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遺留分侵害額請求の訴状が届いたら|答弁書を自分で書く方法と注意点

遺留分侵害額請求の訴状が届いたら|答弁書を自分で書く方法と注意点

遺留分侵害額請求の訴状が届いたら|答弁書を自分で書く方法と注意点

遺留分侵害額請求の訴状が届いたら|答弁書を自分で書く方法と注意点

遺留分侵害額請求の訴状が届いたら|答弁書を自分で書く方法と注意点

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月14日 最終更新日:2026年10月14日

遺言や生前贈与で多くの財産を受け取った後、ほかの相続人から遺留分侵害額請求の訴えを起こされ、裁判所から突然「訴状」が届いた――。封筒の中には口頭弁論期日の呼出状と「答弁書を提出してください」という書面が入っていて、何をいつまでにすればよいのか分からず不安を感じている方も多いと思います。

この記事では、遺留分侵害額請求訴訟の被告になった方が、答弁書を自分で書く場合の基本的な書き方、提出期限と欠席のリスク、主張を検討すべき反論のポイント、そしてご本人で対応する場合の限界について、横浜の弁護士が解説します。

結論から言うと、遺留分侵害額請求の訴状が届いたら、呼出状に記載された期限までに必ず答弁書を提出することが最も重要です。何も出さずに第1回期日を欠席すると、原告の主張を認めたものとして請求どおりの判決が出るおそれがあります。答弁書では請求の棄却を求めたうえで、時効・財産評価・特別受益などの反論を具体的に主張し、必要に応じて分割払い(期限の許与)も求めることになります。

遺留分侵害額請求の訴状が届いたときに最初に確認すること

訴状は通常「特別送達」という方法で届きます。まず次の点を確認しましょう。

確認する書類・事項確認するポイント
事件番号・裁判所「令和○年(ワ)第○号」(地方裁判所)や「(ハ)」(簡易裁判所)などの番号と担当部。問い合わせや提出書類に必ず記載します
口頭弁論期日呼出状第1回口頭弁論の日時と法廷
答弁書の提出期限答弁書催告状などに記載された提出期限
請求の趣旨請求されている金額と遅延損害金の起算日
請求の原因・証拠(甲号証)原告が主張する遺産の内容・評価額、生前贈与、遺留分の計算

遺留分侵害額請求は金銭の支払を求める訴えであり、訴額が140万円を超える場合は地方裁判所、140万円以下の場合は簡易裁判所が第一審となります。なお、遺留分侵害額請求は家庭裁判所の調停を先に行うのが原則とされており(家事事件手続法257条1項)、調停を経ずに訴えが提起された場合には、裁判所が職権で事件を調停に付すことがあります(同条2項)。

答弁書を出さずに欠席するとどうなるか

民事訴訟法159条1項は、当事者が相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなすと定めており、同条3項によりこれは期日に出頭しない場合にも準用されます。裁判所の説明資料でも、被告が言い分を記載した書面を出さずに期日に出頭しない場合、原告の言い分を認めたものとみなされ、請求どおりの判決が出ることがあると案内されています。

一方、答弁書を提出しておけば、第1回の期日に出頭できなかった場合でも、その記載内容を陳述したものとみなされる扱いがあります(民事訴訟法158条)。第1回期日は被告の都合を聞かずに指定されるのが通常ですので、都合がつかない場合でも、答弁書だけは必ず期限内に提出してください。

請求を無視した場合のリスク全般については、遺留分侵害額請求を無視するとどうなるかを解説した記事もご参照ください。

答弁書を自分で書く方法|基本の構成

答弁書の書式は、多くの裁判所が記載例を公開しています。裁判所の案内では、A4判の用紙に横書きで作成し、鉛筆書きは不可とされています。基本的な構成は次のとおりです。

