LINEで勧誘された投資詐欺|相手のアカウントは特定できるのか
LINEで勧誘された投資詐欺|相手のアカウントは特定できるのか
執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年9月25日 最終更新日:2026年9月25日
SNSの広告から「投資の勉強会」に誘われ、LINEのグループに参加した。講師やアシスタントを名乗る人物に勧められるまま入金を続けたが、出金しようとすると手数料や税金を求められ、最後は連絡が取れなくなった――。手元に残ったのはLINEのアカウントだけ。この相手を特定して、お金を取り戻せないかと考える方は少なくありません。
この記事では、LINEで勧誘された投資詐欺について、相手のアカウントから犯人を特定できるのか、弁護士会照会でできること・できないこと、被害に気づいたらすぐにすべきこと、そして被害者を狙う二次被害への注意点を、横浜の弁護士が率直に解説します。
結論として、弁護士会照会によりLINEアカウントの登録電話番号から契約者の特定を試みることは制度上可能ですが、投資詐欺に使われるアカウントは他人名義の携帯電話や海外の電話番号で登録されていることが多く、実際の加害者の特定や最終的な被害回復に至らない可能性が高いのが実情です。被害に気づいたら、まず振込先の金融機関と警察に連絡してください。
SNS型投資詐欺の現状
警察庁によれば、令和7年(2025年)のSNS型投資詐欺の認知件数は9,523件、被害額は約1,288.0億円、SNS型ロマンス詐欺は認知件数5,645件、被害額約546.4億円で、いずれも前年から大きく増えています(警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」)。
警察庁の資料では、バナー広告やダイレクトメッセージをきっかけに、LINEの投資グループへ誘導される手口が紹介されています。LINEのグループやトークでやり取りが続くため、被害者の手元にはLINEのアカウントしか残らないことが多くなります。
被害に気づいたらすぐにすべきこと
- 振込先の金融機関に連絡する:振込先口座の凍結を求めます。口座に残高が残っていれば、振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)に基づく手続で、被害回復分配金が支払われる可能性があります。
- 警察に相談する:最寄りの警察署、または警察相談専用電話「#9110」に相談します。被害届の考え方は被害届が受理されない理由と対処法も参考になります。
- 証拠を保存する:LINEのトーク・グループの画面、相手のプロフィール画面、振込記録、投資サイトの画面などを保存します。
- 追加の入金をしない:「出金には手数料が必要」「税金を先に払え」といった要求に応じないでください。
時間が経つほど、口座の残高は引き出され、アカウントも削除されていきます。何よりも早く動くことが大切です。
LINEのアカウントから相手を特定できるか
1対1のLINEやグループのやり取りから相手を特定する方法としては、弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会があります。LINEヤフー株式会社に照会して登録電話番号の回答を受け、携帯電話会社に契約者を照会するという2段階の手続です(LINEしか知らない相手を特定する方法)。
しかし、投資詐欺では次のような事情から、この方法で実際の加害者にたどり着ける可能性は高くありません。
- アカウントが、他人名義で契約された携帯電話や、売買された回線で登録されている
- 海外の電話番号で登録されており、国内の携帯電話会社に照会できない
- 照会の時点でアカウントや回線がすでに解約・削除されている
- 名義人を特定できても、その人が実際の加害者ではない、あるいは支払能力がない
また、弁護士会照会は、損害賠償請求などの事件を弁護士が受任していることが前提の制度で、照会先に回答を強制することもできません。インターネット上の相手方特定の手続全般は、インターネット問題の取扱分野のページをご覧ください。
当事務所の対応方針
当事務所では、LINEしか分からない相手方の特定を取り扱っていますが、詐欺の類型については、上記の事情から特定や被害回復に至らない可能性が高いことを、ご依頼の前に必ずご説明しています。相手方の特定をお引き受けした場合でも、特定後の損害賠償請求(本案)については、見込みによってはお引き受けできない場合があります。費用をかけても回収に結びつかないおそれが高い事案では、そのことを率直にお伝えします。
「被害金を取り戻せる」という勧誘に注意
投資詐欺の被害者は、二次被害の標的にもなります。消費者庁は、「返金を受けるには別の投資商品の購入が必要」「国の救済制度で返金を受けられる」「返金手続を代行する」などと持ちかけ、金銭を求める業者に注意するよう呼びかけています。
「必ず取り戻せる」「成功率○%」と断言する勧誘や、被害者の側から依頼していないのに届く連絡には、特に注意が必要です。困ったときは、消費者ホットライン「188」や警察に相談してください。
よくある質問
弁護士に依頼すれば、だまし取られたお金は戻ってきますか?
お約束することはできません。投資詐欺では、他人名義の携帯電話や海外の電話番号、他人名義の口座が使われることが多く、相手方を特定できない、特定できても支払能力がないといった理由で、最終的な被害回復に至らない可能性が高いのが実情です。
振込先の口座を凍結すれば、お金は戻りますか?
口座が凍結され、その口座に残高が残っていれば、振り込め詐欺救済法に基づく手続で被害回復分配金が支払われる可能性があります。ただし、残高がすでに引き出されている場合は分配を受けられません。できるだけ早く振込先の金融機関に連絡してください。
暗号資産(仮想通貨)で送金した場合はどうなりますか?
暗号資産での送金は、銀行口座の凍結のような仕組みが使えず、送金先の特定も難しいことが多いため、被害回復は一層困難です。まずは警察に相談してください。
「返金できる」と連絡してきた業者は信用できますか?
被害者を狙った二次被害の可能性があります。消費者庁は、返金や被害回復を名目に金銭を求めたり、別の投資を勧誘したりする業者に注意するよう呼びかけています。困ったときは消費者ホットライン188に相談してください。
まとめ
LINEで勧誘された投資詐欺について、弁護士会照会によって相手のアカウントの登録電話番号から契約者の特定を試みることは制度上可能です。しかし、他人名義の携帯電話や海外の電話番号が使われていることが多く、実際の加害者の特定や最終的な被害回復に至らない可能性が高いのが実情です。被害に気づいたら、まず振込先の金融機関と警察に連絡し、証拠を保存してください。
横浜のタングラム法律事務所では、見込みを率直にご説明したうえで、相手方の特定のご相談に対応しています。手続と費用の詳細は、LINEしか知らない相手の特定(弁護士会照会)の特設ページをご覧ください(詐欺の類型に関する注意事項も掲載しています)。
LINEでの金銭被害についてご相談をお考えの方へ
タングラム法律事務所では、LINEしか分からない相手方の特定(弁護士会照会)を取り扱っております。詐欺の事案では特定・被害回復の見込みが低いことが多いため、ご依頼の前に見込みを率直にご説明し、お引き受けできない場合もあります。
法律相談の予約はこちら※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。