「被害金を取り戻せる」に注意|投資・ロマンス詐欺の二次被害
「被害金を取り戻せる」に注意|投資・ロマンス詐欺の二次被害
執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年9月26日 最終更新日:2026年9月26日
投資詐欺やロマンス詐欺でお金をだまし取られ、どうにか取り戻せないかと検索していたところ、「被害金を取り戻せます」「返金実績多数」という広告が目に入った。問い合わせると、すぐにLINEで契約書が送られてきて、着手金の支払を急かされた――。いま、詐欺の被害者がもう一度お金を失う「二次被害」が問題になっています。
この記事では、詐欺の被害者を狙う二次被害の典型的な手口と、弁護士会が注意を呼びかけている依頼のパターン、そして弁護士などに依頼する前に確認すべき点を、横浜の弁護士が解説します。
結論として、投資詐欺やロマンス詐欺の被害回復は、相手方の特定や財産の確保が難しく、結果を約束できるものではありません。「必ず取り戻せる」と断言したり、面談をせずに契約や支払を急かしたりする勧誘には応じず、依頼する前に弁護士本人と直接面談し、見込みと費用の説明を受けることが大切です。
詐欺の被害者を狙う「二次被害」とは
二次被害とは、詐欺の被害者が、被害を取り戻そうとする過程で、さらに金銭を失ってしまうことをいいます。被害者の「何としても取り戻したい」という気持ちにつけ込むため、一度目の詐欺と同じように、冷静な判断が難しい状況で起こりやすいのが特徴です。
警察庁によれば、令和7年のSNS型投資詐欺の被害額は約1,288.0億円、SNS型ロマンス詐欺は約546.4億円にのぼり、被害者の数が増えるのに伴って、二次被害の標的となる人も増えています。LINEで勧誘される投資詐欺の実態は、LINEで勧誘された投資詐欺|相手のアカウントは特定できるのかで解説しています。
典型的な二次被害の手口
業者が返金を持ちかけるもの
消費者庁は、投資系トラブルの二次被害について、次のような勧誘に注意するよう呼びかけています。
- 「返金を受けるには、別の投資商品を購入する必要がある」
- 「国の救済制度により返金を受けられる」
- 「返金手続を代行する」
見知らぬ業者から、被害回復を名目に金銭を求められたり、新たな投資を勧められたりした場合は、きっぱりと断ることが大切です。
被害回復の依頼をめぐるもの
神奈川県弁護士会は、ロマンス詐欺・投資詐欺の被害回復の依頼について、十分な見通しの説明を受けないまま、相当額を回収できると思い違いをして高額な着手金を支払い、さらに経済的損失を被る事例が増えているとして、注意を呼びかけています。
弁護士会が注意を呼びかけている依頼のパターン
神奈川県弁護士会は、次のような場合に特に注意するよう呼びかけています。
- 広告に表示された弁護士本人が面談せず、事務職員だけが対応する
- 弁護士としての登録上の連絡先と異なる電話番号で対応している
- LINEなどを通じて電子委任契約書を送り、委任契約や着手金の支払を急かしてくる
このほか、「成功率○%」「必ず取り戻せる」といった断言や、着手金が高額なのに具体的な手続や見込みの説明がない場合にも、注意が必要です。
依頼する前に確認すべきこと
| 確認すること | 確認の方法 |
|---|---|
| 相手が本当に弁護士か | 日本弁護士連合会の「弁護士情報検索」で氏名・登録番号・事務所の連絡先を照合する |
| 弁護士本人と話せるか | 契約前に、弁護士本人と直接面談(オンラインを含む)できるかを確認する |
| 何をしてくれるのか | 口座凍結の申出、相手方の特定、訴訟など、具体的な手続を説明してもらう |
| 見込みはどうか | 相手方を特定できない可能性や、回収できない可能性について説明を受ける |
| 費用はいくらか | 着手金・報酬金・実費を書面で確認し、回収できなかった場合の負担も確認する |
不安がある場合は、最寄りの弁護士会が設ける法律相談を利用し、別の弁護士の意見を聞くことも有効です。
詐欺の被害回復で現実にできること
被害に気づいた直後であれば、振込先の金融機関に連絡して口座の凍結を求めることが最も重要です。口座に残高が残っていれば、振り込め詐欺救済法に基づく被害回復分配金の手続で、一部が戻る可能性があります。あわせて警察にも相談してください。
一方、LINEのアカウントなどから相手を特定しようとしても、詐欺に使われるアカウントは他人名義の携帯電話や海外の電話番号で登録されていることが多く、実際の加害者の特定や最終的な被害回復に至らない可能性が高いのが実情です。当事務所でも、LINEしか分からない相手方の特定を取り扱っていますが、詐欺の類型については、この点をご依頼の前に必ずご説明し、本案のご依頼をお引き受けできない場合もあります。インターネット上の相手方特定の手続全般は、インターネット問題の取扱分野のページをご覧ください。
被害届の考え方については、被害届が受理されない理由と対処法も参考になります。
よくある質問
「国の救済制度で返金を受けられる」という連絡が来ました。本当ですか?
口座凍結後の被害回復分配金の制度はありますが、手続は金融機関や預金保険機構の公告を通じて行われ、見知らぬ業者に手数料を払って申し込むものではありません。消費者庁も、国の救済制度をうたって金銭を求める業者に注意するよう呼びかけています。
着手金を払えば必ず返金されると言われました。依頼しても大丈夫ですか?
詐欺の被害回復は、相手方の特定や財産の確保が難しく、結果を約束できるものではありません。「必ず」「成功率○%」と断言する説明には注意が必要です。依頼する前に、見込みと費用について書面で説明を受けてください。
依頼しようとしている弁護士が本物か確認する方法はありますか?
日本弁護士連合会のウェブサイトにある弁護士情報検索で、氏名や登録番号、事務所の所在地・電話番号を確認できます。広告の連絡先と登録上の連絡先が異なる場合は注意してください。
一度だまされた後、別の業者にもお金を払ってしまいました。どうすればよいですか?
まずそれ以上の支払をやめ、支払の記録や相手とのやり取りを保存してください。そのうえで、警察や消費者ホットライン188、最寄りの弁護士会の法律相談に相談してください。
まとめ
投資詐欺やロマンス詐欺の被害者を狙い、「被害金を取り戻せる」と持ちかけて金銭を求める二次被害が起きています。返金をうたう業者の勧誘には応じず、弁護士に依頼する場合も、弁護士本人と直接面談し、見込みと費用について十分な説明を受けてから判断してください。被害に気づいたら、まず振込先の金融機関と警察に連絡することが大切です。
横浜のタングラム法律事務所では、弁護士が直接お話を伺い、相手方の特定や被害回復の見込みを率直にご説明しています。相手方の特定の手続と費用、詐欺の類型に関する注意事項は、LINEしか知らない相手の特定(弁護士会照会)の特設ページをご覧ください。
詐欺被害について弁護士への相談をお考えの方へ
タングラム法律事務所では、ご相談の際に弁護士が直接お話を伺い、相手方の特定や被害回復の見込みを率直にご説明しています。見込みが乏しい事案では、ご依頼をお勧めしないこともあります。
法律相談の予約はこちら※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。