不貞慰謝料の裁判期日に自分で出る方法|口頭弁論とウェブ会議の流れ
不貞慰謝料の裁判期日に自分で出る方法|口頭弁論とウェブ会議の流れ
執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月15日 最終更新日:2026年10月15日
不貞慰謝料の裁判を弁護士に依頼せず自分で進めることにしたものの、「法廷では何を話せばいいのか」「仕事を休んで毎回裁判所に行かなければならないのか」「ウェブ会議で参加できると聞いたが、どうすればいいのか」と不安を感じている方は少なくありません。
この記事では、不貞慰謝料の本人訴訟で原告・被告が期日に出席するときの流れと、ウェブ会議での参加方法、欠席のリスクを、民事訴訟法の条文に沿って横浜の弁護士が解説します。
結論として、不貞慰謝料の裁判の期日は、提出済みの書面の内容を確認し次回までの準備事項を決める場であり、法廷で長く話すことはほとんどありません。口頭弁論は令和6年3月1日から、裁判所が相当と認めればウェブ会議で参加でき、弁論準備手続や和解の期日は電話会議でも行えます。ただし、欠席すると相手の主張を認めたものとみなされるおそれがあります。
不貞慰謝料の裁判の「期日」とは?3つの種類
期日とは、裁判所と当事者が手続を行う日時のことで、主に次の3種類があります。
| 期日の種類 | 主な内容 | 行われる場所・方法 |
|---|---|---|
| 口頭弁論期日 | 訴状・答弁書・準備書面の陳述、証拠の取調べ、判決の言渡しなど | 公開の法廷。裁判所が相当と認めればウェブ会議(映像と音声)も可 |
| 弁論準備手続期日 | 争点と証拠の整理。準備書面の内容を確認し、主張の補充を求められる | 非公開の準備室など。電話会議・ウェブ会議も可 |
| 和解期日 | 話し合いによる解決(訴訟上の和解)に向けた調整 | 非公開。電話会議・ウェブ会議も可 |
第1回は口頭弁論期日として指定され、2回目以降は弁論準備手続や和解期日に移ることが多いのが実務の傾向です。訴えの起こし方そのものは「不貞慰謝料を自分で請求する訴訟の起こし方」で解説しています。
第1回口頭弁論期日の流れ|原告・被告がすること
当日の進み方
第1回口頭弁論期日は短時間で終わることが多く、典型的な流れは次のとおりです。
- 開始時刻の少し前に法廷へ入り、書記官に事件番号と氏名を伝える(出頭カードへの記入を求められることもあります)
- 事件番号が読み上げられたら、原告席・被告席に着く
- 裁判官から「訴状のとおり陳述しますか」「答弁書のとおり陳述しますか」と確認されるので、「陳述します」と答える
- 提出済みの証拠(甲号証・乙号証)の原本を確認し、取り調べる
- 次回までに提出すべき書面(反論の準備書面など)と提出期限、次回の期日を決める
法廷で主張を一から説明する場ではなく、言いたいことは事前に書面で提出しておくのが原則です。当日は、期日呼出状、提出済み書面の控え、書証の原本、本人確認書類、スケジュール帳を持参しましょう。答えに迷う質問には「書面で回答します」と伝えて持ち帰ることもできます。
被告は答弁書を出せば第1回を欠席できる場合がある
民事訴訟法158条は、最初にすべき口頭弁論の期日に出頭しない当事者について、提出済みの訴状や答弁書などの記載事項を陳述したものとみなすことができると定めています。第1回期日は被告の都合を聞かずに指定されるため、答弁書を提出して欠席する被告は少なくありません。ただし、これは最初の期日に限った扱いです。答弁書の書き方は「不貞慰謝料の訴状が届いたときの対応手順|答弁書の書き方」をご覧ください。
ウェブ会議(Teams)で期日に参加する方法
民事訴訟法87条の2第1項は、裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、映像と音声の送受信による方法(ウェブ会議)で口頭弁論の期日の手続を行うことができると定めており、令和6年3月1日に施行されました。ウェブ会議で参加した当事者は、その期日に出頭したものとみなされます(同条3項)。
また、令和8年5月21日からは民事訴訟手続のデジタル化が本格的に始まり、裁判所の案内でも、裁判所の判断によりウェブ会議で期日に参加できることが示されています。
- ウェブ会議での参加は当事者の権利ではなく、裁判所が「相当」と認めた場合に限られます。希望する場合は、事前に担当の書記官に申し出て意見を伝えます
- 口頭弁論は映像の送受信が必要なため、電話のみでの参加はできません(カメラをオンにする必要があります)
- 裁判所の案内では、Microsoft Teamsを使用し、招待メールまたは会議ID・パスコードで参加する方式とされています
- 通信が安定し、第三者に会話を聞かれない場所を確保します
