タングラム法律事務所

法務局に誹謗中傷の削除を頼める?削除要請の流れと弁護士との違い

法務局に誹謗中傷の削除を頼める?削除要請の流れと弁護士との違い

法務局に誹謗中傷の削除を頼める?削除要請の流れと弁護士との違い

法務局に誹謗中傷の削除を頼める?削除要請の流れと弁護士との違い

法務局に誹謗中傷の削除を頼める?削除要請の流れと弁護士との違い

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月23日 最終更新日:2026年10月23日

ネット上の誹謗中傷を見つけたとき、「いきなり弁護士に頼むのは敷居が高い」「まずは公的な機関に相談できないか」と考える方は少なくありません。法務局がプロバイダ等に削除を求めることがあると知り、どこまで対応してもらえるのか気になっている方もいるでしょう。

この記事では、横浜の弁護士が、法務局に誹謗中傷を相談した場合に受けられる対応(削除依頼の方法の助言と、法務局からの削除要請)、相談の方法と流れ、法務省が公表している令和7年の統計、そして法務局の手続ではできないことと弁護士に依頼する場合との違いを、一次情報に沿って整理します。

結論として、法務局は、被害者の相談を受けて削除依頼の方法を助言するほか、調査の結果、名誉毀損やプライバシー侵害などの人権侵害に当たると認めた場合にはプロバイダ等へ削除を要請することがあります。ただし、要請は裁判所の命令のような強制力を持つものではなく、投稿者の特定や損害賠償請求もできないため、投稿者を特定したい場合や確実な削除を求めたい場合は、発信者情報開示請求や削除の仮処分といった裁判手続を検討することになります。

法務局(人権擁護機関)が誹謗中傷に対してできること

法務省の人権擁護機関(法務省人権擁護局と、全国の法務局・地方法務局)は、人権を侵害されたという方からの申告などをきっかけに、人権侵犯事件として調査・救済の手続を行っています。この手続は、人権侵犯事件調査処理規程(平成16年法務省訓令第2号)に基づくものです。インターネット上の誹謗中傷について、法務省のウェブサイトでは主に次の2つの対応が案内されています。

対応内容
援助(削除依頼の方法の助言)プロバイダ等への削除依頼の方法を助言し、相談者自身が被害の回復を図れるよう手助けする
要請(法務局からの削除要請)被害申告などに基づき調査し、人権侵害に当たると認めた場合に、法務局がプロバイダ等へ削除を要請する

法務省の広報誌でも、自分で削除を依頼することが難しい場合や、プロバイダ等が削除依頼に応じなかった場合に、法務局が調査を行ったうえで削除要請をすることがあると説明されています。対象となる人権侵害の例として、法務省は、個人への誹謗中傷や名誉・プライバシーの侵害、SNS等でのネットいじめ、リベンジポルノなどを挙げています。

法務局への相談方法|横浜地方法務局・インターネット窓口・電話・LINE

法務省のウェブサイトでは、次の相談方法が案内されています。神奈川県にお住まいの方の場合、電話は横浜地方法務局につながります。

  • 最寄りの法務局・地方法務局の窓口での相談
  • インターネット人権相談受付窓口(24時間受付)
  • みんなの人権110番(0570-003-110。最寄りの法務局につながります)
  • LINEによる人権相談(SNSから各法務局の人権相談を利用できます)

相談の際は、投稿のURL、投稿日時やアカウント名が分かるスクリーンショット、自分で削除依頼をした場合はその経過を用意しておくとスムーズです。法務局以外の相談先(警察や違法・有害情報相談センター等)との違いは、ネット誹謗中傷の相談先まとめ——警察・弁護士・公的機関、どこに相談すべきかでも整理しています。

法務局に相談してから削除要請までの流れ

一般的な流れは次のとおりです(事案により進み方は異なります)。

段階内容
1. 相談・被害申告窓口・電話・インターネット・LINEで相談し、投稿の内容や被害状況を伝える
2. 助言(援助)まずは被害者自身でプロバイダ等に削除を求める方法について助言を受けることが多い
3. 調査自分での削除依頼が難しい場合や応じてもらえない場合に、法務局が調査を行う
4. 削除要請人権侵害に当たると判断した場合に、法務局からプロバイダ等へ削除を要請する
5. プロバイダ等の判断要請を受けたプロバイダ等が、削除するかどうかを検討する

情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会が作成した「情報流通プラットフォーム対処法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」(第7版、令和7年5月)では、法務省人権擁護機関から、侵害情報等の必要な事項を特定したうえで削除の依頼を受けた場合のプロバイダ等の対応が定められています。同ガイドラインは、依頼に従った削除は多くの場合、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)3条2項1号の「他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき」に当たるとしつつ、必ず免責されるわけではないとも述べており、最終的な判断はプロバイダ等に委ねられています。

統計から見る実情|令和7年の削除要請は349件

法務省が令和8年3月24日に公表した「令和7年における『人権侵犯事件』の状況について(概要)」によれば、インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件の状況は次のとおりです。

