タングラム法律事務所

内容証明が届いたら|チケット転売の損害賠償請求書への対応手順

内容証明が届いたら|チケット転売の損害賠償請求書への対応手順

内容証明が届いたら|チケット転売の損害賠償請求書への対応手順

内容証明が届いたら|チケット転売の損害賠償請求書への対応手順

内容証明が届いたら|チケット転売の損害賠償請求書への対応手順

厚みのある封筒が届き、開けると「内容証明郵便」と印字された書面に、覚えのある公演名と、見たことのない金額が並んでいる。チケット転売を理由とする損害賠償請求では、この形で最初の請求が届くことが少なくありません。

この記事では、内容証明という書面が何を証明するものなのか、届いたらどこを最初に確認するのか、期限までに何をして何をしてはいけないのか、そして返事をしないまま放置した場合に手続がどう進むのかを、順を追って整理します。

内容証明は何を証明する書面か

日本郵便の案内によれば、内容証明とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出したかを郵便局が証明するサービスです。あわせて、郵便局が証明するのは内容文書が存在したことであって、文書の内容が真実かどうかを証明するものではないと明記されています。

ここは誤解されやすい点です。内容証明で届いたからといって、書かれている金額や事実関係が確定したわけではありません。相手方の主張が、送った日付とともに記録に残っているという以上の意味はありません。

裏を返せば、書面の中身は争えるということです。金額の内訳、損害との因果関係、出品の件数や価格の前提は、いずれも反論できる対象です。

最初に確認する5つの記載

不安な気持ちのまま読み進めると、金額だけが目に入ります。まず、次の5点を書き出してください。この5点が、その後の判断のすべての土台になります。

確認する項目見るポイント
①差出人興行主・権利者本人か、代理人弁護士か。弁護士名・所属事務所・登録番号の記載があるか
②宛名自分の氏名・住所が正確か。開示された契約者情報がそのまま使われているか
③対象とされた出品公演名、出品日時、サイト名、件数。自分の記憶と一致するか
④請求の内訳総額だけか、項目ごとの内訳があるか。遅延損害金の起算日はいつか
⑤回答期限と方法いつまでに、どこへ、どの方法で連絡するよう求められているか

③が自分の記憶と食い違う場合は、そこが最初の争点になります。逆に、内訳が総額しか書かれていない場合(④)は、内訳の説明を求めることが交渉の入口になります。請求額がどのような項目で組み立てられるかはチケット転売の損害賠償はいくらかで整理しています。

差出人が弁護士名義であっても、こちらから所属弁護士会に登録の有無を確認することはできます。記載された連絡先にすぐ電話するのではなく、まず書面の記載自体を確認してください。

なぜ「内容証明」で送られてくるのか

相手方が普通郵便ではなく内容証明を選ぶのには、理由があります。

ひとつは、証拠として残すためです。訴訟になったときに、いつどのような請求をしたかを示せます。

もうひとつは、時効との関係です。民法第150条第1項は、催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は完成しないと定めています。損害賠償請求権の時効期間が迫っている場合、内容証明による催告で、いったん完成を先延ばしにすることができるわけです。なお同条第2項は、完成猶予されている間に再度催告をしても、重ねて猶予の効力は生じないとしています。

したがって、書面が届いた時期そのものが、相手方の事情を映していることがあります。出品からかなり時間が経っているのに突然届いた場合、時効を意識した動きである可能性があります。時効の考え方はチケット転売で氏名・住所が開示された後で解説しています。

届いてすぐにしてはいけないこと

最初の数日の行動が、その後の交渉の幅を決めます。次の4つは避けてください。

  • その場で電話をかけて話す:記録が残らず、勢いで事実や金額を認めてしまいやすい
  • 一部でも入金する:支払う意思の表れと受け取られ、金額を争いにくくなることがある
  • 取引履歴やアカウントを消す:定価以下だった、単発だったという有利な資料まで失われる
  • 感情的な反論を書いて送る:主張の中身と関係のない記載が、その後に引用される

とくに2つ目は見落とされがちです。「とりあえず誠意を示そう」という気持ちからの少額の入金が、後で不利に働くことがあります。

回答期限までにすること

書面に書かれた期限は、差出人が一方的に設けたものであって、法律上の効力を持つものではありません。とはいえ、無反応のまま経過すれば訴訟に進みますので、期限は目安として尊重するのが現実的です。

期限までにすべきことは、次の3つです。

  • 資料を保存する:出品画面、取引履歴、入金記録、購入時のメールを画像やPDFで手元に残す
  • 事実関係を整理する:いつ、どの公演を、いくらで、何件出品したかを時系列に書き出す
  • 返答の方針を決める:認める部分と争う部分を切り分ける。金額を即答する必要はない

