タングラム法律事務所

インスタで開示請求されたら?意見照会書が届く流れと投稿者側の対応

インスタで開示請求されたら?意見照会書が届く流れと投稿者側の対応

インスタで開示請求されたら?意見照会書が届く流れと投稿者側の対応

インスタで開示請求されたら?意見照会書が届く流れと投稿者側の対応

インスタで開示請求されたら?意見照会書が届く流れと投稿者側の対応

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月20日 最終更新日:2026年10月20日

Instagram(インスタ)に投稿したコメントやストーリーについて、契約している携帯電話会社やプロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届いた――。匿名のアカウントなのになぜ自宅に書面が届いたのか、氏名や住所が相手に知られてしまうのかと、不安に感じている方は少なくありません。

この記事では、インスタの投稿について開示請求を受けた投稿者(発信者)側の立場から、書面が届くまでの仕組み、意見照会書が届かないまま請求を受ける場合があること、最初に確認すべき点、インスタの投稿で争点になりやすい点、開示に同意するかどうかの考え方を、横浜の弁護士が解説します。

結論から言えば、意見照会書が届いた時点では、まだ氏名・住所は請求者に開示されていません。インスタをめぐる開示請求は、運営するMeta社から得た通信記録をもとに回線事業者へ氏名・住所を求める方法のほか、アカウントの登録電話番号から契約者を調べる方法もあります。後者では意見照会書が届かないこともあるため、書面が届いた段階で早めに方針を決めることが重要です。

インスタで開示請求されるまでの流れ

開示請求の根拠は、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法。2025年4月1日に旧プロバイダ責任制限法から改称)です。投稿によって権利を侵害されたと主張する人が請求者、投稿した人が発信者にあたります。インスタの場合、請求者がたどる経路は主に次の2つです。

経路手続の内容投稿者への意見照会
①IPアドレス経由Meta社からログイン時のIPアドレス・タイムスタンプ等の開示を受け、回線事業者(携帯電話会社・光回線のプロバイダ等)に契約者の氏名・住所を求める回線事業者から意見照会書が届くのが通常
②電話番号経由Meta社からアカウントの登録電話番号の開示を受け、その番号を管理する携帯電話会社に弁護士会照会で契約者情報を求める情プラ法の意見照会の手続はない

インスタはアカウントにログインして利用するサービスのため、投稿そのものの記録ではなく、ログイン時の通信(侵害関連通信。情プラ法5条3項)の記録が請求の対象になることが多いとされています(同法5条1項3号・2項)。また、開示の対象となる発信者情報には、IPアドレスやタイムスタンプのほか、電話番号や電子メールアドレスも含まれています(同法施行規則2条3号・4号・5号・8号)。請求者側から見た手続の詳細はInstagramの誹謗中傷で投稿者を特定する方法で解説しています。X・YouTube・掲示板などサイトごとの手続の違いは、掲示板・SNS別の削除・投稿者特定のページにまとめています。

意見照会書が届かないまま請求書面が届くこともある

注意したいのは、上の表の②の経路です。弁護士会の会報では、Facebook・Instagram・X(旧Twitter)のアカウントに関する照会について、開示された電話番号の割当てがある通信事業者に、弁護士会照会(弁護士法23条の2)で加入者の氏名等を照会する方法が一般的であると紹介されています(第二東京弁護士会「NIBEN Frontier」2024年6月号)。

弁護士会照会は情プラ法の開示請求とは別の制度であり、同法6条1項が定める「発信者の意見を聴く」手続はありません。そのため、Meta社や携帯電話会社から何の連絡もないまま、ある日突然、弁護士から損害賠償を求める通知書が届くということも起こり得ます。逆に言えば、意見照会書が届いたということは、まだ回答によって方針を示す機会が残されている段階だということです。

電話番号経由の調査が並行して進んでいる可能性もあるため、「不同意と回答すれば知られずに済む」と考えず、開示された場合の見通しも含めて方針を立てることが大切です。

意見照会書が届いたら最初に確認すること

意見照会書には、対象となる投稿と請求者が主張する権利侵害の内容が記載されています。まず次の点を確認してください。

  • 対象の投稿:フィード投稿、コメント、ストーリー、リールのどれか。投稿日時とアカウント名に心当たりがあるか
  • 宛名:意見照会書は回線の契約者宛てに届くため、家族が契約者で、実際に投稿したのは本人という場合があります
  • 権利侵害の主張:名誉毀損、名誉感情の侵害(侮辱)、プライバシー侵害、肖像権侵害、著作権侵害のどれが主張されているか
  • 回答期限:期限は書面ごとに異なり、短く設定されていることが多いため、届いた日を記録しておきます

なお、1対1のDM(ダイレクトメッセージ)は、不特定の者に受信されることを目的とする「特定電気通信」(情プラ法2条1号)に当たらないと一般に解されています。照会の対象が本当に公開の投稿なのか、どの投稿なのかを正確に確認することが、回答の出発点になります。

