タングラム法律事務所

意見照会書についてプロバイダに問い合わせてよいか|トレント対応

意見照会書についてプロバイダに問い合わせてよいか|トレント対応

意見照会書についてプロバイダに問い合わせてよいか|トレント対応

意見照会書についてプロバイダに問い合わせてよいか|トレント対応

意見照会書についてプロバイダに問い合わせてよいか|トレント対応

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月28日 最終更新日:2026年10月28日

BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由に、契約しているプロバイダから意見照会書が届いた――。書面を読んでも分からない点が多く、「プロバイダに電話して聞いてみてもいいのだろうか」「問い合わせたら、かえって不利になるのではないか」と迷う方は少なくありません。

この記事では、意見照会書についてプロバイダに問い合わせること自体に問題があるのか、問い合わせで確認できることと教えてもらえないこと、電話で話すときに注意したい点を、発信者側の立場から整理します。

結論として、意見照会書の真偽や回答期限、回答書の提出方法といった手続面の確認であれば、プロバイダの公式窓口に問い合わせても差し支えないと考えられます。一方で、開示されるかどうかの見込みや回答の仕方をプロバイダに尋ねても答えは期待しにくく、利用状況などの事実関係を電話で詳しく話すことは控えたほうが安全です。意見は、回答書という書面で伝えるのが基本です。

意見照会書についてプロバイダに問い合わせてもよいのか

意見照会書は、権利者側から発信者情報の開示を求められたプロバイダが、発信者の意見を聴くために送る書面です。情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)6条1項は、プロバイダが開示の請求を受けたときは、発信者と連絡することができない場合などを除き、開示に応じるかどうかについて発信者の意見(応じるべきでないとする場合はその理由を含む)を聴かなければならないと定めています。

つまり、プロバイダは権利者側の代理人ではなく、請求者と発信者の双方の言い分を踏まえて開示に応じるかどうかを判断する立場にあります。照会を受けた契約者が、手続について分からない点をプロバイダに確認すること自体は、通常の問い合わせの範囲内といえます。問い合わせをしたことが、それだけで開示の判断に不利に働くと考える理由は特にありません。

ただし、問い合わせは「回答」ではありません。開示に同意するかどうか、同意しない場合の理由は、照会書に同封された回答書で伝える仕組みになっています。電話で事情を説明したから回答したことになる、というものではない点に注意してください。

プロバイダへの問い合わせで確認できること

手続面の事項であれば、問い合わせによって確認できることがあります。確認しておきたい代表的な事項は次のとおりです。

確認したい事項確認する意味
照会の有無(書面が本物か)架空請求との区別。書面に印刷された番号ではなく、公式サイトや契約書類に記載された窓口で確認する
回答期限と起算日期限が「受領日から」なのか、特定の日付なのかを確認する
期限内に回答できない場合の扱い延長の可否や、遅れる事情を伝える方法を確認する
回答書の提出方法・宛先郵送先、同封の書式を使うべきか、別紙を添付してよいか
同封書類の欠落・判読できない箇所請求書の写しや添付資料のページが欠けていないか、読めない部分がないか

書面の真偽を確かめる具体的な方法は「意見照会書は詐欺か本物か|トレント開示請求の確認方法と注意点」で解説しています。

回答期限について、情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会が公表している業界統一書式(2025年5月からの書式)の意見照会書は、照会書を受け取った日から2週間以内の回答を求めるとともに、2週間以内に回答できない事情がある場合はその理由を知らせるよう求めています。実際の書式はプロバイダによって異なりますが、期限に間に合わないおそれがあるときは、黙って期限を過ぎるのではなく、早めに連絡しておくことが大切です。期限を過ぎてしまった場合の対応は「トレント意見照会書の回答期限に間に合わないとき|期限後の対応」をご参照ください。

問い合わせても教えてもらえないこと

一方で、次のような事項は、問い合わせても答えてもらえないか、答えが期待しにくいと考えられます。

  • 開示されるかどうかの見込み:プロバイダは回答書の内容も踏まえて判断する立場にあり、照会の段階で結論を示すことは通常ありません
  • どのように回答すべきか:同意するべきか、どのような理由を書けばよいかといった助言は、判断者であるプロバイダの役割ではありません
  • 同封書類で伏せられている情報:プロバイダの中には、請求者に対し、発信者への意見照会用の書類では開示を希望しない情報をマスキングするよう案内しているところもあります。伏せられた部分の内容を問い合わせで知ることは難しいと考えられます
  • 示談金の額や権利者側の方針:プロバイダは示談の当事者ではないため、請求額や交渉の見通しは分かりません

同封された添付資料に何が書かれているのか(ファイルのハッシュ値、IPアドレス、ポート番号、発信日時など)は、問い合わせるよりも、まず書面そのものを読み解くほうが確実です。読み方は「トレント意見照会書の添付資料の読み方|ハッシュ値・IPアドレスの確認」で解説しています。

