タングラム法律事務所

既婚者マッチングアプリの不倫と慰謝料|利用だけで不貞になるか解説

既婚者マッチングアプリの不倫と慰謝料|利用だけで不貞になるか解説

既婚者マッチングアプリの不倫と慰謝料|利用だけで不貞になるか解説

既婚者マッチングアプリの不倫と慰謝料|利用だけで不貞になるか解説

既婚者マッチングアプリの不倫と慰謝料|利用だけで不貞になるか解説

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月23日 最終更新日:2026年10月23日

「夫のスマホに既婚者向けマッチングアプリの通知が来ていた」「アプリで知り合った既婚者との関係が相手の配偶者に知られ、慰謝料を請求された」。既婚者の利用を前提にしたアプリであっても、法律上の責任がなくなるわけではありません。

この記事では、既婚者マッチングアプリの利用が不貞行為にあたる場合、ダブル不倫の扱い、証拠を残す際の注意点を、請求する側・請求された側の双方の視点から横浜の弁護士が解説します。

結論として、既婚者マッチングアプリに登録したり、メッセージをやり取りしたりしただけでは、直ちに不貞行為にあたるとはいえません。しかし、アプリで知り合った相手と肉体関係を持てば、通常のケースと同様に不貞行為となり、配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。「既婚者同士の割り切った関係」という合意は、それぞれの配偶者に対しては意味を持たない点に注意が必要です。

既婚者マッチングアプリの利用は違法?まず押さえておきたい前提

既婚者向けのマッチングアプリを運営すること自体や、それを利用すること自体を直接禁止する法律はありません。問題になるのは、アプリをきっかけに生じた関係が、民法上の不法行為(民法709条、710条)にあたるかどうかです。

不貞慰謝料の根拠について、最高裁平成8年3月26日判決(民集50巻4号993頁)は、配偶者と第三者が肉体関係を持つことが不法行為となるのは、それが婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害する行為だからであると述べています。つまり、判断の基準は「アプリの種類」ではなく、「夫婦の婚姻共同生活の平和を侵害したといえるか」です。

また、不貞な行為は法定の離婚原因の一つでもあります(民法770条1項1号)。どこからが不貞行為にあたるかの基本的な考え方は、不貞行為の定義とどこからが不貞にあたるのかの記事で解説しています。

アプリでの行為ごとに見る不貞行為・慰謝料の可能性

既婚者マッチングアプリでの行為を段階ごとに整理すると、慰謝料が問題になる可能性は次のように考えられます。

行為の段階不貞行為・慰謝料の可能性(目安)
登録・プロフィール作成のみそれだけで不貞行為にあたるとはいえず、慰謝料の支払義務が生じる可能性は低い
メッセージのやり取り・食事原則として不貞行為にはあたらないが、内容や頻度によっては夫婦関係悪化の一因と評価され得る
恋愛感情を伴う親密な交際(いわゆるセカンドパートナー)肉体関係がなくても、態様によっては婚姻共同生活の平和を侵害する不法行為と判断される余地がある
肉体関係を持った不貞行為にあたり、配偶者から慰謝料を請求される可能性が高い

「セカンドパートナー」なら大丈夫?

既婚者向けアプリでは、肉体関係を持たない「セカンドパートナー」という言葉が使われることがあります。しかし、肉体関係の有無だけで違法性が決まるわけではなく、頻繁な密会や恋愛感情を伝えるやり取りなど、関係の態様によっては不法行為が認められる余地があります。肉体関係がない場合の考え方は、プラトニック不倫(肉体関係なし)でも不貞慰謝料は請求できるかの記事をご覧ください。

「既婚者同士の割り切った関係」でも慰謝料は発生する

「お互い既婚者で、家庭を壊さないと約束していたのだから問題ない」と考える方もいますが、慰謝料を請求する権利を持つのは、交際した当事者ではなく、それぞれの配偶者です。当事者同士の合意で、配偶者の権利を放棄させることはできません。

不倫相手も、相手が既婚者であると知りながら肉体関係を持てば、不倫をした配偶者と共同して不法行為責任を負うと解されています(最高裁昭和54年3月30日判決・民集33巻2号303頁、民法719条1項)。既婚者向けアプリでは、相手が既婚者であることを前提に知り合うため、「既婚者とは知らなかった」という反論は通常認められにくいと考えられます。

双方が既婚者の場合はダブル不倫になる

二人がともに既婚者の場合、それぞれの配偶者が慰謝料を請求できる立場に立ち、四者の間で請求が交錯することがあります。この場合の対応はダブル不倫で相手の配偶者から慰謝料を請求された場合の記事で詳しく解説しています。