なお、弁論準備手続(民事訴訟法170条3項)と和解期日(同法89条2項)は、音声のみの方法でも行えるとされており、電話会議で参加できる場合があります。
2回目以降の期日|弁論準備手続と和解の進み方
第1回期日の後は、原告と被告が交互に準備書面と証拠を提出し、期日を重ねて争点を整理します。弁論準備手続では、裁判官から主張の補充や証拠の説明を求める具体的な指示が出ることがあるため、メモを取り、提出期限を必ず守りましょう。準備書面の作り方は「不貞慰謝料の準備書面を自分で書く方法」で解説しています。
争点がある程度整理されると、裁判官から和解を勧められることが少なくありません。民事訴訟法89条1項は、裁判所は訴訟がいかなる程度にあるかを問わず和解を試みることができると定めています。和解期日では、解決金の額や支払方法、清算条項・接触禁止条項などを調整し、合意に至らなければ当事者尋問などを経て判決に進みます。
欠席・期日変更のリスク|本人訴訟で特に注意すべき点
欠席すると相手の主張を認めたとみなされるおそれ
民事訴訟法159条3項は、期日に出頭しない当事者にも、相手方の主張を争わない場合の自白の擬制(同条1項)を準用しています。被告が答弁書も出さずに第1回期日を欠席すると、原告の主張どおりの判決(いわゆる欠席判決)が出る可能性があります。
双方が欠席すると訴えの取下げとみなされる
民事訴訟法263条は、当事者双方が期日に出頭せず1か月以内に期日指定の申立てをしないとき、または連続して2回出頭しないときは、訴えの取下げがあったものとみなすと定めています。原告も期日の管理には注意が必要です。
期日の変更は簡単には認められない
民事訴訟法93条3項により、口頭弁論と弁論準備手続の期日の変更は「顕著な事由がある場合」に限り許されます。ただし、最初の期日の変更は当事者の合意がある場合にも許されます。出席が難しい場合は、早めに書記官に連絡し、ウェブ会議等での参加も相談しましょう。
自分で期日に対応する限界と弁護士に依頼した場合の違い
本人訴訟で難しいのは、期日そのものより、裁判官の指示の意図を読み取り、次回までに的確な主張と証拠を補充することです。婚姻関係の破綻の抗弁や既婚者と知らなかったという主張など、不貞慰謝料に特有の争点への対応を誤ると、金額に直接影響します。和解の席で提示された金額の妥当性をその場で判断しなければならない場面もあります。
弁護士に依頼した場合は、弁護士が代理人として期日に出席するため、ご本人が毎回出頭する必要は原則としてなくなり(当事者尋問など一部の期日を除きます)、書面の作成から和解条項の調整まで任せることができます。途中から依頼することも可能です。横浜の当事務所の取扱内容は「不貞慰謝料請求の取扱分野ページ」でご紹介しています。
不貞慰謝料の裁判期日に関するよくある質問
Q1. 第1回口頭弁論期日には必ず出席しなければなりませんか?
被告は、答弁書を提出していれば、第1回期日に欠席してもその内容を陳述したものとみなされる扱いがあります(民事訴訟法158条)。答弁書を出さずに欠席すると敗訴判決のおそれがあります。原告は出席するのが基本です。
Q2. 弁護士を付けていない本人でもウェブ会議で参加できますか?
本人でも、裁判所が相当と認めればウェブ会議で口頭弁論に参加できます(民事訴訟法87条の2第1項)。参加を希望する場合は、事前に担当書記官に申し出てください。口頭弁論は映像が必要なため、電話のみでは参加できません。
Q3. 期日では何を話せばよいですか?
主張は事前の書面で行うのが原則で、期日では「訴状(答弁書)のとおり陳述します」と述べ、裁判官の質問に答え、次回までの準備事項と期日を確認するのが中心です。
Q4. 仕事の都合で期日に行けない場合はどうすればよいですか?
期日の変更は、最初の期日を除き「顕著な事由」がある場合に限られます(民事訴訟法93条3項)。早めに書記官に連絡し、変更の可否やウェブ会議等での参加を相談してください。
まとめ
- 不貞慰謝料の裁判の期日には、口頭弁論・弁論準備手続・和解期日があり、主張は事前の書面で行うのが原則です
- 被告は答弁書を提出すれば第1回期日の欠席が許容される場合がありますが、答弁書を出さずに欠席すると欠席判決のおそれがあります
- 口頭弁論は令和6年3月1日から、裁判所が相当と認めればウェブ会議で参加でき、弁論準備手続と和解期日は電話会議でも行えます
- 欠席や期日の管理を誤ると、自白の擬制や訴えの取下げの擬制といった重大な不利益につながります
書面での主張立証や和解金額の判断に不安を感じたときは、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
不貞慰謝料の裁判を自分で進めていて不安な方へ
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