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相続の特別寄与料を自分で請求する方法|調停の期限・費用を弁護士が解説

相続の特別寄与料を自分で請求する方法|調停の期限・費用を弁護士が解説

相続の特別寄与料を自分で請求する方法|調停の期限・費用を弁護士が解説

相続の特別寄与料を自分で請求する方法|調停の期限・費用を弁護士が解説

相続の特別寄与料を自分で請求する方法|調停の期限・費用を弁護士が解説

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月5日 最終更新日:2026年10月5日

「義父の介護を何年も続けてきたのに、相続人ではないから何も受け取れないと言われた」。このようなご相談は少なくありません。相続人でない親族の貢献に報いる制度として、2019年(令和元年)7月1日から「特別寄与料」の請求が認められています。

この記事では、特別寄与料を自分で請求する場合の要件、期限、家庭裁判所への調停の申立先・費用・必要書類、申立書の書き方、審判までの流れを解説します。

結論から言うと、特別寄与料は、相続人との話し合いがまとまらなければ家庭裁判所に「特別の寄与に関する処分調停」を申し立てることで、本人でも請求できます。ただし、相続の開始と相続人を知った時から6か月、または相続開始から1年を過ぎると家庭裁判所に請求できなくなるため、何よりも期限の管理が重要です。

特別寄与料とは?相続人でない親族が請求できる制度

特別寄与料は、民法1050条に定められた制度です。被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供し、それによって被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした被相続人の親族(「特別寄与者」)は、相続の開始後、相続人に対して寄与に応じた額の金銭を請求できます(民法1050条1項)。

典型例は、長男の妻が義父母を長期間介護し、ヘルパー費用や施設費用の支出を免れさせたようなケースです。相続人の貢献を考慮する「寄与分」とは別に、相続人でない親族のために設けられた制度です。制度の全体像は特別寄与料の要件・計算・手続の解説記事でも詳しく紹介しています。

なお、令和元年7月1日より前に開始した相続には適用されません。

特別寄与料を請求できる人の要件

自分で手続を始める前に、まず次の要件を満たすかを確認してください。

要件内容・注意点
被相続人の親族であること6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族(民法725条)。子の配偶者や甥・姪などが典型です。内縁の配偶者は含まれません
相続人でないこと相続人、相続放棄をした人、相続欠格・廃除により相続権を失った人は除かれます
無償で労務を提供したこと療養看護(介護)や家業の手伝いなど。報酬を受け取っていた場合は認められにくくなります
財産の維持・増加への特別の寄与通常期待される程度の手助けを超え、介護費用の支出を免れさせた等、財産面での効果があったこと

金銭の援助(費用の立替えなど)は「労務の提供」に当たらない点に注意が必要です。

最も重要な期限|「6か月」と「1年」

家庭裁判所に対する請求は、次のいずれかを経過するとできなくなります(民法1050条2項ただし書)。

  • 特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月
  • 相続開始の時から1年

いずれか早いほうが到来した時点で、裁判所の手続は使えなくなります。この期間は、相続人と話し合いをしている間も進むと考えておくべきです。

相続人に請求の意思を伝えるだけでは、この期限との関係で十分とはいえません。期限が迫っている場合は、話し合いと並行して早めに調停を申し立てておくことをおすすめします。

特別寄与料の調停を自分で申し立てる手順

1.申立先の家庭裁判所

調停は、相手方(相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てます。審判の場合は、相続が開始した地(被相続人の最後の住所地)を管轄する家庭裁判所の管轄です(家事事件手続法216条の2)。相続人が横浜市内に住んでいれば、横浜家庭裁判所が申立先となるのが通常です。

2.費用

項目金額の目安
収入印紙1,200円(相手方・被相続人が複数の場合は人数に応じて増額)
郵便切手裁判所ごとに異なる(申立先の家庭裁判所に確認)
戸籍謄本等の取得費用通数に応じて実費

3.必要書類

  • 家事調停申立書(裁判所用の原本と、相手方の人数分の写し)・当事者目録
  • 申立人と被相続人の親族関係がわかる戸籍謄本
  • 相手方が相続人であることがわかる戸籍謄本
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 進行に関する照会回答書、送達場所等届出書など、裁判所所定の書類

書式と記入例は裁判所ウェブサイトの「特別の寄与に関する処分調停の申立書」のページからダウンロードできます。追加書類(事情説明書など)を求める裁判所もあるため、申立先の案内も確認してください。

申立書の書き方と証拠の集め方

申立書の「申立ての理由」欄には、少なくとも次の事情を具体的に書きます。

  • 被相続人との関係(例:長男の妻)と、同居・別居の状況
  • 寄与の内容・期間・頻度(例:令和○年から○年間、毎日の食事・入浴・排せつの介助)
  • 無償であったこと(報酬や生活費の援助を受けていないこと)
  • 寄与によって財産が維持された事情(介護サービス費用の支出を免れた等)
  • 相続の開始と相続人を知った日(期限内であることを示すため)