慰謝料が認められにくい・減額されやすいケース

アプリで知り合った関係であっても、次のような事情があれば、慰謝料が認められない、または減額される可能性があります。

  • 肉体関係を立証できない:メッセージの内容から肉体関係が推認できない場合、請求が認められないことがあります
  • 婚姻関係がすでに破綻していた:前掲の最高裁平成8年判決は、婚姻関係がその当時すでに破綻していた場合には、特段の事情のない限り不法行為責任を負わないとしています。ただし、破綻の認定は慎重に行われる傾向にあります
  • 時効が完成している:損害及び加害者を知った時から3年、不貞行為の時から20年で時効により消滅します(民法724条)

不貞慰謝料の金額は、一般に数十万円から300万円程度の幅で判断されることが多いといわれていますが、個別の事情によって大きく異なります。アプリで知り合ったことそれ自体が、金額を大きく増減させる要素になるとは限りません。

請求する側:アプリでの不倫の証拠を残す方法と注意点

証拠として考えられるのは、アプリ上のメッセージや写真、待ち合わせのやり取り、ホテルの利用を示す記録などです。メッセージは、相手の表示名・日時が分かる形で画面ごと撮影して残すのが基本です。

配偶者のIDやパスワードを無断で使ってアプリのサービスにログインする行為は、不正アクセス禁止法(3条)に違反するおそれがあります。違法な方法で得た証拠は、交渉上も不利に働くことがあります。

また、アプリで知り合った相手については、ニックネームやLINEのアカウントしか分からないことも少なくありません。相手の本名や住所が分からない場合でも、弁護士会照会により特定できる可能性があります。詳しくはLINEしか知らない相手の特定(弁護士会照会)のご案内をご覧ください。なお、照会先が回答に応じない場合もあり、必ず特定できるとは限りません。

請求された側:慰謝料を請求されたときの対応

既婚者向けアプリで知り合った相手の配偶者から慰謝料を請求された場合は、次の点を確認したうえで対応を検討します。

  • 請求の根拠となる事実(肉体関係の有無・期間・回数)が正確か
  • 相手方がどのような証拠を持っているか
  • 相手の夫婦関係が当時どのような状態だったか
  • 自分の配偶者からも請求を受けるおそれがないか(ダブル不倫の場合)

慌てて事実を認める書面に署名したり、言われるままに支払ったりすると、後で争うことが難しくなります。当事務所では、慰謝料を請求する側・請求された側のいずれのご相談もお受けしています。取扱いの内容は不貞慰謝料請求の取扱分野ページでご紹介しています。マッチングアプリ全般の不倫と慰謝料については、マッチングアプリでの不倫と不貞慰謝料請求の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

既婚者マッチングアプリに登録しただけで慰謝料を請求されますか?

登録したことやメッセージのやり取りをしたことだけで、直ちに不貞行為にあたるとはいえず、慰謝料の支払義務が生じる可能性は低いと考えられます。ただし、夫婦関係の悪化の一因として離婚の場面で考慮されることはあり得ます。

「既婚者同士の割り切った関係」なら慰謝料は発生しませんか?

発生し得ます。慰謝料を請求できるのは、交際した本人同士ではなく、それぞれの配偶者です。当事者同士が割り切った関係だと合意していても、配偶者の権利を処分することはできないため、肉体関係があればそれぞれの配偶者から請求を受ける可能性があります。

アプリで知り合った相手の本名や住所が分かりません。請求できますか?

ニックネームやLINEのアカウントしか分からない場合でも、弁護士会照会などの方法により相手を特定できる可能性があります。ただし、照会先が回答に応じない場合もあり、必ず特定できるとは限りません。時効との関係もあるため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

配偶者のスマホにログインしてアプリのメッセージを確認しても問題ありませんか?

配偶者のIDとパスワードを無断で使ってアプリのサービスにログインする行為は、不正アクセス禁止法に違反するおそれがあります。証拠を集める際は、違法な方法を避け、入手方法について事前に弁護士に相談することが望ましいといえます。

まとめ

  • 既婚者マッチングアプリの利用自体を禁止する法律はなく、登録やメッセージだけで直ちに不貞行為になるとはいえない
  • アプリで知り合った相手と肉体関係を持てば不貞行為となり、配偶者から慰謝料を請求される可能性がある
  • 肉体関係のない「セカンドパートナー」でも、態様によっては不法行為と判断される余地がある
  • 「既婚者同士の割り切った関係」という合意は、それぞれの配偶者の請求権には影響しない
  • 証拠集めでは、配偶者のアカウントへの無断ログインなど違法な方法を避ける

既婚者向けアプリをめぐる不倫は、相手の特定や四者間の調整が必要になるなど、解決が複雑になりがちです。弁護士に依頼すれば、証拠の評価から交渉、示談書の作成までを一貫して任せることができます。横浜を拠点とするタングラム法律事務所では、慰謝料を請求する側・請求された側の双方からのご相談に対応しています。

既婚者マッチングアプリをめぐる不倫・慰謝料のお悩みはご相談ください

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料の請求する側・請求された側の双方について、示談交渉から訴訟まで数多くの事件を取り扱っております。アプリで知り合った相手の特定や、慰謝料を請求された場合の対応について、お早めにご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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