不倫慰謝料を請求する弁護士費用はいくら?費用倒れを防ぐ考え方
不倫慰謝料を請求する弁護士費用はいくら?費用倒れを防ぐ考え方
執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年11月5日 最終更新日:2026年11月5日
配偶者の不倫を知り、相手に慰謝料を請求したい。けれども、弁護士に頼むといくらかかるのか、費用を払ったら手元にほとんど残らないのではないか。そうした不安から、相談そのものをためらっている方は少なくありません。
この記事では、不倫慰謝料を請求する側の弁護士費用について、費用の内訳と目安、交渉と訴訟の違い、手元に残る金額の計算例、費用倒れになりやすいケース、費用負担を抑える方法を、横浜の弁護士が順に解説します。
結論として、不倫慰謝料を請求する弁護士費用は、着手金・報酬金・実費で構成され、公開情報では交渉の着手金は10万〜30万円程度、報酬金は回収額の10〜20%程度とする例が見られます。費用倒れになるかどうかは、費用の額だけでなく、証拠の強さ、見込まれる慰謝料額、相手の支払能力で決まるため、依頼前にこれらを照らし合わせて確認することが大切です。
不倫慰謝料を請求する弁護士費用の内訳と目安
弁護士報酬は事務所ごとに定められており、全国一律の金額はありません。公開情報に見られる一般的な目安は次のとおりです。
| 費目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 相談料 | 依頼前の法律相談の費用 | 30分5,000円程度とする例 |
| 着手金 | 依頼時に支払う費用。結果にかかわらず必要となるのが通常 | 交渉で10万〜30万円程度とする例 |
| 報酬金 | 成果に応じて支払う費用 | 回収額の10〜20%程度とする例、固定額を組み合わせる例 |
| 実費 | 郵送料、交通費、裁判所の手数料など | 手続の内容により異なる |
表はあくまで傾向であり、離婚の協議や調停も併せて依頼するか、不倫相手と配偶者の双方に請求するかなどによって費用は変わります。当事務所の費用体系は弁護士費用のページをご覧ください。
交渉と訴訟で弁護士費用はどう変わるか
交渉で解決できれば、費用は着手金・報酬金と少額の実費で済むことが多いといえます。これに対し、相手が請求を無視したり争ったりして訴訟に進むと、追加の着手金や日当が定められている場合があり、解決までの期間も長くなりがちです。交渉の着手金に訴訟まで含まれるのか、訴訟に移行するときにいくら追加になるのかは、契約前に確認しておきたい点です。
訴訟では、裁判所に納める手数料もかかります。裁判所の手数料額早見表(令和8年9月15日改訂)によると、令和8年5月21日以後に提起する訴えの手数料は次のとおりです(被告が1名の場合)。
| 請求額(訴額) | 書面で申し立てる場合 | 電子で申し立てる場合 |
|---|---|---|
| 100万円 | 12,500円 | 11,400円 |
| 200万円 | 17,500円 | 16,400円 |
| 300万円 | 22,500円 | 21,400円 |
民事訴訟のデジタル化により、郵便費用は手数料に一本化され、別途の納付は不要になりました。被告が2名以上の場合は、1名増えるごとに2,000円が加算されます。裁判の流れは不貞慰謝料の裁判にかかる期間と費用の目安でも解説しています。
手元にいくら残る?回収額別の計算例
依頼を判断するうえで重要なのは、費用の額そのものより「手元にいくら残るか」です。説明のため、着手金20万円、報酬金は回収額の15%と仮定して計算すると、次のようになります(税・実費は考慮していません)。
| 回収額 | 着手金 | 報酬金 | 手元に残る額 |
|---|---|---|---|
| 200万円 | 20万円 | 30万円 | 150万円 |
| 100万円 | 20万円 | 15万円 | 65万円 |
| 50万円 | 20万円 | 7.5万円 | 22.5万円 |
| 0円 | 20万円 | 0円 | マイナス20万円 |
回収額が小さいほど費用の比重が高くなり、回収できなければ着手金が負担として残ります。もっとも、相手と直接やり取りしなくて済むこと、示談書で再発防止の条項を定められることなど、金額に表れない効果も併せて考えることが大切です。
費用倒れになりやすいケース
不貞慰謝料は、おおむね50万円から300万円程度が目安とされる傾向にありますが、事案による幅があります。次のような場合は回収額が見込みを下回るおそれがあるため、依頼前に慎重な検討が必要です。
- 証拠が弱い:肉体関係を推認できる証拠がなく、相手に否定されると立証が難しい場合
- 不貞の前に夫婦関係が破綻していた:破綻後の関係であれば、特段の事情がない限り責任を負わないとされています(最判平成8年3月26日民集50巻4号993頁)
- 相手が既婚者と知らず、過失もない:故意・過失がなければ不倫相手の責任は認められません
- 相手に支払能力がない:判決を得ても、財産や収入がなければ回収できない場合があります