電話で話すときに注意したいこと

問い合わせをする場合も、話す内容には注意が必要です。特に気をつけたいのは、利用状況などの事実関係を口頭で詳しく説明してしまうことです。

業界統一書式(2025年5月からの書式)では、加入者のご家族・同居人向けの回答書に、理由や証拠は原則としてそのまま相手方に通知される旨の注記があり、回答書には、相手方にとって発信者を特定し得る情報は黒塗りなどで隠すよう求める注記もあります。書面ですらこのように扱われるのですから、電話での発言がどのように記録され、どのように扱われるかは外からは分かりません。「家族も使っていたかもしれない」「そのソフトは入れていた」といった不用意な一言が、後の主張と食い違う原因になるおそれもあります。

問い合わせの際は、次の点を意識するとよいでしょう。

  • 確認するのは手続面(真偽・期限・提出方法・書類の欠落)に限り、事実関係の説明は回答書に委ねる
  • 連絡先は書面に印刷されたものではなく、公式サイトや契約書類で調べた窓口を使う
  • 問い合わせた日時、担当部署、確認できた内容をメモに残す
  • その場で「同意します」「認めます」といった意思表示をしない

問い合わせの前に整理しておきたいこと

問い合わせの前に、照会書の日付と受け取った日、回答期限、対象とされている作品のジャンル・発信日時・IPアドレスを確認し、手元の書類がそろっているかを見ておくと、聞くべきことが絞り込めます。そのうえで、開示に同意するかどうか、同意しない場合にどのような理由を書くかは、回答期限までに方針を決める必要があります。

弁護士に依頼した場合は、弁護士が代理人として回答書を作成・提出し、期限や提出方法に関するプロバイダとのやり取りも代理人を通じて行うのが一般的です。ご本人が電話で事情を話す必要がなくなるため、不用意な発言のリスクを避けやすくなります。意見照会段階での対応は、横浜の当事務所の意見照会対応のページでもご紹介しています。BitTorrentの事案に特化した回答から示談までの流れと弁護士費用は、BitTorrent著作権侵害の意見照会書が届いた方向けの特設ページでご案内しています。

よくある質問

意見照会書についてプロバイダに電話したら、開示に不利になりますか。

問い合わせたこと自体が開示の判断に不利に働くと考える理由は特にありません。照会の有無や回答期限、回答書の提出方法といった手続面の確認であれば、問い合わせても差し支えないと考えられます。ただし、利用状況などの事実関係を口頭で詳しく説明することは控え、意見は回答書で伝えるようにしてください。

回答期限に間に合いそうにないときは、プロバイダに連絡したほうがよいですか。

連絡しておくことをおすすめします。業界統一書式の意見照会書は、照会書を受け取った日から2週間以内の回答を求めるとともに、期限内に回答できない事情がある場合はその理由を知らせるよう求めています。延長が認められるかどうかはプロバイダの判断ですので、連絡した日時と内容は記録しておいてください。

プロバイダに聞けば、開示されるかどうか教えてもらえますか。

見込みを教えてもらうことは期待しにくいと考えられます。プロバイダは発信者の意見を聴いたうえで開示に応じるかどうかを判断する立場にあり、どのように回答すべきかを助言する立場にはないためです。開示の見通しや回答の方針は、弁護士に相談して検討するのが適切です。

プロバイダに話した内容は、権利者側に伝わりますか。

電話での会話がどのように記録・扱われるかは、プロバイダによって異なり、外からは分かりません。なお、業界統一書式の回答書には、理由や証拠は原則としてそのまま相手方に通知される旨の注記があるものもあります。相手方に伝わって困る内容は、口頭でも書面でも、不用意に伝えないことが大切です。

まとめ

意見照会書の真偽や回答期限、回答書の提出方法といった手続面の事項は、プロバイダの公式窓口に問い合わせて確認しても差し支えないと考えられます。期限に間に合わないおそれがあるときは、早めに連絡しておくことが大切です。一方で、開示の見込みや回答の仕方をプロバイダに尋ねても答えは期待しにくく、利用状況などの事実関係を電話で話すことは控え、意見は回答書で伝えるのが基本です。回答の方針に迷う場合は、回答期限が過ぎる前に弁護士に相談することをおすすめします。

横浜の当事務所では、全国の方からのBitTorrent事案のご相談に、弁護士がオンラインで対応しています。

BitTorrent著作権侵害の意見照会対応の詳細はこちら

意見照会書の扱いに迷っている方へ

タングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由とする意見照会書への対応から、開示後の損害賠償請求・示談交渉まで数多く取り扱っております。届いた照会書と添付資料を確認し、事情を伺ったうえで、回答の方針と回答書の作成・提出についてご説明します。BitTorrentの意見照会に関するご相談に限り、オンライン(20分程度)で無料のご相談を承っています(その他の分野のご相談は対象外です)。

法律相談の予約はこちら

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

発信者情報開示請求・削除請求について見る

意見照会書や損害賠償請求の通知が届いた方へのご案内

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。