1.表題・事件の表示・当事者

「答弁書」の表題、事件番号、原告・被告の氏名、提出先の裁判所(担当部)、作成日を記載し、被告の住所・氏名・電話番号を書いて押印します。裁判所からの書類の送付先(送達場所)も届け出ます。

2.請求の趣旨に対する答弁

請求に応じられない、または一部しか応じられない場合は、「原告の請求を棄却する」「訴訟費用は原告の負担とする」との判決を求める、と記載するのが一般的です。

3.請求の原因に対する認否

訴状に書かれた事実の一つひとつについて、「認める」「否認する」「知らない」のいずれかを明らかにします。たとえば「第1項は認め、第2項は否認する。第3項は知らない。」のように、対象となる事実を特定して書きます。争いたい事実を認めてしまうと、後から覆すのは容易ではないため、慎重に検討してください。

4.被告の主張(反論)

原告の計算のどこが誤っているのか、どのような事情があるのかを具体的に記載し、裏付けとなる資料があれば証拠(乙号証)として写しを添付します。期限までに十分な反論をまとめられない場合は、まず請求の趣旨に対する答弁を記載して期限内に提出し、詳しい認否・反論は追って準備書面で行う旨を記載する方法もあります。

5.提出部数と相手方への送付

裁判所の案内では、答弁書は裁判所用と原告用の2通を用意し、原告用は被告から原告(代理人弁護士がいる場合はその事務所)へ直接送付することとされています。具体的な送付方法は担当の裁判所に確認するのが確実です。

2026年5月21日に施行された改正民事訴訟法により、弁護士などの訴訟代理人にはオンラインでの提出が義務づけられましたが(民事訴訟法132条の11第1項)、ご本人で手続をする場合は義務づけの対象外で、書面で提出することもできます。

遺留分侵害額請求訴訟で検討すべき主な反論

遺留分侵害額請求訴訟では、次のような点が争点になることが多くあります。

反論のポイント内容
消滅時効遺留分侵害額の請求権は、相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時から1年、相続開始から10年で時効により消滅します(民法1048条)。時効は当事者が援用しなければ裁判所は考慮しないため(民法145条)、該当する場合は答弁書で明確に主張します
遺産の評価不動産や非上場株式などの評価額が高すぎないか。評価の根拠となる資料を確認します
原告が受けた特別受益原告が受けた遺贈や、婚姻・養子縁組のため又は生計の資本としての贈与は、遺留分侵害額から控除されます(民法1046条2項1号)
算入される贈与の範囲相続人以外への贈与は原則として相続開始前1年間、相続人への贈与は相続開始前10年間(婚姻・養子縁組・生計の資本としての贈与に限る)のものが算入されます(民法1044条1項・3項)
相続債務被相続人の借入金などの債務の扱いが正しく計算されているか(民法1046条2項3号)
支払時期(期限の許与)直ちに全額を支払えない場合、裁判所は受遺者・受贈者の請求により、支払について相当の期限を許与することができます(民法1047条5項)

金額の争い方については、遺留分侵害額請求で提示額が高すぎる場合の減額方法を解説した記事で詳しく説明しています。

遠方の裁判所に訴えられた場合と和解の検討

遺留分に関する訴えは、被告の住所地のほか、相続開始の時における被相続人の住所地を管轄する裁判所にも提起できます(民事訴訟法5条14号)。そのため、被告から見て遠方の裁判所に訴えられることもあります。当事者や証人の住所などの事情から、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認められれば、申立てにより他の管轄裁判所へ移送されることがありますが(民事訴訟法17条)、必ず認められるものではありません。

また、遺留分侵害額請求訴訟は、判決に至る前に和解で終わることも少なくありません。答弁書には和解を希望するかどうか、分割払いを希望する場合の月額などを記載する欄を設けている裁判所もあります。支払が難しい場合の対応は遺留分侵害額請求をされて払えない場合の対処法もご参照ください。

