タングラム法律事務所

外国人雇用の注意点|在留カード確認と不法就労助長罪を弁護士が解説

外国人雇用の注意点|在留カード確認と不法就労助長罪を弁護士が解説

外国人雇用の注意点|在留カード確認と不法就労助長罪を弁護士が解説

外国人雇用の注意点|在留カード確認と不法就労助長罪を弁護士が解説

外国人雇用の注意点|在留カード確認と不法就労助長罪を弁護士が解説

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月15日 最終更新日:2026年10月15日

人手不足が続くなか、外国人の採用を検討する中小企業や店舗が増えています。一方で、「在留カードは何を見ればよいのか」「留学生のアルバイトは何時間まで大丈夫か」「知らずに雇ってしまったら会社も処罰されるのか」といった不安から、採用に踏み切れないという声も少なくありません。

この記事では、在留カードの確認方法、ハローワークへの届出、不法就労助長罪のリスク、2027年4月1日に予定される育成就労制度の開始と罰則の引上げについて、横浜の弁護士が解説します。

結論として、外国人を雇用する際は、採用前に在留カードの原本で在留資格・就労制限の有無・在留期間を確認し、雇入れ後はハローワークへの届出と在留期間の管理を継続することが基本です。入管法上、在留カードを確認しないなどの過失があれば「知らなかった」では処罰を免れない可能性があり、不法就労助長罪の法定刑は2027年4月1日から5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金へ引き上げられる予定です。

外国人雇用でまず確認すべきは「在留資格」と就労の可否

日本に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づく在留資格の範囲内でのみ活動できます。入管法19条1項は、就労が認められた在留資格であっても、その資格で認められていない収入を伴う活動を原則として禁止しています。採用にあたっては、次の3つの類型を意識すると整理しやすくなります。

類型主な在留資格の例雇用時の注意点
就労制限のない在留資格永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者職種の制限なく雇用できる
定められた範囲内で就労できる在留資格技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習など許可された業務内容の範囲でのみ就労可能。範囲外の業務に従事させると不法就労になり得る
原則として就労できない在留資格留学、家族滞在など資格外活動許可を受けた場合に限り、その範囲で就労可能

特に2つ目の類型では、許可の範囲外の業務に専従させると不法就労と評価されるおそれがあるため、実際に担当させる業務が在留資格と一致しているかを確認しましょう。

在留カードの確認方法|表面・裏面と真偽の確認

出入国在留管理庁は、雇用主に対して在留カードの確認を呼びかけています。コピーやスマートフォンの画像ではなく、原本を提示してもらい、次の点を確認します。

  • 表面の「在留資格」「就労制限の有無」欄:「就労制限なし」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「就労不可」などの記載を確認する
  • 表面の「在留期間(満了日)」:期限が切れていないか、更新時期はいつかを確認する
  • 裏面の「資格外活動許可欄」:留学生などを雇う場合は、許可の有無と内容を確認する

偽造カード対策として、出入国在留管理庁が公開する「在留カード等読取アプリケーション」や「在留カード等番号失効情報照会」で真偽を確認し、確認した日と方法を記録しておくとよいでしょう。

留学生の資格外活動許可(包括許可)は、原則として1週について28時間以内、在籍する教育機関の長期休業期間中は1日8時間以内とされています(出入国在留管理庁公表)。シフトを組む際は、この時間を超えないよう管理してください。

雇入れ・離職時のハローワークへの届出義務

労働施策総合推進法28条は、外国人を雇い入れたとき、または外国人が離職したときに、氏名・在留資格・在留期間等を確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)に届け出ることを事業主に義務付けています。厚生労働省の案内によれば、特別永住者や在留資格「外交」「公用」の人は対象外です。

区分届出の方法期限
雇用保険の被保険者(雇入れ)雇用保険被保険者資格取得届に記載雇入れ日の属する月の翌月10日まで
雇用保険の被保険者(離職)雇用保険被保険者資格喪失届に記載離職日の翌日から起算して10日以内
被保険者でない人(雇入れ・離職)外国人雇用状況届出書(様式第3号)雇入れ・離職日の属する月の翌月末日まで

届出を怠ったり虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります。なお、国籍を理由とする労働条件の差別的取扱いは労働基準法3条で禁止されており、最低賃金や割増賃金などのルールも日本人と同様に適用されます。最低賃金の改定については「最低賃金引き上げで企業がすべき対応」もご覧ください。

不法就労助長罪とは|「知らなかった」では済まない理由

入管法73条の2第1項は、事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせた者や、業として不法就労活動をさせ、またはあっせんした者などを処罰する規定です(不法就労助長罪)。現行の法定刑は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です。また、従業員が業務に関して違反した場合には、法人も罰金刑の対象となる両罰規定があります。

