タングラム法律事務所

トレントの開示請求はこれから来るか|意見照会書が届く前にできること

トレントの開示請求はこれから来るか|意見照会書が届く前にできること

トレントの開示請求はこれから来るか|意見照会書が届く前にできること

トレントの開示請求はこれから来るか|意見照会書が届く前にできること

トレントの開示請求はこれから来るか|意見照会書が届く前にできること

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年11月4日 最終更新日:2026年11月4日

以前BitTorrent(トレント)を使っていた。周囲の話やネットの記事を見て、「自分のところにも意見照会書が届くのではないか」と気になり始めた。まだ何も届いていないものの、郵便受けを見るたびに不安になる――。このような状態で情報を探している方は少なくありません。

この記事では、意見照会書がまだ届いていない段階で分かることと分からないこと、いつまで可能性が残るのか、今のうちに行うべきことと控えるべきことを、発信者側の立場から解説します。

結論として、トレントを使っていた人に意見照会書が届くかどうかを事前に確かめることは、一般にはできません。通信記録の保存期間と損害賠償請求ができる期間は別の問題であり、「何か月たったから大丈夫」とも言い切れません。今できることは、共有を確実に止めること、利用状況を記録しておくこと、そして書面が届いたときに回答期限内に動ける準備をしておくことです。

意見照会書が届くかどうかは事前に分からない

意見照会書は、権利者から発信者情報の開示請求を受けたプロバイダが、開示に応じるかどうかについて発信者の意見を聴くために送るものです(情報流通プラットフォーム対処法6条1項)。トレントを使ったことで自動的に届くわけではなく、権利者側が通信を記録し、プロバイダへ開示を請求して、はじめて手続が動きます。

そのため、次の点はいずれも本人には見通せません。

  • 自分が共有した作品について、権利者が通信を記録していたか
  • 権利者が自分の回線のIPアドレスについて開示請求を行うか、行うとすればいつか
  • プロバイダに、対象の日時の記録が残っているか

開示請求の有無を本人が事前に照会できる一般的な仕組みも、通常はありません。ですから、「使っていたから必ず届く」とも、「今まで届いていないから届かない」ともいえません。不安な状態が続くのはつらいことですが、まずは見通せない部分があると理解したうえで、自分で管理できることに集中するのが現実的です。

いつまで可能性が残るのか|ログ保存期間と時効は別の問題

「いつまで待てば安心か」を考えるときは、プロバイダの通信記録の問題と、損害賠償請求権の時効の問題を分ける必要があります。

区分内容注意点
プロバイダの通信記録法律に一律の保存期間の定めはなく、公的な指針では接続認証ログについて6か月程度の保存が一つの目安とされています目安にすぎず、事業者や事情によって異なります。手続の中で記録の消去禁止が命じられる場合もあります
損害賠償請求権の時効損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年(民法724条)3年の起算点は「利用した時」ではなく、権利者が損害と加害者を知った時です

通信記録が消えれば、回線の契約者を特定することは難しくなります。時間の経過が特定を難しくする方向に働くことは確かですが、記録がいつ消えたかを利用者が知ることはできず、すでに権利者が手続を進めている可能性もあります。

時効についても、「最後に使ってから3年たてば終わり」という理解は正確ではありません。開示によって権利者が加害者を知った時点が3年の起算点になり得るため、利用から時間がたった後に請求を受ける場合もあります。保存期間と遡及の考え方は、プロバイダのログ保存期間といつまで遡られるかの記事で詳しく解説しています。

今すぐ行うこと|まず共有を確実に止める

最優先は、共有を止めることです。トレントのソフトは、ウィンドウを閉じてもバックグラウンドで動き続けている場合や、パソコンの起動時に自動で立ち上がる場合があります。次の点を確認してください。

  • ソフトが完全に終了しているか(タスクトレイ等に常駐していないか)
  • 自動起動の設定が残っていないか
  • 別のパソコン、NAS、家族の端末などで動いていないか
  • シードボックスなど、外部のサービスを契約したままになっていないか

共有を止めることで過去の行為がなくなるわけではありませんが、侵害状態を続けないことには大きな意味があります。使い続けることのリスクは、意見照会書が届いた後も使い続けた場合のリスクの記事で扱っており、損害の期間との関係は書面が届く前の段階でも同じように重要です。

共有の停止と、データや履歴の全面的な消去は別の問題です。「すべて消せば安心」とはならず、後で事実を確認する手がかりまで失うことがあります。書面が届いた後は、自己判断で消去せず、弁護士に相談してください。

記録しておきたいこと|後で思い出せなくなる前に

意見照会書が届くのは、利用から時間がたった後かもしれません。その時点で正確に思い出すのは簡単ではないため、次のような事実を、自分用のメモとして整理しておくと役立ちます。

項目メモしておく内容
利用期間使い始めた時期、やめた日(できるだけ具体的に)
端末・ソフト使っていた端末、ソフトの名称、主な設定
回線回線の契約者、プロバイダ、当時の住所、解約や転居の有無
他の利用者同居の家族やWi-Fiを使っていた人の有無
対象覚えている範囲での作品のジャンル、やり取りした時期