なお、遺留分侵害額を支払ったことにより、相続税の申告内容が変わることがあります(更正の請求等)。また、金銭の代わりに不動産などで支払う場合には、譲渡所得課税が問題となることもあります。税金の取扱いは個別の事情によって異なるため、詳細は税理士または税務署にご確認ください。

自分で対応する場合の限界と弁護士に依頼するメリット

答弁書自体はご本人でも作成できますが、遺留分侵害額請求訴訟は、遺産の範囲・評価、生前贈与の有無、特別受益など、法律と証拠の両面で専門的な判断が必要になる争点が多い手続です。認否を誤って不利な事実を認めてしまう、時効の援用を忘れる、評価を争う機会を逃すといったことが、そのまま支払額に影響するおそれがあります。

弁護士に依頼すると、訴状と証拠の精査、反論の組み立て、証拠の収集、和解条件の交渉、期日への出頭までを任せることができます。当事務所の相続分野の取り組みは相続・遺留分侵害額請求の取扱分野ページで、費用の考え方は弁護士費用のページでご案内しています。答弁書の提出期限が迫っている場合でも、早めにご相談いただければ、期限内に提出すべき書面の準備から対応できる場合があります。

よくある質問

答弁書の提出期限までに反論をまとめきれない場合はどうすればよいですか?

請求の趣旨に対する答弁(請求の棄却を求める旨)だけでも期限内に提出しておくことが重要です。詳しい認否や反論は追って準備書面で提出する旨を記載し、裁判所に事情を伝えておく方法があります。何も提出せずに欠席することは避けてください。

遠方の裁判所に訴えられた場合、近くの裁判所に移してもらえますか?

遺留分に関する訴えは、被相続人が亡くなった時の住所地の裁判所にも提起できるため、遠方の裁判所が管轄になることがあります。当事者や証人の住所などの事情から、著しい遅滞を避けるためや当事者間の衡平を図るため必要があると認められれば、移送が認められる可能性があります(民事訴訟法17条)。ただし必ず認められるものではありません。

請求額の一部は払うつもりがある場合、答弁書にどう書けばよいですか?

金額に争いがある場合は、請求の趣旨に対しては請求棄却を求めたうえで、どの部分を争うのかを具体的に記載します。あわせて和解(話し合い)による解決を希望する旨や、分割払い・期限の許与を求める事情を記載しておくことも考えられます。

答弁書は手書きでも構いませんか?オンライン提出は必須ですか?

裁判所の案内では、答弁書はA4判で作成し、鉛筆書きは不可とされています。2026年5月21日に施行された改正民事訴訟法により、弁護士などの訴訟代理人にはオンライン提出が義務づけられましたが、ご本人で手続をする場合は義務づけの対象外で、書面での提出も可能です。具体的な提出方法は担当の裁判所に確認してください。

まとめ|訴状が届いたら期限内の答弁書提出を最優先に

  • 遺留分侵害額請求の訴状が届いたら、事件番号・期日・答弁書の提出期限・請求額をまず確認する
  • 答弁書を出さずに欠席すると、原告の主張を認めたものとみなされ、請求どおりの判決が出るおそれがある
  • 答弁書は「請求の趣旨に対する答弁」「請求の原因に対する認否」「被告の主張」が基本の構成
  • 時効(民法1048条)・遺産の評価・原告の特別受益・算入される贈与の範囲・相続債務・期限の許与などの反論を検討する
  • 争点が専門的で、認否や主張の誤りが支払額に直結するため、早めに弁護士へ相談することが有益

横浜のタングラム法律事務所では、遺留分侵害額請求を受けた側からのご相談もお受けしています。訴状が届いて対応に迷われている方は、提出期限が迫る前にご相談ください。

遺留分侵害額請求の訴状が届いた方へ

タングラム法律事務所では、遺産分割・遺留分侵害額請求をはじめとする相続紛争について、請求する側・請求された側の双方からのご相談をお受けしています。答弁書の作成から反論の組み立て、和解交渉まで、弁護士がサポートします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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