タングラム法律事務所

メルカリ・Xでのチケット取引と開示請求|どこまで記録が残るのか

メルカリ・Xでのチケット取引と開示請求|どこまで記録が残るのか

メルカリ・Xでのチケット取引と開示請求|どこまで記録が残るのか

メルカリ・Xでのチケット取引と開示請求|どこまで記録が残るのか

メルカリ・Xでのチケット取引と開示請求|どこまで記録が残るのか

チケットの譲渡について調べていると、「転売サイトは危ないが、フリマアプリやSNSの個人間のやり取りなら大丈夫」という趣旨の説明を目にすることがあります。相手の顔が見えるぶん、閉じたやり取りに見えるのかもしれません。

しかし、記録がどこに残るのかという観点から見ると、この理解は正確ではありません。この記事では、メルカリのチケット出品ルール、取引の記録が残る3つの場所、X(旧Twitter)での「定価譲渡」の募集が特定につながる理由を、弁護士が整理します。

メルカリではチケットの出品自体が制限されている

まず前提として、メルカリの公式ガイドは、チケット類のうち出品が禁止されるものを具体的に挙げています。公表されている範囲では、次のようなものが含まれます。

  • 転売目的で得たとみなされるチケット
  • 記名式チケットや、個人情報の登録のあるチケット
  • 使用が利用者本人に限られているもの
  • 出品者の手元にない、まだ発券されていない状態のチケット類(予約番号のみのものを含む)
  • QRコード等の電子データによるチケット

近年のコンサートチケットは、本人確認や電子チケットの仕組みを備えたものが増えています。そうしたチケットは、そもそも出品が認められていない類型に当たりやすいということです。規約違反であることは、法的な評価とは別の問題ですが、事後に事実関係を説明する際の前提として押さえておく必要があります。

取引の記録は3か所に残る

「個人間だから記録が残らない」という感覚は、記録を残す主体を1つしか想定していないところに原因があります。実際には、次の3か所に分かれて残ります。

残る場所残るもの自分で消せるか
プラットフォーム出品内容、取引の成立、通信記録(IPアドレス・送信日時など)、本人確認に関する情報消せない
取引の相手方やり取りの画面、募集の投稿の控え、受け取ったチケットそのもの消せない
お金の流れ振込の記録、送金アプリの履歴、取引の明細消せない

アカウントを削除して消えるのは、自分から見える表示だけです。事業者が保有する記録は残りますし、相手方の手元にあるやり取りは、こちらの操作では動かせません。

開示請求は、必ずしもプラットフォームの記録だけを出発点とするわけではありません。相手方が興行主に情報を提供した、という経路もあり得ます。「サイトを経由していないから追えない」という前提は成り立ちません。

SNSでの「定価譲渡」の募集はどう扱われるか

Xなどで「定価でお譲りします」と募集し、やり取りはDMで行い、受け渡しは当日に、という形をとる方がいます。この場合、外から見えているのは募集の投稿だけです。

ここで重要なのは、公開された投稿そのものが、開示請求の対象になり得るという点です。誰に譲ったかが分からなくても、その投稿を行った通信の記録をたどるという流れは、転売サイトの場合と変わりません。仕組みの全体像はなぜ匿名のチケット転売出品者が特定されるのかで解説しています。

ログイン型のサービスに固有の事情

SNSのように、ログインして利用するサービスでは、投稿そのものの通信記録が保存されていないことがあります。この場合でも手続が終わるわけではありません。情報流通プラットフォーム対処法は「侵害関連通信」という枠組みを設けており、同法施行規則第3条は、これに係るIPアドレスやSIM識別番号などを「特定発信者情報」として位置づけています。

平たくいえば、投稿時の記録がなくても、アカウントへのログインに関する記録が、一定の要件のもとで開示の対象になり得るということです。長く使っているアカウントほど、手がかりは多く残ります。