項目(令和7年)件数
新規に救済手続を開始した件数1,569件(前年比138件減)
処理した件数1,572件(前年比338件減)
うちプロバイダ等への「要請」349件

同資料では、処理件数のうち「援助」が約4割、「要請」が約2割とされています。法務局が直接削除を要請する事案は一部で、助言による対応のほうが多いことが分かります。なお、同資料には要請後に実際に削除された割合は示されていません。

法務局の手続の限界|投稿者の特定や損害賠償はできない

法務局の手続には、次のような限界があります。

  • 投稿者の特定はできない:法務局の手続で投稿者の氏名や住所が明らかになるわけではありません。投稿者を特定するには、裁判所を通じた発信者情報開示請求が必要です
  • 損害賠償(慰謝料)の請求はできない:慰謝料を求めるには、投稿者を特定したうえで、交渉や訴訟を行う必要があります
  • 要請に強制力はない:削除要請は裁判所の命令とは異なり、削除するかどうかはプロバイダ等の判断になります
  • 時間の見通しが立てにくい:調査の期間は事案によって異なり、その間にプロバイダのアクセスログの保存期間が過ぎてしまうと、後から投稿者を特定することが難しくなるおそれがあります

投稿者の特定を少しでも考えている場合は、ログが残っているうちに開示請求の準備を始める必要があります。

法務局・自分での削除申出・弁護士への依頼の使い分け

削除を求める方法は、法務局への相談だけではありません。大規模なSNS等の事業者には、情プラ法により、被害者本人からの削除の申出に対して、一定の期間内(法律上は申出の日から14日以内で総務省令が定める期間)に削除するかどうかを通知する義務が課されています。申出の具体的な手順は、情プラ法の削除申出とは|大手SNS・掲示板に削除を求める手順で解説しています。

方法向いているケースできないこと
法務局への相談削除だけを望み、まずは公的機関の助言を受けたい投稿者の特定、損害賠償、強制的な削除
自分での削除申出違反が明らかな投稿を早く消したい投稿者の特定、損害賠償
弁護士への依頼投稿者を特定したい、慰謝料を請求したい、削除に応じてもらえない(費用がかかり、結果は事案によって異なる)

弁護士に依頼した場合は、裁判所に対する削除の仮処分や発信者情報開示命令の申立てにより、法的な手続で削除や投稿者の特定を求めることができます。手続の全体像は、当事務所の発信者情報開示請求・削除請求のページをご覧ください。なりすましアカウントやSNSでの誹謗中傷にお困りの方は、SNSなりすまし・誹謗中傷への対応の特設ページもご参照ください。弁護士費用の目安は、ネット誹謗中傷の弁護士費用相場で解説しています。

よくある質問

法務局に相談すれば、誹謗中傷の投稿は必ず削除されますか?

必ず削除されるわけではありません。法務局は、調査の結果、人権侵害に当たると認めた場合にプロバイダ等へ削除を要請しますが、要請には強制力がなく、削除するかどうかはプロバイダ等の判断になります。

法務局に相談すると、投稿者が誰か教えてもらえますか?

教えてもらうことはできません。法務局の手続は投稿者を特定するためのものではないため、投稿者を特定したい場合は、裁判所を通じた発信者情報開示請求を行う必要があります。

法務局への相談と弁護士への依頼は、同時に進めてもよいですか?

並行して進めること自体は可能です。ただし、投稿者の特定を考えている場合はログの保存期間との関係で時間が限られるため、早めに弁護士に相談し、手続の順序を検討することをおすすめします。

神奈川県に住んでいる場合、どこに相談すればよいですか?

みんなの人権110番(0570-003-110)に電話すると最寄りの法務局につながり、神奈川県内からであれば横浜地方法務局が対応します。インターネット人権相談受付窓口やLINEでの相談も利用できます。

まとめ|削除だけなら法務局、特定や賠償まで考えるなら弁護士へ

  • 法務局は、誹謗中傷の削除依頼の方法を助言(援助)し、人権侵害に当たると認めた場合はプロバイダ等へ削除を要請します
  • 令和7年は、インターネット上の人権侵害情報に関する処理件数1,572件のうち、要請が349件でした
  • 削除要請に強制力はなく、投稿者の特定や損害賠償請求は法務局の手続ではできません
  • 投稿者を特定したい場合は、ログの保存期間があるため、早めに発信者情報開示請求の準備を始めることが大切です

どの方法を選ぶべきかは、削除だけでよいのか、投稿者の責任まで問いたいのかによって変わります。横浜のタングラム法律事務所では、弁護士が投稿の内容とご希望を伺い、法務局や自分での削除申出で足りるのか、裁判手続まで進めるべきかを含めて方針をご提案しています。

誹謗中傷の削除や投稿者の特定でお悩みの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷の削除請求・発信者情報開示請求から、損害賠償請求、刑事告訴まで、多数のご相談に対応してきました。法務局に相談したものの削除されない方、投稿者を特定したい方は、お早めにご相談ください。

法律相談の予約はこちら

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

発信者情報開示請求・削除請求について見る

費用と手続の流れを確認する

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。