インスタの投稿で争点になりやすいポイント

開示が認められるには、投稿によって請求者の権利が侵害されたことが「明らか」であることなどが必要です(情プラ法5条1項1号・2号)。インスタの投稿では、次のような点が争点になりやすいといえます。

争点インスタで問題になりやすい場面
同定可能性相手のアカウント名やニックネームだけを挙げた投稿が、請求者本人に向けられたものと読めるか
名誉毀損・名誉感情コメント欄やストーリーでの悪口。単なる悪口は、社会通念上許される限度を超える侮辱かどうかで判断される(最判平成22年4月13日・民集64巻3号758頁)
プライバシー・肖像権他人の写真や個人情報をストーリー等で無断で公開する、いわゆる「晒し」
著作権他人が撮影した画像や投稿のスクリーンショットを無断で転載する

非公開アカウント(鍵垢)での投稿でも、フォロワーの数や関係性によっては権利侵害が問題になることがあります。争う余地があるかは、投稿の文言と前後の文脈によって変わります。

開示に同意するか、しないかの考え方

意見照会書には、開示に同意するかどうかと、同意しない場合の理由を記載して回答します。

回答その後の流れ
同意する回線事業者から請求者に氏名・住所が開示され、損害賠償請求の通知が届く可能性が高くなる
同意しない開示するかどうかは回線事業者や裁判所が判断する。開示命令が出た場合、不同意と回答した発信者には原則としてその旨が通知される(情プラ法6条2項)

同意しないと回答しても、それだけで開示が止まるわけではありません。裁判所は、回答書に記載された具体的な事情も踏まえて判断するため、理由は「権利侵害ではない」と一言書くのではなく、投稿の文脈や事実関係に即して具体的に記載することが重要です。書き方の詳細は意見照会書の回答書を自分で書く方法をご覧ください。一方で、権利侵害が明らかな投稿であれば、開示を前提に早期の示談を検討したほうが、結果として負担を抑えられる場合もあります。

意見照会への対応方針の立て方については、意見照会対応のページでも詳しくご案内しています。

投稿者側がやってはいけない対応

  • 意見照会書を無視する:回答しなければ、投稿者側の事情が考慮されないまま判断が進むおそれがあります
  • 投稿やアカウントを慌てて削除する:請求者は通常、画面を保存したうえで手続に入っており、削除によって既に生じた責任が消えるわけではありません(詳しくは誹謗中傷の投稿を削除すれば開示請求されない?)
  • 事実と異なる回答をする:自分の投稿であるのに「身に覚えがない」と回答すると、後の交渉や訴訟で不利になるおそれがあります

よくある質問

インスタのストーリーは24時間で消えますが、それでも開示請求されますか。

対象になる可能性があります。請求者がストーリーの画面を保存していれば、表示が消えた後でも手続を進めることができます。消える投稿であることだけを理由に、責任を免れることは難しいと考えられます。

意見照会書が届かなければ、特定されることはないのですか。

そうとは限りません。インスタでは、アカウントの登録電話番号が開示され、携帯電話会社への弁護士会照会で契約者が判明する方法もあり、この場合は意見照会書が届かないまま損害賠償の請求を受けることがあります。

家族名義のスマートフォンで投稿しました。誰が回答すればよいですか。

意見照会書は回線の契約者宛てに届くため、回答書は契約者の名義で出すのが通常です。実際の利用状況を契約者と共有したうえで、どのような立場で回答するかを決める必要があります。判断に迷う場合は弁護士にご相談ください。

開示に同意しないと、裁判費用を請求されますか。

開示に同意しないと回答したことだけで、直ちに損害賠償の責任が生じるわけではありません。ただし、開示された後の損害賠償請求では、開示手続にかかった弁護士費用などの調査費用が損害として請求されることがあり、その範囲は事案ごとに判断されます。

まとめ

インスタの投稿をめぐる開示請求は、Meta社から得た通信記録をもとに回線事業者へ氏名・住所を求める方法と、登録電話番号から携帯電話会社に契約者を照会する方法があります。意見照会書が届いた段階では、まだ氏名・住所は開示されておらず、回答によって投稿者側の事情を伝える機会が残されています。

同定可能性や表現の程度、晒しや転載の態様など、争う余地がある場合もあれば、開示を前提に示談の見通しを立てたほうがよい場合もあります。方針は投稿の文言と事実関係によって変わるため、自己判断で回答する前に、横浜のタングラム法律事務所など、この分野を扱う弁護士に相談することをおすすめします。

インスタの投稿で意見照会書が届いた方へ

タングラム法律事務所(横浜)では、発信者情報開示請求に係る意見照会への対応について、豊富な取扱い実績を有しております。回答期限が短いことが多いため、書面が届いたらお早めにご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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