タングラム法律事務所

ネットストーカー被害の対処法|SNSのDMや書き込みと警告・禁止命令

ネットストーカー被害の対処法|SNSのDMや書き込みと警告・禁止命令

ネットストーカー被害の対処法|SNSのDMや書き込みと警告・禁止命令

ネットストーカー被害の対処法|SNSのDMや書き込みと警告・禁止命令

ネットストーカー被害の対処法|SNSのDMや書き込みと警告・禁止命令

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月15日 最終更新日:2026年10月15日

「ブロックしても別アカウントからDMが届く」「投稿するたびに、行動を見張っているようなコメントが付く」「交際を断った相手が、SNSに私の悪口を書き続けている」——SNSを通じたしつこい接触は、直接会わなくても強い恐怖を感じるものです。相手が匿名だと、どこに相談すればよいか分からず一人で抱え込みがちです。

この記事では、いわゆる「ネットストーカー」がストーカー規制法の対象になる場合とならない場合、警察による警告・禁止命令の仕組み(2025年12月施行の改正を含みます)、証拠の残し方、匿名の相手を特定する方法までを、横浜の弁護士が整理して解説します。

結論として、SNSのDMやコメント、ブログへの書き込みでも、恋愛感情やそれが満たされなかった恨みから繰り返し行われていれば、ストーカー規制法の「つきまとい等」として警察の警告・禁止命令や刑事処罰の対象になり得ます。一方、そうした動機がない誹謗中傷やしつこい投稿は同法の対象外となるため、名誉毀損・侮辱・脅迫といった別の法的手段や、発信者情報開示請求・削除請求を組み合わせて対応することになります。

ネットストーカーとは|ストーカー規制法の対象になるSNS上の行為

「ネットストーカー」は法律用語ではありませんが、SNSなどを使った執拗な接触や監視のほのめかしを指して使われています。こうした行為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)の「つきまとい等」に当たる場合があります。

同法の「つきまとい等」は、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その人や家族などに対して行う一定の行為をいいます(同法2条1項)。インターネットに関係するものとしては、次のような類型があります。

類型(同法2条1項)ネット上での例
行動を監視していると思わせる事項を告げる(2号)「今日は○○駅にいたね」などとDMやコメントで伝える、よく見る掲示板に書き込む
拒まれたのに連続して電子メールの送信等をする(5号)拒否されたのにメール・SMS・LINE・SNSのメッセージを繰り返し送る、被害者のSNSやブログにコメントを書き込み続ける
名誉を害する事項を告げる・知り得る状態に置く(7号)中傷する内容のメッセージを送る
性的羞恥心を害する事項・画像等を送信する(8号)わいせつな画像や卑わいなメッセージを送り付ける

「電子メールの送信等」には、メールやSMSだけでなく、SNSのメッセージ機能を使った送信や、被害者が開設しているブログ・SNSのページにコメントを書き込む行為も含まれます(同法2条2項。神奈川県警察の解説でも具体例として挙げられています)。こうした「つきまとい等」を同じ人に対して反復して行うと「ストーカー行為」となり、刑事罰の対象になります(一部の類型は、身体の安全や名誉等が害される不安を覚えさせる方法で行われた場合に限られます)。

ストーカー規制法の対象にならないケースと別の法的手段

注意したいのは、ストーカー規制法は恋愛感情や好意、その裏返しの恨みを動機とする行為を対象としている点です。たとえば、元交際相手や一方的に好意を寄せてきた相手からのしつこいDMは対象になり得ますが、面識のない人物が単に悪意から誹謗中傷を繰り返している場合や、仕事上のトラブルを理由に執拗に書き込んでくる場合は、同法の対象外とされる可能性があります。

その場合でも、行為の内容に応じて次のような対応が考えられます。

  • 不特定多数が見られる場所での中傷 → 名誉毀損・侮辱として、投稿の削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求、刑事告訴
  • 「殺す」「家に行く」などの害悪の告知 → 脅迫罪として警察への相談・被害届(詳しくはネットで脅迫・殺害予告を受けた場合の法的対処法をご覧ください)
  • 1対1のDMでの悪口 → 公然性がないため名誉毀損は成立しにくい一方、名誉感情の侵害として損害賠償の対象になる余地があります(名誉毀損の「公然性」とDM・1対1のやり取りで詳しく解説しています)

警察に相談したときの流れ|警告・禁止命令・刑事処罰

ストーカー規制法に基づく措置には、主に次のものがあります。

措置内容
警告(4条)警察本部長等が、つきまとい等をした者に対し、更に反復してはならない旨を警告する。2025年12月30日施行の改正で、被害者の申出がなくても警察が職権で警告できる仕組みが新設された
禁止命令等(5条)都道府県公安委員会が、更に反復してはならないこと等を命じる。警告を経なくても出すことができ、効力は1年(必要があれば1年ごとに延長可)。緊急の場合は事前の聴聞等を経ずに出せる
刑事処罰(18条〜20条)ストーカー行為は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。禁止命令等に違反したストーカー行為は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金

