると、交渉がまとまりにくくなるという実際上の不利益もあります。

判明した情報の扱い方

弁護士会照会や発信者情報開示請求で得られた情報は、受任している事件の目的、つまり相手への請求のために使うものです。依頼者の方が弁護士から相手の氏名・住所を知らされた場合も、それを請求以外の目的に使わないようにしてください。

照会の回答で判明した住所は、携帯電話の契約時やアカウント登録時のものであるため、現在の住所と異なることがあります。受任している弁護士は、職務上請求により住民票などを取得して、現在の住所を確認できる場合があります。電話番号から住所を調べる仕組みは電話番号から氏名・住所を調べる方法で、LINEからの特定の全体像はLINEしか知らない相手を特定する方法で解説しています。

請求方法の選び方

方法向いている場面
内容証明郵便による請求まず請求の意思を明確に伝え、相手の反応を見る。時効の完成猶予にもなる
示談交渉相手が責任を認めており、金額や支払方法を話し合える場合
調停裁判所で話し合いたい場合
訴訟相手が無視する、責任を否定する、金額で折り合わない場合

多くの場合は、内容証明郵便による請求から始め、相手の反応に応じて交渉か訴訟かを選びます。インターネット上の誹謗中傷について投稿者を特定した後の流れは、発信者情報開示請求で投稿者を特定した後はどうする?で解説しています。相手方特定の手続全般は、発信者情報開示請求・削除請求の取扱分野のページもご覧ください。

相手の反応ごとの対応

相手が請求を無視する場合

内容証明郵便に返答がない場合は、訴訟を検討します。訴状が届いても相手が答弁書を出さず、期日にも出席しない場合は、原告の主張を認める判決が出されることがあります。

相手が反論してくる場合

相手が事実関係を争ったり、「既婚者と知らなかった」「もう返した」などと主張したりする場合は、手元の証拠で反論できるかを検討します。証拠の内容によって、交渉で解決するか、訴訟で判断を求めるかが変わります。

相手から直接連絡が来た場合

弁護士が代理人として請求している場合に、相手が依頼者の方に直接電話やメッセージをしてくることがあります。その場で金額や条件に応じたり、感情的なやり取りをしたりすると、交渉が複雑になるおそれがあります。直接の連絡には応じず、「弁護士に任せているので、弁護士に連絡してください」とだけ伝え、やり取りの記録を弁護士に共有してください。

相手が支払を約束した場合

示談書を作成し、金額・支払期限・分割の条件などを明確にします。分割払いの場合は、支払が滞ったときに強制執行できるよう、公正証書にすることも検討します。

よくある質問

相手の住所が分かったので、自宅に行って話をしてもよいですか?

おすすめできません。相手の自宅を訪ねることは、相手の反応によってはトラブルが大きくなり、住居への立入りや面会の強要などを理由にご自身が責任を問われるおそれもあります。請求は内容証明郵便などの書面で行ってください。

判明した相手の名前をSNSで公表してもよいですか?

公表すると、事実であっても名誉毀損やプライバシー侵害にあたるおそれがあります。判明した情報は請求のためにのみ使ってください。

相手の住所が判明しましたが、すでに引っ越しているかもしれません。

受任している弁護士は、職務上請求により住民票などを取得して現在の住所を確認できる場合があります。照会で判明した住所が古い可能性がある場合は、弁護士に相談してください。

相手が請求を無視したらどうなりますか?

訴訟を提起することが考えられます。訴状が届いても相手が答弁書を出さず期日にも出席しない場合、原告の主張を認める判決が出されることがあります。

まとめ

相手の氏名・住所が判明した後は、3年の時効が進み始める可能性があるため、速やかに請求に着手することが大切です。一方で、自宅への訪問や、家族・職場・SNSへの暴露は、ご自身が責任を問われるおそれがあり、交渉にも不利に働きます。判明した情報は請求のためにのみ使い、内容証明郵便・交渉・訴訟といった法的な手続で進めてください。

横浜のタングラム法律事務所では、相手方の特定から特定後の請求まで一貫して対応しています。LINEしか分からない相手方の特定の手続と費用は、LINEしか知らない相手の特定(弁護士会照会)の特設ページをご覧ください。

相手方が判明した後の請求をお考えの方へ

タングラム法律事務所では、相手方の特定から、内容証明郵便・交渉・訴訟による請求まで一貫して対応しております。判明した情報をどう使うかの段階からご相談いただけます。

法律相談の予約はこちら

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

発信者情報開示請求・削除請求について見る

費用と手続の流れを確認する

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。