取引が興行主に把握される経路

そもそも、なぜ個人間のやり取りが興行主の知るところとなるのか。経路はひとつではありません。

  • 公開されている出品・投稿から:公演名や日程で検索すれば、公開の出品や募集は誰でも確認できます
  • 入場の場面から:本人確認を伴うチケットでは、名義と入場者が一致しないことが入場時に判明することがあります
  • 取引の相手方から:入場できなかった購入者が、興行主に事情を申告することがあります

とくに3つ目は見落とされがちです。譲った相手が入場できなければ、その相手にとって、譲渡人の情報を明かすことは自分の不利益にはなりません。閉じたやり取りだったはずのものが、この経路で表に出ることがあります。

「定価だから問題ない」といえるか

定価での譲渡であれば、チケット不正転売禁止法が定める「定価を超える価格」という要素を欠きます。この点は、開示に同意しない理由としても、その後の交渉においても、意味を持つ事情です。

もっとも、興行主が主張する権利侵害は同法違反に限られません。規約で譲渡が禁止されているチケットを譲った、本人確認を回避した、といった事情が別途問題にされることがあります。価格をめぐる整理はチケットを定価以下で譲るのは違法かをご覧ください。

書面が届いたときにまずすること

メルカリやSNSでの取引について、携帯電話会社やプラットフォームから意見照会書が届くことがあります。届いた段階ですべきことは、経路が変わっても同じです。

  • 書面に記載された対象の日時・投稿内容・IPアドレスを確認する
  • アカウントを削除する前に、やり取りと入金の記録を保存する
  • 回答期限を控え、期限内に意見を述べる
  • 定価であったこと、単発であったことを示せる資料を揃える

具体的な進め方はチケット転売で意見照会書が届いたらを、当事務所の対応の流れと費用はチケット転売の発信者情報開示請求への対応ページでご案内しています。

よくある質問

個人同士のやり取りでも開示請求の対象になりますか。

取引の相手が個人であることと、開示請求ができるかどうかは別の問題です。開示請求を行うのは取引の相手ではなく、権利を侵害されたと主張する興行主等です。募集の投稿や出品が公開されていれば、その通信について開示を求めることが考えられます。

アカウントを消せば、記録も消えますか。

消えるのは自分から見える表示であって、事業者が保有する記録や、相手方の手元にあるやり取りの控えは残ります。むしろ、定価以下で譲ったことなど自分に有利な事情を示す資料まで確認できなくなるため、削除は勧められません。

現金の手渡しなら記録は残りませんか。

お金の流れの記録は残らないかもしれませんが、取引にいたるやり取り自体は相手方の端末に残ります。また、金銭の授受は権利侵害の有無を判断する要素のひとつにすぎず、記録が残らないことが結論を左右するとは限りません。

何年も前のやり取りでも問題になりますか。

事業者の通信記録は数か月程度で失われることが多い一方、損害賠償請求そのものには別途の期間の定めがあります。古い取引であることは有利に働き得る事情ですが、それだけで請求が否定されるわけではありません。

まとめ

  • メルカリの公式ガイドは、記名式・本人限定・電子データのチケットなどの出品を禁止している
  • 取引の記録は、プラットフォーム・相手方・お金の流れの3か所に分かれて残る
  • アカウントの削除で消えるのは自分から見える表示だけで、事業者と相手方の記録は残る
  • SNSの募集投稿も開示請求の対象になり得る。ログイン型では特定発信者情報の枠組みが問題になる
  • 定価であることは意味のある事情だが、規約違反など別の主張がされることもある

フリマアプリやSNSでの譲渡は、閉じたやり取りに見えても、記録の残り方は転売サイトと大きく変わりません。書面を受け取った方、あるいは過去の取引が気にかかっている方は、資料を保存したうえで、横浜のタングラム法律事務所までご相談ください。オンラインで全国から対応しています。

フリマアプリ・SNSでの譲渡で書面が届いた方へ

タングラム法律事務所(横浜・山下公園)は、チケット転売を理由とする発信者情報開示請求について、意見照会書への回答書の作成・内容確認から、開示後の損害賠償請求への対応・示談交渉まで取り扱っています。オンラインで全国からご相談いただけます。回答期限がある場合は、その日付をお知らせください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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