タングラム法律事務所

誹謗中傷の本人訴訟、期日当日の流れ|口頭弁論と和解の進め方

誹謗中傷の本人訴訟、期日当日の流れ|口頭弁論と和解の進め方

誹謗中傷の本人訴訟、期日当日の流れ|口頭弁論と和解の進め方

誹謗中傷の本人訴訟、期日当日の流れ|口頭弁論と和解の進め方

誹謗中傷の本人訴訟、期日当日の流れ|口頭弁論と和解の進め方

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月10日 最終更新日:2026年10月10日

誹謗中傷の投稿者を特定し、損害賠償を求めて自分で訴状を提出した。裁判所から期日の連絡が届いたものの、「法廷で何を話せばよいのか」「相手が来なかったらどうなるのか」「和解を勧められたら応じるべきか」と、当日のことが分からず不安になっている方は少なくありません。

この記事では、弁護士を付けずに損害賠償請求訴訟を進める本人訴訟の方に向けて、第1回口頭弁論の期日当日の流れ、2回目以降の準備書面の出し方、ウェブ会議の利用、欠席したときのリスク、和解と判決までを、民事訴訟法の条文に沿って解説します。

結論から言うと、第1回口頭弁論は訴状と答弁書の陳述や次回期日の指定で短時間に終わることが多く、実質的な審理は準備書面と証拠のやり取りで進みます。被告が答弁書を出さずに欠席すれば、原則として請求の原因となる事実を自白したものとみなされ、早期に判決に至ることがあります。他方、原告が欠席を重ねると訴えの取下げとみなされるおそれがあるため、期日の管理と書面の準備が本人訴訟の要になります。

本人訴訟で訴状を提出した後の全体の流れ

訴状を提出すると、裁判所が内容を審査し、第1回口頭弁論期日を指定して被告に訴状を送達します。訴状の作り方は誹謗中傷の損害賠償を自分で提訴する方法で解説しています。提出後のおおまかな流れは次のとおりです。

段階主な内容
第1回口頭弁論訴状・答弁書の陳述、証拠(甲号証)の取調べ、次回期日の指定
2回目以降の期日準備書面と証拠の提出による主張・反論の整理(弁論準備手続に付されることもある)
和解の協議裁判所から和解を勧められることがある(どの段階でもあり得る)
尋問争いのある事実について、当事者本人や証人の尋問を行うことがある
判決口頭弁論の終結から原則2か月以内に言渡し、送達から2週間が控訴期間

第1回口頭弁論の期日当日にすること

持ち物と当日の流れ

呼出状、訴状と証拠の控え、答弁書、筆記用具を持参すると安心です。法廷に入ったら、書記官に事件番号と氏名を伝えて出頭を知らせます。事件が呼ばれたら原告席に着き、裁判官から「訴状のとおり陳述しますか」と確認されたら「陳述します」と答えるのが基本です。提出した甲号証の原本確認や、次回期日の日程調整も行われます。

被告が答弁書を出して欠席した場合

第1回期日は被告の都合を聞かずに指定されるため、被告の欠席はよくあります。最初の期日に出頭しない当事者が提出した答弁書などは、記載した事項を陳述したものとみなされます(民事訴訟法158条)。答弁書で請求を争っていれば、次回期日が指定され、審理が続きます。

被告が答弁書も出さずに欠席した場合

当事者が相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合、その事実を自白したものとみなされ、この規定は期日に出頭しない場合にも準用されます(民事訴訟法159条1項・3項)。そのため、答弁書を出さずに欠席した被告に対しては、その日に弁論が終結し、後日判決が言い渡されることがあります。ただし、公示送達による呼出しの場合は準用されません(同条3項ただし書)。また、事実が認められても、投稿が名誉毀損等として違法か、損害額がいくらかは裁判所が判断するため、請求額どおりの判決になるとは限りません。

2回目以降の期日:準備書面と証拠の出し方

口頭弁論は書面で準備しなければならず(民事訴訟法161条1項)、相手方が在廷していない口頭弁論では、相手方に送達された準備書面等に記載した事実でなければ主張できません(同条3項)。本人訴訟でも、期日に口頭で説明するのではなく、主張は準備書面にまとめて期日より前に裁判所へ提出し、相手方にも直接送付(直送)しておくのが基本です。提出期限は裁判所から指示されるため、その期限を守ることが大切です。

誹謗中傷の損害賠償請求訴訟では、次のような点が争点になりやすい傾向があります。

  • 被告が投稿者本人か(回線を家族が使っていた等の反論)
  • 投稿が原告を指すと分かるか(同定可能性)
  • 社会的評価を低下させる事実の摘示か、意見・論評か
  • 公共性・公益目的・真実性などの違法性阻却事由
  • 慰謝料額、発信者情報開示にかかった調査費用を損害に含められるか

