タングラム法律事務所

公式リセールと転売の線引き|ローチケ・イープラス・ぴあの仕組み

公式リセールと転売の線引き|ローチケ・イープラス・ぴあの仕組み

公式リセールと転売の線引き|ローチケ・イープラス・ぴあの仕組み

公式リセールと転売の線引き|ローチケ・イープラス・ぴあの仕組み

行けなくなった公演のチケットを手放したい。転売サイトに出せば違法になるのか、公式のリセールなら問題ないのか——この線引きが分からないまま、転売サイトに出品してしまい、後日、意見照会書を受け取る方がいます。

この記事では、公式リセールが法律上どう位置づけられるのか、主要なプレイガイド(ローチケ・イープラス・ぴあ)の仕組みはどうなっているのか、公式リセールが使えない場合に何が問題になるのかを、横浜の弁護士が整理します。

条文の要件から見ると、公式リセールは二重に外れる

チケット不正転売禁止法第2条第4項は、「特定興行入場券の不正転売」を次のように定義しています。

興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの

公式リセールは、興行主(または興行主等)が用意した仕組みの中で行われる譲渡です。したがって、「興行主の事前の同意を得ない」という要件を満たしません。さらに、後述のとおり定価での再販が原則ですので、「販売価格を超える価格」という要件も満たしません。

2つの要件から外れる以上、第3条(不正転売の禁止)の対象にはなりません。要件の詳細はチケット転売はどこから違法か|不正転売禁止法の要件を条文で整理で解説しています。

主要プレイガイドの仕組み

サービス 運営 仕組みの特徴
ローチケ リセール ローソンエンターテイメント 行けなくなった購入者が定価で再販。ローチケ電子チケットアプリが必要。購入希望者は抽選制で、申込みがなければ成立しない
イープラス 定価リセール イープラス 申込み履歴から出品する。「リセール対象公演」と表示されている公演のみ出品が可能
チケットぴあ リセール ぴあ 売りたい人と買いたい人をつなぐ再販売サービス。購入者は主催者が定める定価で購入できる。公演によっては対象外

細部は各社で異なりますが、共通しているのは①価格が定価に固定されていること、②対象となる公演が限られること、③必ず売れるとは限らないことの3点です。

業界公認のリセールは終了している

音楽業界の団体が公認する公式リセールとして2017年6月に開始された「チケトレ」は、2025年6月30日をもってサービスを終了しています(サービスの構築・運用・管理はぴあが受託していました)。

「公式リセールといえばチケトレ」という認識のまま調べて、見つからずに転売サイトへ流れる、という経路が生じ得ます。現在は、購入したプレイガイドごとのリセール機能を確認するのが基本です。

公式リセールが使えない場合

ここが実際に問題になる場面です。対象公演でない、期間が過ぎた、アプリの条件を満たさない——といった理由で、公式の仕組みが使えないことがあります。その場合の選択肢を整理すると、次のようになります。

  • 手放さない:損は出ますが、法律上も規約上も問題は生じません
  • 知人に定価以下で譲る:法律の要件(販売価格を超える価格)からは外れます。ただし、主催者の規約で譲渡自体が禁じられている場合、規約違反の問題は残ります
  • 転売サイトに定価以下で出す:同上。法律の要件からは外れますが、規約違反と、それに基づく請求の問題は残ります
  • 転売サイトに定価を超えて出す:要件に近づきます。現在、開示請求が集中しているのはこの類型です

定価以下での譲渡と手数料の扱いはチケットを定価以下で譲るのは違法かで詳しく扱いました。

「法律に触れないこと」と「請求を受けないこと」は別です。興行主が現在行っている発信者情報開示請求は、刑事の要件ではなく、民事上の権利侵害を理由とするものです。2026年3月18日の東京地方裁判所の判決は、転売出品が興行主の営業権を侵害すると判断したと公表されています(判決の意味はこちら)。

すでに転売サイトに出してしまった方へ

出品を取り消しても、サイト側の記録は残ります。アカウントを削除すると、かえってご自身が出品内容を確認できなくなります。取引履歴と入金記録を手元に残したうえで、書面が届いた場合に備えるのが現実的です。

どのサイトに出したかによって、その後の進み方も変わります。チケット流通センターチケジャムについては、それぞれ個別の記事にまとめました。書面が届いた場合の全体像はチケット転売で意見照会書が届いたら、この段階の取扱いは当事務所の意見照会対応のページ、弁護士に依頼した場合の取扱いの範囲と費用はチケット転売の発信者情報開示請求への対応のページで扱っています。

よくある質問

公式リセールで手数料を差し引かれました。これは「定価を超える」ことになりますか。

公式リセールは興行主等が用意した仕組みの中で行われる譲渡であり、そもそも「興行主の事前の同意を得ない」という要件を満たしません。手数料の扱いを理由に不正転売とされることは、通常考えられません。

リセールに出したのに売れませんでした。転売サイトに出してもよいですか。

法律の要件との関係では、定価を超えなければ第3条の対象にはなりません。もっとも、主催者の規約で譲渡が禁じられている場合、規約違反として入場拒否や請求の問題が残ります。公演のルールをご確認ください。

友人に定価で譲るのは問題ありませんか。

販売価格を超えない譲渡は、法律の要件から外れます。ただし、本人確認や同行者登録が必要な公演では、名義が一致せず入場できないことがあります。この点は法律の問題とは別に確認が必要です。

公式リセールを使えば、後から請求されることはありませんか。

興行主が用意した仕組みを使った譲渡について、その興行主が権利侵害を主張することは、通常考えにくいところです。もっとも、各サービスの利用条件に反する使い方をした場合は別の問題が生じ得ます。

まとめ

  • 公式リセールは「興行主の事前の同意」と「定価」の2点で、不正転売の要件から外れる
  • ローチケ・イープラス・ぴあのいずれも、価格は定価に固定され、対象公演が限られる
  • 業界公認の「チケトレ」は2025年6月30日に終了している
  • 公式リセールが使えない場合、定価以下なら法律の要件からは外れるが、規約違反の問題は残る
  • 現在の開示請求は刑事の要件ではなく、民事上の権利侵害を理由に行われている

すでに書面が届いている方は、記載された期限の日付をお知らせいただければ、対応の可否をその場で判断しやすくなります。横浜のタングラム法律事務所まで、オンラインで全国からご相談いただけます。

チケット転売を理由とする発信者情報開示請求について、対応の流れと弁護士費用はチケット転売の意見照会対応の詳細をご覧ください。

転売サイトへの出品について書面が届いた方へ

タングラム法律事務所(横浜・山下公園)は、チケット転売を理由とする発信者情報開示請求について、意見照会書への回答書の作成・内容確認から、開示後の損害賠償請求への対応・示談交渉まで取り扱っています。オンラインで全国からご相談いただけます。回答期限がある場合は、その日付をお知らせください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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