企業にとって特に重要なのが、同条2項です。外国人が就労できない在留資格であることや、資格外活動許可を受けていないことなどを知らなかったことを理由として、処罰を免れることはできないとされています(ただし、過失がないときはこの限りではありません)。出入国在留管理庁のリーフレットでも、在留カードを確認していない等の過失がある場合には処罰を免れない旨が説明されています。

「本人が働けると言っていた」というだけでは過失がなかったと認められない可能性があり、在留カードの原本確認と記録が会社を守る基本的な防御策となります。

2027年4月1日から何が変わるか|育成就労制度と罰則の引上げ

令和6年6月21日に公布された入管法等の改正法(令和6年法律第60号)により、技能実習制度に代わる「育成就労制度」が創設されます。出入国在留管理庁の公表によれば、施行日は一部の規定を除き令和9年(2027年)4月1日です。

  • 育成就労制度の開始:人材育成と人材確保を目的とし、3年以内の育成期間で特定技能1号水準の人材を育成する制度です。一定の要件のもとで本人の意向による転籍も認められます。
  • 技能実習からの経過措置:施行日時点で技能実習を行っている人は、引き続き技能実習を行うことができ、要件を満たせば次の段階(1号から2号など)への移行も可能とされています。ただし、2号から3号への移行は施行日時点で2号を1年以上行っている人に限られるなど、細かな条件があります。
  • 不法就労助長罪の厳罰化:改正法により、法定刑が5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(またはその併科)に引き上げられます。2027年4月1日の施行に合わせて適用される予定です。

受入れを予定する企業は、監理団体(施行後は監理支援機関)等と連携して計画認定の申請時期を早めに確認してください。制度の細目は政省令等で定められているため、最新情報は出入国在留管理庁・厚生労働省の公表資料でご確認ください。

採用から雇用継続までの実務チェックリスト

  • 採用前:在留カード原本の確認(就労制限・在留期間・資格外活動許可)、読取アプリ等による真偽確認、担当予定業務と在留資格の照合
  • 雇用契約時:本人が理解できる表現で労働条件通知書を交付する
  • 雇入れ後:ハローワークへの届出、在留期間満了日の管理(更新手続の声かけ)、留学生の労働時間管理
  • 配置転換・業務変更時:新しい業務が在留資格の範囲内かを確認する

外国人社員を含めた労務ルールを明確にするには、就業規則の整備も欠かせません。作成義務や記載事項は「就業規則の作成義務と記載事項・届出手順」で解説しています。また、外国人雇用の状況は労働基準監督署の調査で確認されることもあるため、「労働基準監督署の調査対応の流れと事前準備」もあわせてご確認ください。契約書の整備や労務トラブルへの対応など、当事務所の企業向けサポートの内容は企業法務の取扱分野のページでご紹介しています。

よくある質問

Q1. 在留カードのコピーを保管しておく必要はありますか?

届出に写しの添付は不要ですが、確認したことを後から説明できるよう、確認日・確認者・確認方法を記録しておくことが望ましいといえます。写しを保管する場合は個人情報として適切に管理してください。

Q2. 留学生を複数の店舗で働かせる場合の時間制限はどう考えますか?

包括許可の時間制限は原則として1週について28時間以内です。他のアルバイト先がある場合もあるため、採用時に他の就労先の有無と勤務時間を確認し、上限を超えないよう本人と共有しておくことが重要です。

Q3. 雇用していた外国人の在留期間が切れていたことが分かった場合は?

更新申請中であれば、一定期間は従前の在留資格で在留できる場合があります。まず申請受付票などの提示を求めて状況を確認し、判断に迷う場合は速やかに出入国在留管理庁や弁護士に相談してください。

Q4. 2027年4月以降も技能実習生を受け入れ続けられますか?

施行日時点で技能実習を行っている人は、経過措置により引き続き技能実習を行うことができます。ただし、新たな入国や段階の移行には条件があるため、監理団体と個別に確認する必要があります。

まとめ

外国人雇用では、在留カード原本の確認、ハローワークへの届出、雇用後の在留期間と業務内容の管理が基本です。確認を怠れば「知らなかった」では処罰を免れない可能性があり、2027年4月1日からは罰則の引上げと育成就労制度の開始が予定されています。

在留資格と業務内容の適合性や、不法就労が疑われる場合の対応は、個別の事情で結論が変わり得ます。早めに弁護士へ相談しておくことで、リスクを抑えながら外国人材を受け入れる体制を整えることができます。

外国人雇用・労務管理のご相談はタングラム法律事務所へ

タングラム法律事務所では、企業法務(契約書レビュー・労務・法改正対応等)について、中小企業・個人経営の事業者向けに豊富な実績を有しております。外国人を雇用する際の社内ルールづくりや雇用契約書の整備、不法就労が疑われる場合の対応について、横浜の弁護士がご相談をお受けします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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