主張を裏付ける資料として、要介護認定の通知書、介護サービスの利用記録、主治医の意見書、介護日誌、通院の付き添い記録などを準備しておくと有効です。記憶だけの主張では「家族として当然の範囲」と反論されやすくなります。

請求額については、民法は家庭裁判所が「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して」定めるとしており(民法1050条3項)、遺産から遺贈の価額を控除した残額が上限となります(同条4項)。実務では、寄与分の算定方法を参考に、介護の日当相当額に日数を乗じ、一定の割合で調整する考え方がとられることがあります。

調停の進み方と審判への移行

調停では、調停委員会が双方の事情を聴き、解決案を示すなどして合意を目指します。合意できれば調停成立となり、調停調書の記載は確定した審判と同一の効力を有します(家事事件手続法268条1項)。

話し合いがまとまらず調停が不成立となった場合は、自動的に審判手続に移行し、裁判官が一切の事情を考慮して特別寄与料の額を決めます。審判の流れは遺産分割審判の流れと判断基準の記事も参考になります。相手方が期日に出頭しない場合の進め方は遺産分割調停に相手が来ない場合の解説をご覧ください。

自分で行う場合の限界と弁護士に依頼する違い

特別寄与料の調停は本人でも申し立てられますが、次の点で負担が大きくなりがちです。

  • 「特別の寄与」の立証:家族としての通常の手助けとの線引きが争点になりやすく、裁判例でも寄与が認められない、あるいは低額にとどまる傾向がみられます
  • 期限の管理:6か月という短い期間内に、戸籍の収集から申立書の作成までを終える必要があります

弁護士に依頼すれば、期限を踏まえた申立て、証拠の整理、相続人との交渉や調停期日への同席を任せることができます。当事務所の相続案件への取り組みは相続・遺産分割の取扱分野ページでご紹介しています。

特別寄与料と相続税の注意点

特別寄与料の額が確定すると、特別寄与者はその額を被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります(相続税法4条2項)。申告が必要となる場合、その事由が生じたことを知った日の翌日から10か月以内に申告書を提出します(同法29条1項)。また、子の配偶者など被相続人の一親等の血族・配偶者以外の人は、相続税額の2割加算の対象となる可能性があります(国税庁タックスアンサーNo.4157参照)。

具体的な税額や申告の要否は、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

Q.相続人全員を相手方にしなければいけませんか?

A.各相続人は特別寄与料の額に自分の法定相続分(または指定相続分)を乗じた額を負担するとされているため(民法1050条5項)、一部の相続人だけを相手方として請求することも可能と考えられます。ただし、その場合に請求できるのはその相続人の負担部分にとどまります。全体として回収を図るなら、相続人全員を相手方とするのが一般的です。

Q.相続人と話し合っている間に6か月が過ぎてしまったらどうなりますか?

A.家庭裁判所への請求は、相続の開始及び相続人を知った時から6か月、または相続開始から1年を経過するとできなくなります(民法1050条2項ただし書)。話し合いが続いていても期間は進むと考えておくべきです。期限が近い場合は、協議と並行して調停を申し立てておくことが安全です。

Q.義理の親の介護をした「長男の妻」は請求できますか?

A.長男の妻は被相続人の姻族(1親等)であり親族に当たるため、無償で療養看護をして財産の維持・増加に特別の寄与をしたといえれば、特別寄与者として請求できる可能性があります。報酬を受け取っていた場合や、通常の家族としての手助けの範囲にとどまる場合は、認められにくい傾向があります。

Q.特別寄与料を受け取ったら税金はかかりますか?

A.特別寄与料の額が確定すると、被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります(相続税法4条2項)。申告が必要になった場合は、確定を知った日の翌日から10か月以内に申告します(同法29条1項)。具体的な税額や2割加算の有無は、税理士または税務署にご確認ください。

まとめ

  • 特別寄与料は、無償で介護等をした相続人でない親族が、相続人に金銭を請求できる制度(民法1050条)
  • 家庭裁判所への請求は「知った時から6か月」「相続開始から1年」の早いほうまで
  • 調停は相手方の住所地の家庭裁判所へ。収入印紙1,200円と郵便切手、戸籍謄本等が必要
  • 申立書には寄与の内容・期間・無償性・財産への効果を具体的に記載し、介護記録等で裏付ける
  • 調停不成立なら審判へ移行。受け取った特別寄与料には相続税がかかる場合がある

特別寄与料の請求は期限が短く、「特別の寄与」の立証も簡単ではありません。早めに弁護士へ相談することで、期限を守りながら方法を検討できます。横浜で相続問題に取り組む弁護士として、介護を担ってきた方の貢献が正当に評価されるよう、お手伝いいたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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