ストーカー行為罪は、2016年(平成28年)の改正で告訴を要件とする規定が削除され、告訴がなくても処罰が可能です。2025年(令和7年)の改正では、紛失防止タグによる無断の位置情報取得の規制なども加わりました(政府広報オンライン・神奈川県警察の解説による)。

相談先は住所地などを管轄する警察署で、警察相談専用電話(#9110)も利用できます。身の危険が迫っている場合は迷わず110番してください。警察に相談しても対応が進まないと感じる場合の考え方は、ネット誹謗中傷の被害届が受理されない理由と対処法でも解説しています。

ネットストーカー被害で残しておくべき証拠

警察の措置でも民事の請求でも、「どのような行為が、どのくらいの頻度・期間続いているか」を示す証拠が重要です。

  • DM・コメント・投稿のスクリーンショット(送信日時、相手のアカウント名・ユーザーIDが写るように)
  • 投稿やプロフィールのURL
  • 相手に拒否の意思を伝えたことが分かるやり取り(5号は「拒まれたにもかかわらず」連続して送ることが要件です)
  • 別アカウントが同一人物と考えられる理由のメモと、時系列の一覧表

ブロックすると過去のやり取りが見られなくなることがあるため、先に記録を残しておくのが安全です。相手への直接の反論や接触は、状況を悪化させるおそれがあるため避けてください。撮り方の注意点は誹謗中傷の証拠保全|スクリーンショットの正しい撮り方にまとめています。

相手が匿名のとき|開示請求で特定できる場合・できない場合

相手が匿名アカウントの場合、民事上の請求をするには相手の氏名・住所を特定する必要があります。掲示板やSNSの公開の投稿によって権利を侵害されている場合は、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)5条1項に基づく発信者情報開示請求により、投稿者を特定できる可能性があります。手続の全体像は、当事務所の発信者情報開示請求・削除請求のページをご覧ください。

一方、DMや1対1のメッセージは、不特定の者に受信されることを目的とする「特定電気通信」(情プラ法2条1号)に当たらないため、同法による開示請求の対象になりません。この場合は、警察の捜査による特定や、事案によっては弁護士会照会などを検討します。LINEのやり取りしか手がかりがない場合については、LINEしか知らない相手の特定(弁護士会照会)の特設ページもご参照ください。

民事上の対応|削除請求・損害賠償請求

警察の措置とは別に、民事上は、公開投稿の削除請求(任意の削除依頼や裁判所の仮処分)、名誉毀損・名誉感情の侵害・プライバシー侵害等を理由とする損害賠償請求が考えられます。SNS上でなりすましや執拗な中傷を受けている場合は、SNSなりすまし・誹謗中傷への対応の特設ページもご覧ください。相手が判明して示談をする場合は、今後の接触禁止・投稿禁止や違約金を合意書に盛り込むことが考えられます。

ネットストーカーに関するよくある質問

Q1. 相手は元交際相手ではなく、面識のない人です。ストーカー規制法は使えませんか?

法律上、面識があることは要件とされていません。一方的に好意を寄せている相手や、好意を拒まれて恨みを抱いた相手による行為であれば、対象になり得ます。動機がそれ以外の場合は、名誉毀損・侮辱・脅迫などの別の法的手段を検討します。

Q2. 警察に相談すると、すぐに相手が逮捕されるのですか?

必ずしもそうではありません。危険性や証拠の状況に応じて、警告・禁止命令・捜査などが選択されます。希望する措置を相談時に伝えることが大切です。

Q3. 匿名のDMの送り主を、開示請求で特定できますか?

DMは情プラ法上の「特定電気通信」に当たらないため、同法の開示請求の対象になりません。公開の投稿もあればその投稿を手がかりに開示請求できる可能性があるほか、警察の捜査や弁護士会照会など別の方法を検討します。

まとめ|ネットストーカーは一人で抱え込まず早めの相談を

  • SNSのDMやコメント、ブログへの書き込みでも、恋愛感情等に基づき繰り返されればストーカー規制法の対象になり得る
  • 2025年12月施行の改正で、警察が職権で警告できるようになった
  • 恋愛感情等の動機がない場合は、名誉毀損・侮辱・脅迫などの別の手段や、削除請求・開示請求で対応する
  • DMは開示請求の対象外のため、警察の捜査など別の特定方法も検討する

ネットストーカーへの対応は、警察の措置と民事上の手続の組み合わせ方が重要です。弁護士に相談すれば、証拠の整理や開示請求・削除請求の見通しについて具体的な助言を受けられます。横浜で同様のお悩みを抱えている方は、お一人で悩まずにご相談ください。

SNSでのしつこい接触・誹謗中傷でお困りの方へ

タングラム法律事務所では、SNS・匿名掲示板等の投稿について、削除請求・発信者情報開示請求の実績を多数有しております。ネットストーカー被害についても、証拠の整理から投稿者の特定、損害賠償請求まで一貫してサポートいたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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