タングラム法律事務所

遺産分割調停の呼出状が届いたら?欠席のリスクと対応を弁護士が解説

遺産分割調停の呼出状が届いたら?欠席のリスクと対応を弁護士が解説

遺産分割調停の呼出状が届いたら?欠席のリスクと対応を弁護士が解説

遺産分割調停の呼出状が届いたら?欠席のリスクと対応を弁護士が解説

遺産分割調停の呼出状が届いたら?欠席のリスクと対応を弁護士が解説

ある日突然、家庭裁判所から分厚い封筒が届き、中に「遺産分割調停」の申立書の写しと期日への呼出状が入っていた——。相続について兄弟姉妹とやり取りはあったものの、まさか裁判所から書類が来るとは思っていなかった、という方は少なくありません。「訴えられたのだろうか」と不安になるのは当然のことです。

もっとも、遺産分割調停は相手を罰する手続ではなく、遺産の分け方を話し合うための手続です。ただし、放置してよい書類ではありません。この記事では、横浜で相続紛争を取り扱う弁護士が、呼出状が届いたときの確認事項、欠席した場合のリスク、出席できないときの対応、相手方の立場で臨む際の注意点を整理します。

遺産分割調停の呼出状とは?届く書類の中身

遺産分割調停は、遺産の分け方について相続人の間で話合いがつかない場合に、相続人のうちの1人または何人かが、他の相続人全員を相手方として家庭裁判所に申し立てる手続です(裁判所「遺産分割調停」)。申立てがされると家庭裁判所は期日に事件の関係人を呼び出すことができるとされており(家事事件手続法258条1項が準用する同法51条1項)、その通知が「呼出状」「期日通知書」と呼ばれる書面です。

封筒には通常、呼出状のほか、申立書の写し、遺産目録や相続関係を示す資料、裁判所が回答を求める照会書などが同封されています。まずは申立書を読み、「誰が」「どの遺産について」「どのような分割を」求めているのかを把握してください。手続全体の流れは遺産分割調停の申立て方法・流れ・期間で解説しています。

呼出状が届いたらまず確認すべき5つのこと

確認事項見るべきポイント
①期日の日時・場所出席できるかを早めに判断する
②担当部署と連絡先連絡・期日変更の申出先。電話で連絡する
③当事者の範囲相続人が全員当事者になっているか。漏れは分割の効力に影響する
④対象とされた遺産遺産目録の漏れ・誤り、自分の固有財産の混入がないか
⑤回答書の提出期限同封書面には返送期限がある。期限を守ることが心証にも影響する

なお、家事調停事件は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者が合意で定めた家庭裁判所が管轄します(家事事件手続法245条1項)。相手方が複数いる場合はそのうちの1人の住所地の裁判所に申し立てられるため、自宅から遠い裁判所が指定されることもあります。

調停を欠席するとどうなる?3つのリスク

リスク1:5万円以下の過料に処せられることがある

呼出しを受けた事件の関係人は期日に出頭しなければならず(家事事件手続法258条1項が準用する同法51条2項本文)、正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は5万円以下の過料に処するとされています(同条3項)。1回の欠席で直ちに過料が科されることは実務上多くありませんが、そうした制裁が法律上用意された手続であることは知っておくべきです。

リスク2:調停が不成立となり、審判へ自動的に移行する

より現実的で重いのはこちらです。調停委員会は、合意が成立する見込みがない場合には、調停が成立しないものとして事件を終了させることができます(家事事件手続法272条1項)。遺産分割は同法の別表第二に掲げられた事項であるため、調停が不成立になったときは、調停申立ての時に審判の申立てがあったものとみなされ、自動的に審判へ移行します(同条4項)。裁判所の手続案内にも「話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され」ると明記されています。

審判では、裁判官が一切の事情を考慮して分割方法を決めます。欠席を続ければ、その不動産に住み続けたい事情や、生前に負担した介護の実情が記録に現れないまま判断される可能性が高くなります。審判の内容は遺産分割審判の流れと判断基準をご覧ください。

リスク3:不利な前提が固まってしまう

出席しなければ、遺産の範囲や不動産の評価について申立人側の主張だけが積み上がります。家庭裁判所は、調停が成立しない場合に相当と認めるときは職権で「調停に代わる審判」をすることもできます(家事事件手続法284条1項)。反論の機会を自ら手放す不利益は小さくありません。

調停で当事者間に合意が成立し、これが調書に記載されたときは、その記載は確定した審判と同一の効力を有します(家事事件手続法268条1項)。「その場の空気で了承しておこう」という対応が最も危険です。

出席できない事情があるときの3つの選択肢

①電話会議・ウェブ会議で参加する

家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いたうえで、裁判所および当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、期日における手続(証拠調べを除く)を行うことができます(家事事件手続法258条1項が準用する同法54条1項)。この方法で関与した人は、期日に出頭したものとみなされます(同条2項)。遠隔地に住んでいる場合の有力な選択肢です。利用の可否は裁判所が判断するため、担当書記官に早めに相談してください。