この段階で「全部認める」か「全部拒む」かの二択で考える必要はありません。出品した事実は認めるが、請求額の算定根拠は争うという組み立ては、実務上もよく用いられます。

返信するときの作法

ご自身で返信される場合、次の点に気をつけてください。

第一に、書面かメールで返すことです。控えが残る方法を選び、送った日付が分かるようにしておきます。

第二に、書く内容を絞ることです。書面を受領したこと、対象とされた出品について確認中であること、内訳の説明を求めること。この3点で足ります。聞かれていない過去の出品まで書き添える必要はありません。

第三に、断定を避けることです。記憶があいまいな部分について「〜だったはずです」と断定すると、後に取引記録と食い違ったときに説明全体の信用が下がります。確認中である旨を書くほうが安全です。

放置した場合に手続はどう進むか

「返事をしなければ、そのうち諦めるのではないか」という期待は、この類型では現実的ではありません。開示請求の費用をかけて特定に至っている以上、相手方には請求を続ける動機があります。

段階起きること
1. 催告内容証明による請求。期限が設けられる
2. 再度の連絡期限経過後、あらためて通知が届くことがある
3. 訴訟の提起裁判所から訴状と期日の呼出状が届く。無視すると相手方の主張どおりの判決が出得る
4. 強制執行判決が確定すれば、給与や預貯金の差押えという手続に進み得る

交渉の場に残っていること自体が、結果を軽くする方向に働きます。金額に納得できないからこそ、期限内に何らかの返答をしておく意味があります。

自分で返すか、依頼するかの見極め

対象が1件で、定価以下の譲渡であることを取引画面で明確に示せる事案であれば、ご自身で返信することも十分に考えられます。一方、出品が複数件にわたる、定価を超える価格で譲渡していた、請求額が大きいといった場合は、内訳への反論の組み立てが結果を左右します。

判断の目安と費用の考え方はチケット転売の開示請求は弁護士に依頼すべきかに、当事務所の対応の流れはチケット転売の発信者情報開示請求への対応ページにまとめています。

よくある質問

内容証明を受け取らなければ、支払わずに済みますか。

受け取りを拒んでも、請求そのものが消えるわけではありません。相手方は他の方法で意思表示を試み、最終的には訴訟を提起することができます。受け取らなかったという経緯自体が、交渉に応じる姿勢がないと評価される材料にもなり得ます。

書面に書かれた期限までに、金額を決めて返事をしなければなりませんか。

書面の期限は差出人が一方的に設けたものであり、法律上の効力があるわけではありません。もっとも、無反応のまま経過すると訴訟の提起につながります。金額を決められない段階でも、書面を受け取ったこと、内訳の説明を求めることを期限内に伝えておくのが現実的です。

相手方に電話をかけて、その場で話をしてもよいですか。

電話でのやりとりは記録が残らず、言った言わないになりやすい方法です。また、その場の勢いで金額や事実を認めてしまうことがあります。連絡は書面かメールで行い、内容を手元に残せる形にすることをおすすめします。

身に覚えのない請求でも、何か返事をする必要がありますか。

心当たりがないのであれば、その旨を期限内に伝えておくほうが安全です。無反応は「争っていない」と受け取られかねません。ただし、対象とされた出品の日時やサイト名を確認してから返すことが大切で、確認前に断定的な返事をすることは避けてください。

まとめ

  • 内容証明が証明するのは文書の存在であり、書かれた内容が真実であることではない
  • まず差出人・宛名・対象の出品・請求の内訳・回答期限の5点を書き出す
  • 内容証明が使われるのは、証拠化と、催告による時効の完成猶予(民法第150条第1項)のため
  • その場で電話する、一部入金する、履歴を消す、感情的に反論することは避ける
  • 期限内の返答は、受領の事実・確認中である旨・内訳の説明要求の3点で足りる
  • 放置すれば訴訟、判決、強制執行へと進み得る。交渉の場に残ることが負担を軽くする

請求書に書かれた金額は、相手方の主張であって、確定した債務ではありません。内訳を検討し、事案の実態を示す資料を揃えることで、結論が変わる余地があります。書面が届いた方は、期限の日付を添えて、横浜のタングラム法律事務所までご相談ください。

内容証明・請求書が届いた方へ

タングラム法律事務所(横浜・山下公園)は、チケット転売を理由とする発信者情報開示請求について、意見照会書への回答書の作成・内容確認から、開示後の損害賠償請求への対応・示談交渉まで取り扱っています。オンラインで全国からご相談いただけます。回答期限がある場合は、その日付をお知らせください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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