マッチングアプリの相手が音信不通に|やり取りの記録を残す方法
マッチングアプリの相手が音信不通に|やり取りの記録を残す方法
執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年9月26日 最終更新日:2026年9月26日
マッチングアプリで知り合い、何度も会っていた相手から、ある日突然連絡が来なくなった。アプリのアカウントは消え、LINEも既読にならない。後になって、相手が既婚者だったことが分かった、あるいは貸したお金を返してもらっていないことに気づいた――。いざ請求を考えたときに、手元に証拠が残っていなければ、できることは大きく限られてしまいます。
この記事では、マッチングアプリで知り合った相手が音信不通になったときに備えて、アプリとLINEのやり取りを証拠として残す方法と、その際の注意点を、横浜の弁護士が解説します。
結論として、請求するかどうかを決める前でも、アプリのプロフィールとメッセージ、LINEのプロフィール画面とトーク履歴を、日時と相手の表示名が分かる形で早めに保存しておくことが大切です。アプリを退会したり機種変更したりすると記録を見られなくなることがあるため、保存を済ませてから行動してください。
音信不通になった後に問題になりやすいこと
マッチングアプリで知り合った相手とのトラブルには、次のようなものがあります。
- 独身と偽っていた相手が既婚者だった(貞操権侵害)
- 貸したお金や立て替えたお金を返してもらえない
- 投資や副業を勧められてお金を払った(詐欺の可能性)
いずれの場合も、請求するには「何があったか」を示す証拠と、相手の氏名・住所が必要になります。独身と偽られた場合の請求についてはマッチングアプリの既婚者に慰謝料請求|LINEしか知らない場合で、貞操権侵害の考え方は貞操権侵害とは?独身と偽られた場合の慰謝料請求で解説しています。
保存しておくべき記録
| 記録 | 主に証明できること |
|---|---|
| 相手のアプリのプロフィール(「独身」「未婚」の表示、ニックネーム、写真) | 独身と表示していたこと、相手の同一性 |
| 自分のプロフィール(「既婚者お断り」などの記載) | 既婚者との交際を望んでいなかったこと |
| アプリのメッセージ履歴 | 知り合った経緯、独身かどうかの確認 |
| LINEのプロフィール画面とトーク履歴 | 交際の経過、結婚の話、お金のやり取り |
| 会った日時・場所の記録、写真、予約メール | 交際の実態 |
| 振込・送金の記録 | お金を渡したこと |
特に、独身かどうかを尋ね、相手が否定したやり取りは、貞操権侵害の請求で重要な証拠になります。
記録の残し方
日時と相手の表示名が分かる形で保存する
スクリーンショットは、メッセージの日時と相手の表示名が画面に入るように撮ります。都合のよい部分だけを切り取ると、証拠としての価値が下がることがあるため、前後のやり取りも含めて連続して保存してください。
LINEのトーク履歴はテキストでも保存する
LINEには、トーク履歴をテキストファイルとして保存する機能があります。スクリーンショットとあわせて保存しておくと、やり取りの全体を示しやすくなります。LINEの証拠の残し方の詳細は、LINEの証拠と証拠力を高める残し方もご覧ください。
元のデータを消さない
保存した画像やファイルは、端末とは別の場所(パソコンやクラウドなど)にも保管します。元のトーク履歴やアプリのアカウントは、請求の方針が決まるまで削除しないでください。
退会・ブロック・機種変更の前に確認すること
自分がアプリを退会すると、メッセージ履歴を見られなくなることがあります。相手をブロックしたり、LINEのアカウントを作り直したり、機種変更したりする場合も同様です。気持ちの整理のために関係を断ちたいと思っても、保存を済ませてからにしてください。
また、LINEしか分からない相手を弁護士会照会で特定する場合には、相手のプロフィール画面から通報する必要があります。通報の方法や記録の取り方には注意点があるため、LINEの通報と弁護士会照会の記事を確認し、できれば通報の前に弁護士に相談してください。
時間が経つほど難しくなること
音信不通になった相手への請求は、時間が経つほど難しくなります。相手がLINEのアカウントを削除したり、電話番号を解約したりすると、弁護士会照会による特定に至らない可能性が高まります。また、不法行為に基づく慰謝料の請求権は、損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効により消滅します(民法724条)。
「もう少し様子を見てから」と考えているうちに、手がかりが失われてしまうことも少なくありません。請求するかどうかを決めていない段階でも、記録の保存だけは早めに済ませ、見込みについて一度弁護士に相談しておくと安心です。
証拠を残すときの注意点
証拠を集めようとして、相手のアカウントに勝手にログインしたり、相手の家族や職場に連絡したりすると、不正アクセス禁止法違反やプライバシー侵害などの問題が生じるおそれがあります。保存するのは、自分が正当に見ることのできる記録にとどめてください。
集めた証拠をもとにどのような請求ができるかは、事案によって異なります。男女関係の慰謝料請求の全体像は、不貞慰謝料の取扱分野のページをご覧ください。
よくある質問
スクリーンショットだけで証拠になりますか?
スクリーンショットも証拠になります。ただし、日時や相手の名前が写っていない、前後のやり取りが欠けているといった場合は、証拠としての価値が下がることがあります。日時・相手の表示名が分かる状態で、前後も含めて連続して保存してください。
自分がアプリを退会すると、やり取りは見られなくなりますか?
多くのアプリでは、退会するとメッセージ履歴を見られなくなります。仕様はアプリごとに異なるため、退会の前に必要な画面をすべて保存してください。
相手がアプリを退会しても、運営会社に記録は残っていますか?
運営会社が一定期間記録を保存している場合もありますが、保存期間や開示の方針は事業者ごとに異なり、必ず取得できるとは限りません。手元の記録を残しておくことが何より重要です。
相手の配偶者に証拠を見せてもよいですか?
相手の配偶者に交際の事実や証拠を知らせると、プライバシー侵害などを理由にご自身が責任を問われるおそれがあります。証拠は請求のために使うものと考え、使い方は弁護士に相談してください。
まとめ
マッチングアプリで知り合った相手が音信不通になった場合、後から請求を考えることになっても対応できるよう、アプリのプロフィールとメッセージ、LINEのプロフィール画面とトーク履歴を、日時と相手の表示名が分かる形で早めに保存しておくことが大切です。退会やブロック、機種変更は、保存を済ませてから行ってください。
横浜のタングラム法律事務所では、独身と偽られた交際の慰謝料請求や、LINEしか分からない相手方の特定を取り扱っています。相手方の特定の手続と費用は、LINEしか知らない相手の特定(弁護士会照会)の詳細はこちらをご覧ください。
マッチングアプリの相手とのトラブルでお困りの方へ
タングラム法律事務所では、独身と偽られた交際(貞操権侵害)の慰謝料請求や、LINEしか分からない相手方の特定(弁護士会照会)を取り扱っております。証拠の残し方の段階からご相談いただけます。
法律相談の予約はこちら※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。