- 配偶者からすでに慰謝料を受け取っている:配偶者と不倫相手の責任は共同不法行為(民法719条)として重なるため、受領額によっては請求できる額が減ります
- 時効が迫っている:損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効により消滅します(民法724条)
不倫相手の氏名や住所が分からず、連絡先がLINEしかない場合は、LINEしか知らない相手の特定(弁護士会照会)という方法を検討できる場合がありますが、特定の費用も加わります。全体の費用は不倫相手の特定から慰謝料請求までの期間と費用で解説しています。
弁護士費用の負担を抑える・補う方法
判決で弁護士費用相当額が認められることがある
不法行為の被害者が訴訟を弁護士に委任した場合、事案の難易や認容額などを考慮して相当と認められる範囲の弁護士費用は、不法行為と相当因果関係のある損害にあたるとされています(最判昭和44年2月27日民集23巻2号441頁)。実務では認容額の1割程度が目安とされますが、実際の費用全額が認められるわけではなく、和解では加算されないことも少なくありません。詳しくは不貞慰謝料の弁護士費用は相手方に請求できるかをご覧ください。
弁護士費用特約を確認する
自動車保険や火災保険などに弁護士費用の特約が付いていても、対象となる事故の範囲は約款で異なります。不貞慰謝料が対象かどうかは、保険会社に確認してください。詳しくは不貞慰謝料請求に弁護士費用特約は使えるかで解説しています。
法テラスの立替制度を検討する
日本司法支援センター(法テラス)の代理援助は、①収入と資産が資力基準以下であること、②勝訴の見込みがないとはいえないこと、③民事法律扶助の趣旨に適することの3つを満たす場合に利用できます。立替えられた費用は、利息なしの分割で返済します。利用の可否は依頼先や法テラスに確認してください。
自分で請求する場合との比較
費用を抑えるために、自分で内容証明を送ったり交渉したりすることも可能です。一方で、相手が応じないまま時間が過ぎる、感情的な対立で話が進まない、示談書の不備で後に紛争が再燃するといったリスクがあります。自分で対応する場合の注意点は不貞慰謝料請求を弁護士なしで行うリスクとデメリットで解説しています。
交渉だけを依頼する、内容証明の段階で相手の反応を見るなど、段階を区切って判断する方法もあります。横浜周辺で依頼先をお探しの方は、不貞慰謝料請求の取扱分野ページもご参照ください。
弁護士に依頼する前に確認したいポイント
- 着手金に含まれる範囲(交渉のみか、訴訟までか)
- 訴訟に移行した場合の追加費用と日当の有無
- 報酬金の計算基準(回収額か、請求額か、固定額か)
- 回収できなかった場合に負担する金額
- 見込まれる慰謝料額と、そう考える根拠
- 相手の支払能力に不安がある場合の見通し
よくある質問
不倫慰謝料の請求を弁護士に依頼すると、総額でいくらかかりますか?
事務所や事案によって異なります。公開情報では、交渉の着手金は10万〜30万円程度、報酬金は回収額の10〜20%程度とする例が見られ、これに実費が加わります。訴訟に進む場合は追加の費用が生じることもあるため、交渉から訴訟までの総額を依頼前に確認することが大切です。
慰謝料を回収できなかった場合、弁護士費用はどうなりますか?
成果に応じて発生する報酬金は、回収がなければ生じない定めが一般的です。一方、着手金は結果にかかわらず必要とされるのが通常で、実費もかかります。そのため、着手金と実費は自己負担になり得ることを前提に検討する必要があります。
弁護士費用を不倫相手に全額負担させることはできますか?
全額の負担を求めることは難しいと考えられます。訴訟の判決では、認容額の1割程度が弁護士費用相当の損害として加算される例がありますが、実際の費用全額ではありません。交渉や和解では、相手の合意がなければ負担させることはできません。
金額が少なそうな場合でも相談する意味はありますか?
金額が少なそうな場合こそ、費用倒れにならないかを依頼前に確認する意味があります。見込額が低ければ、交渉に限定して依頼する、自分で対応するといった選択もあります。証拠の強さや相手の資力を踏まえて、どこまで進めるかを整理できます。
まとめ
不倫慰謝料を請求する弁護士費用は、着手金・報酬金・実費で構成され、金額は事務所や事案によって異なります。費用倒れを防ぐには、証拠の強さ、見込まれる慰謝料額、相手の支払能力、時効までの期間を確認し、回収できなかった場合の負担まで含めて判断することが大切です。
弁護士に相談すれば、請求を進める価値があるか、どの段階まで依頼するかを具体的に検討できます。横浜のタングラム法律事務所でも、費用の見通しを含めてご説明しています。
不倫慰謝料の請求を検討している方へ
タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求の事案について豊富な実績を有しております。費用倒れにならないか、どの段階まで依頼すべきかを含めて、事案に即してご説明いたします。
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