回線の契約者が親や配偶者である場合、意見照会書は原則として契約者宛に届きます。自分が使っていた回線でも、郵便物を先に受け取るのは家族かもしれません。また、不安からSNSや質問サイトに具体的な内容を書き込むことは控えてください。自分の利用を認める書き込みが、後で不利に働くおそれがあります。

自分から権利者やプロバイダに連絡すべきか

不安が強いと、「先に謝って示談してしまいたい」「プロバイダに聞けば分かるのでは」と考えることがあります。しかし、この段階では慎重に考えるべきです。

開示請求がされていない段階では、権利者があなたの氏名や住所を知らない可能性があります。そもそも権利者が記録しているかも分からない状態で自分から名乗り出ると、争う余地を自ら手放し、請求の相手として知られる結果になりかねません。意見照会段階での連絡の是非は、開示前に自ら示談を申し出ることの是非についての記事で解説していますが、書面が届く前の段階では、より慎重な判断が必要です。

刑事面が気になる方もいるでしょう。刑法42条には自首による減軽の規定がありますが、減軽は「することができる」とされているにとどまります。また、著作権法119条1項の罪などは、原則として告訴がなければ起訴できない親告罪とされています(著作権法123条1項。一定の場合には例外があります)。意見照会は民事の手続であり、書面が届いていないことを前提に一律の行動を勧めることはできません。刑事事件への発展を具体的に心配する事情があれば、個別に弁護士へ相談してください。

また、「開示請求が来ています」「今すぐ示談を」などと連絡してくる不審なメールや電話には注意が必要です。意見照会は通常、プロバイダから書面等で行われます。連絡先が不自然な場合は、書面に記載された番号ではなく、プロバイダの公式サイトで確認した窓口を利用してください。

書面が届いたときに慌てないために

実際に書面が届いた場合は、まず次の順で確認します。

  1. 書面の種類を確認する:プロバイダからの意見照会書か、開示決定の通知か、権利者の代理人からの通知書かによって、取るべき対応が異なります。
  2. 回答期限を確認する:意見照会書には回答期限があります。放置すると、自分の意見を伝える機会を失います。
  3. 発信日時と対象作品を確認する:メモと照合し、回線や端末の状況と合っているかを確認します。
  4. 回答前に弁護士に相談する:回答の内容は、その後の開示や交渉に影響することがあります。

回答の考え方や手続の全体像は、発信者情報開示の意見照会対応のページでご案内しています。意見照会書が届いた場合の費用や進め方の詳細は、BitTorrentの意見照会書が届いた方向けのご案内をご確認ください。

よくある質問

トレントのソフトを削除すれば、開示請求は来なくなりますか。

来なくなるとはいえません。開示請求の対象になるのは、権利者側が記録した過去の通信です。ソフトを削除しても、すでに記録された通信がなくなるわけではありません。ただし、共有を止めることには、侵害状態を続けないという意味があります。

何年たてば、もう届かないと考えてよいですか。

一律の年数を示すことはできません。プロバイダの通信記録には保存期間の問題があり、時間の経過とともに特定が難しくなる可能性はありますが、記録の扱いは事業者や事情によって異なります。また、損害賠償請求権の消滅時効は、利用をやめた日から当然に3年で完成するものではありません。

ダウンロードしただけのつもりでも、対象になりますか。

対象になる可能性があります。BitTorrentは、ダウンロード中に受信した部分を他の利用者へ送信できる状態にする仕組みが基本であるためです。実際の設定や利用状況によって事情は異なります。

回線を解約したり引っ越したりすれば、書面は届きませんか。

届かないとは限りません。解約後でも、プロバイダに契約者の記録が残っていれば、意見照会の連絡が行われる可能性があります。引っ越しによって書面の受け取りが遅れると、回答の機会を逃すおそれもあります。

意見照会書が届く前でも、弁護士に相談できますか。

一般的な法律相談として受けられる場合はありますが、書面がない段階では対象の作品や発信日時が分からないため、助言は一般論が中心になります。なお、当事務所の無料のオンライン相談は、BitTorrentの意見照会書が届いた方を対象としています。

まとめ

意見照会書が届くかどうかを事前に確かめることは、一般にはできません。ログ保存期間と時効は別の問題であり、時間の経過だけで安心とはいえない一方、今できることは明確です。共有を確実に止め、利用状況を記録し、自分から不用意に名乗り出ず、書面が届いたら回答期限内に動くことが大切です。

書面が届いた場合は、一人で判断せず、早めに弁護士へご相談ください。横浜の当事務所では、全国の方からのBitTorrent事案のご相談に、弁護士がオンラインで対応しています。

BitTorrent著作権侵害の意見照会対応の詳細はこちら

トレントの意見照会書が届いてお困りの方へ

タングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由とする意見照会書への対応から、開示後の損害賠償請求・示談交渉まで数多く取り扱っております。届いた書面の内容と利用状況を伺い、回答の方針をご説明します。BitTorrentの意見照会書が届いた方のご相談に限り、オンライン(20分程度)で無料のご相談を承っています(その他の分野のご相談は対象外です)。

法律相談の予約はこちら

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

発信者情報開示請求・削除請求について見る

意見照会書や損害賠償請求の通知が届いた方へのご案内

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。