②期日変更を申し出る

指定された日にどうしても都合がつかないときは、放置せず、呼出状に記載された担当部署に速やかに連絡してください。無断欠席と、事前に事情を説明したうえでの日程調整とでは、手続上の扱いも調停委員会の受け止め方も大きく異なります。

③代理人に出席してもらう

やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができます(家事事件手続法258条1項が準用する同法51条2項ただし書)。この手続代理人は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほかは、原則として弁護士でなければなりません(同法22条1項)。弁護士に依頼すれば、期日への出席から主張書面の作成、遺産の評価に関する反論までを一貫して任せられます。当事務所の取扱いは相続・遺産分割の解決サポートのページにまとめています。

相手方の立場で調停に臨むときの注意点

調停を「やめさせる」ことはできない

家事調停の申立ての取下げができるのは申立人であり(家事事件手続法273条1項)、相手方の側から手続を終わらせることはできません。しかも遺産分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から10年を経過した後は、相手方の同意を得なければ効力を生じません(同条2項)。話合いのテーブルから降りるという選択肢は、事実上ないと考えたほうがよいでしょう。

10年の期間制限を意識する

相続開始の時から10年を経過した後にする遺産分割では、原則として特別受益・寄与分を考慮した具体的相続分によることができず、法定相続分等による分割となります(民法904条の3)。生前に多額の援助を受けた相続人がいる、長年親の療養看護を担ってきたといった事情を主張したい方にとって、時間の経過は不利に働き得ます。詳しくは遺産分割の10年ルールをご覧ください。

他の期限との関係も確認する

相続税の申告期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内(相続税法27条1項)、相続登記の申請期限は所有権の取得を知った日から3年以内(不動産登記法76条の2)とされています。調停が長引くほど、これらの期限との調整が必要になります。

相続税の要否・計算・申告方法は個別の事情によって大きく異なります。税務の具体的なご判断については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

第1回期日までにしておきたい準備

  • 相続関係の確認:申立書記載の相続人の範囲に誤りがないかを戸籍で確認する
  • 遺産目録の突合:通帳や納税通知書と照らし、遺産の漏れや評価の誤りを洗い出す
  • 主張したい事情の整理:特別受益・寄与分・居住継続の必要性を、裏づけ資料とともに時系列で書き出す
  • 希望する分割方法の検討:現物分割・代償分割・換価分割のどれを望むかを整理する

よくある質問

呼出状を無視して欠席し続けるとどうなりますか?

正当な理由なく出頭しないときは5万円以下の過料に処せられることがあります(家事事件手続法258条1項が準用する同法51条3項)。加えて調停が不成立になれば自動的に審判へ移行し(同法272条1項・4項)、あなたの言い分が反映されないまま裁判官が分割方法を決めることになります。

調停には弁護士を付けずに一人で出席しても問題ありませんか?

本人だけで出席することもできます。ただし成立した合意は確定した審判と同一の効力を持ち(家事事件手続法268条1項)、後から覆すことは容易ではありません。特別受益・寄与分・不動産の評価などの争点がある事案では、弁護士にご相談ください。

分割に納得できないので、調停そのものをやめさせることはできますか?

できません。取下げができるのは申立人であり(家事事件手続法273条1項)、遺産分割の調停については相続開始の時から10年を経過した後は相手方の同意がなければ取下げの効力が生じません(同条2項)。応じないという選択は、審判で分割が決まる結果につながります。

まとめ

  • 正当な理由のない欠席には5万円以下の過料の定めがある(家事事件手続法258条1項・51条3項)
  • 調停が不成立になれば自動的に審判へ移行し、裁判官が分割方法を決める(同法272条1項・4項)
  • 出席が難しいときは、電話会議・ウェブ会議の利用、期日変更の申出、代理人の選任という選択肢がある
  • 相手方から調停を取り下げさせることはできず、10年の経過は特別受益・寄与分の主張に不利に働き得る(民法904条の3)

調停委員は中立の立場であり、あなたの利益のために主張を組み立ててくれる存在ではありません。特別受益や寄与分、不動産の評価が争点になる事案では、早い段階で弁護士に相談し、第1回期日から一貫した方針で臨むことが結果を左右します。当事務所は横浜・山下公園の法律事務所として、紛争性のある相続案件に継続的に取り組んでいます。

家庭裁判所から遺産分割調停の呼出状が届いた方へ

タングラム法律事務所(横浜・山下公園)では、遺産分割や遺留分侵害額請求など、紛争性のある相続案件を数多く取り扱っております。呼出状が届いた段階でのご相談も承っており、期日への出席、主張書面の作成、遺産の評価に関する反論まで一貫して対応いたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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