反論に応じた証拠の追加も必要になります。証拠の番号の付け方や証拠説明書の作り方は誹謗中傷の裁判で自分で証拠を出す方法をご覧ください。なお、争点の整理のため弁論準備手続に付されることがあり、裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて電話会議などの音声の送受信による方法で行われることもあります(民事訴訟法170条3項)。

ウェブ会議とオンライン提出(2026年5月の全面IT化)

口頭弁論の期日は、裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、映像と音声の送受信による方法(ウェブ会議)で行うことができ、この方法で関与した当事者は期日に出頭したものとみなされます(民事訴訟法87条の2第1項・3項)。

2022年改正による民事裁判のIT化は2026年5月21日に全面施行され、訴状等のオンライン提出や判決書の電子化が始まりました(琉球新報、2026年5月13日)。もっとも、オンライン提出が義務付けられるのは委任を受けた訴訟代理人等であり(民事訴訟法132条の11第1項)、本人訴訟では従来どおり紙の書面で提出することもできます。

期日を欠席するとどうなるか

本人訴訟で特に注意したいのが原告自身の欠席です。当事者双方が口頭弁論や弁論準備手続の期日に出頭しなかった場合に、1か月以内に期日指定の申立てをしないときは訴えの取下げがあったものとみなされ、双方が連続して2回欠席したときも同様です(民事訴訟法263条)。

仕事や体調の都合で出頭できなくなった場合は、分かった時点で担当の書記官に電話で連絡し、期日変更の可否やウェブ会議の利用を相談してください。無断で欠席することは避けましょう。

和解を勧められたら:応じる前に確認したいこと

裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず和解を試みることができます(民事訴訟法89条1項)。和解には、早期に解決でき、分割払いや再発防止の約束など判決では命じられない内容を盛り込める利点があります。和解が成立し電子調書に記録されると、その記録は確定判決と同一の効力を有し(民事訴訟法267条1項)、支払いがなければ強制執行の根拠になります。

応じる前には、次の条項を確認しましょう。

  • 支払額・支払期限・分割回数と、遅れた場合の期限の利益喪失
  • 投稿の削除や今後の投稿禁止、違反した場合の違約金
  • 口外禁止の範囲(自分の側の行動も制限されるか)
  • 清算条項(他の投稿や刑事告訴との関係)

条項の考え方は、裁判外の示談でも共通です。誹謗中傷の示談書を自分で作る方法もあわせて参考にしてください。

判決言渡しとその後、自分で進める場合の限界

判決の言渡しは、原則として口頭弁論の終結の日から2か月以内にされ、当事者が在廷しない場合でもすることができます(民事訴訟法251条)。控訴は、電子判決書等の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければなりません(民事訴訟法285条)。

本人訴訟は費用を抑えられる一方、被告が投稿者性や違法性を本格的に争うと、裁判例を踏まえた準備書面の作成や尋問への対応が必要になり、負担が大きくなります。和解額の相場観が分からないまま低額で合意してしまうおそれもあります。開示請求から損害賠償までの弁護士の関与については、発信者情報開示請求・削除請求のページで詳しくご紹介しています。途中から弁護士に依頼することもできますので、相手が争ってきた段階で横浜の弁護士など身近な専門家に相談するのも一つの方法です。

よくある質問

第1回口頭弁論の期日はどのくらいの時間で終わりますか?

事案によりますが、訴状と答弁書の陳述、証拠の確認、次回期日の指定などで短時間に終わることが多いです。実質的な審理は2回目以降に進みます。

本人訴訟でもウェブ会議で期日に参加できますか?

裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聴いてウェブ会議で口頭弁論の期日を行うことができます(民事訴訟法87条の2)。実施は裁判所の判断のため、書記官に確認してください。

2026年5月の民事裁判のIT化で、本人訴訟でもオンライン提出が必須になりましたか?

義務付けられるのは委任を受けた訴訟代理人等です(民事訴訟法132条の11)。本人訴訟では紙の書面で提出することもできます。

期日に行けなくなった場合はどうすればよいですか?

速やかに書記官に連絡し、期日変更の可否を相談してください。当事者双方の欠席が続くと訴えの取下げとみなされることがあります(民事訴訟法263条)。

まとめ

  • 第1回口頭弁論は訴状・答弁書の陳述と次回期日の指定で短時間に終わることが多い
  • 被告が答弁書を出さずに欠席すると、原則として自白が擬制され早期に判決に至ることがある
  • 主張は準備書面にまとめ、期限までに裁判所へ提出し相手方にも直送する
  • 当事者双方の欠席が続くと訴えの取下げとみなされるおそれがある
  • 和解調書は確定判決と同一の効力を持つため、条項は慎重に確認する

本人訴訟は期日を確実にこなせば進められますが、相手が本格的に争ってきた場合は専門的な対応が必要になります。横浜の弁護士として誹謗中傷の損害賠償請求を扱ってきた立場からは、争点が複雑になった段階で一度弁護士の意見を聞くことをおすすめします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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