タングラム法律事務所

トレントの意見照会書が複数届いたら|作品ごと・回数ごとの対応

トレントの意見照会書が複数届いたら|作品ごと・回数ごとの対応

トレントの意見照会書が複数届いたら|作品ごと・回数ごとの対応

トレントの意見照会書が複数届いたら|作品ごと・回数ごとの対応

トレントの意見照会書が複数届いたら|作品ごと・回数ごとの対応

意見照会書が1通届いただけでも動揺するものですが、同じ封筒に複数枚が入っていた、あるいは1通目に対応している間に2通目・3通目が届いた、というご相談も少なくありません。「1件だけでも大変なのに、これが何件も続くのか」「まとめて一度に片づけられないのか」「1件目で対応を誤ったら、残りも全部だめになるのではないか」——複数の書面を前にしたときの不安は、1件のときとは質が違います。

結論から申し上げると、BitTorrent(トレント)に関する発信者情報開示の手続は、作品ごと・権利者ごと・通信ごとに、それぞれ独立した手続として進みます。一つにまとまってくれることを期待して待っていると、別々に進行する期限を取りこぼします。この記事では、複数の意見照会書を受け取った方に向けて、(1)「複数届いた」といっても型がいくつかあること、(2)手続がどの単位で立つのか、(3)回答期限の管理、(4)申立先の裁判所が分かれる場合があること、(5)併合されるとは限らないこと、(6)損害額の考え方、(7)全事件に共通して効く事情、(8)一つの示談では終わらない理由、(9)費用の見立て、という順で整理します。示談金の相場を示す記事ではなく、複数の手続が同時に走ることに固有の、管理と判断の問題を扱う記事だとお考えください。

「複数届いた」にはいくつかの型がある

まず、ご自身の状況がどの型に当たるのかを切り分けてください。型によって、次に確認すべきことも、想定される展開も変わります。届いた書面を並べて、差出人(プロバイダ)、権利者(開示を請求している者)、対象となっている作品、記載されている発信日時、整理番号の5点を突き合わせるところから始めます。

典型的な状況 確認すべきこと
①同じ権利者・同じ作品で発信日時が複数 1通の意見照会書の中に、複数の日時が一覧で記載されている 期間の始期と終期。同一の作品について継続して送信可能な状態にあったと評価される期間
②同じ権利者・作品が複数 同じ権利者が、複数の作品について別々に請求している 作品ごとに請求が立つこと。同一の権利者であれば、交渉は一本化できる可能性がある
③権利者が複数 別々の権利者から、それぞれ別の作品について照会が来ている 交渉相手が複数になること。一方との示談は他方に効力を持たない
④プロバイダが複数 固定回線とモバイル回線、引っ越しや乗り換えの前後など、複数の事業者から届いている どの回線がどの期間に対応するか。契約者名義が異なる回線が混在していないか

実務上は、これらが重なって現れることがほとんどです。たとえば「同じ権利者から3作品について、それぞれ複数の発信日時が記載された照会が、固定回線とモバイル回線の2社から届いている」といった具合です。数が多いほど混乱しますが、混乱の正体は、書面の枚数ではなく、独立して進行する期限と判断が同時に複数あることにあります。

届いた書面は、封筒も含めてすべて保管してください。消印や配達記録は、後で「いつ受け取ったか」を証明する必要が生じたときに意味を持ちます。書面を並べて表にする作業は、それ自体が方針を立てるための第一歩になります。

手続は、作品ごと・権利者ごとに別々に立つ

発信者情報の開示を請求できるのは、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダ責任制限法)5条1項に基づき、「自己の権利を侵害されたとする者」です。裁判手続についても、同法8条が「裁判所は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者の申立てにより、決定で、当該権利の侵害に係る開示関係役務提供者に対し、第五条第一項又は第二項の規定による請求に基づく発信者情報の開示を命ずることができる。」と定めています。

ここでいう「自己の権利」は、作品ごとの著作権です。作品Aの権利者は作品Aの権利について、作品Bの権利者は作品Bの権利について、それぞれ請求します。同じ権利者が複数の作品を持っている場合でも、侵害されたとされる権利は作品ごとに別個のものです。したがって、作品が3つあれば、法律上は3つの請求が立ちます

これに対応して、意見照会も請求ごとに行われます。同法6条1項は、開示関係役務提供者が開示するかどうかについて発信者の意見を聴かなければならないことを定めており、その意見聴取は「当該開示の請求」に対応するものです。つまり、1通の意見照会書は、1件の開示請求に対応しています。届いた通数は、あなたが現に直面している手続の数を、そのまま表していると考えてください。

「1件」は、通信の単位でも数えられる

もう一段細かい話をすると、開示の対象となる発信者情報は、IPアドレス・送信元ポート番号・発信の年月日時刻の組み合わせによって特定されます。プロバイダの側では、この組み合わせ一組をもって「1件」と数える運用をしている事業者もあります。同じ作品について発信日時が5つ並んでいる場合、権利者から見れば1つの作品に関する1件の請求でも、プロバイダの側では5組の通信ログを照合する作業になっているわけです。

この点は、意見照会書に記載された発信日時の読み方にも関わります。時刻の表示がUTC(協定世界時)なのか日本標準時なのかによって9時間の差が生じますので、複数の日時が並んでいる場合はなおさら、発信日時のUTC/JST換算とタイムスタンプを争う視点を踏まえて確認しておく必要があります。

回答期限は、事件ごとに別々に進行する

複数の意見照会書が届いたときに最も起こりやすい失敗が、回答期限の取りこぼしです。意見照会書には、通常、2週間程度の回答期限が設定されています。この期限は、それぞれの照会について、それぞれの発送日を起点に進行します。同じ日に届いた2通であっても、発送日が数日ずれていれば期限も数日ずれます。別々のプロバイダから届いた場合は、書式も期限の設定の仕方も異なります。

「1件目の方針が固まってから2件目に取りかかろう」と考えて順番に処理していると、2件目の期限が先に来てしまうことがあります。最初にやるべきことは、全部の書面から期限だけを抜き出して並べ、いちばん早い期限を確認することです。方針の検討はその後で構いません。

書面 抜き出す項目 備考
意見照会書の本文 回答期限、照会日(発送日) 「◯月◯日までに」と日付で書かれている場合と、「本書到達後2週間以内」と期間で書かれている場合がある
整理番号・照会番号 番号そのもの 回答書に転記する。番号を取り違えると、別の請求に対する回答として扱われかねない
差出部署・返送先 宛先、返送方法 同一社内でも、請求ごとに担当部署や返送先が異なることがある
権利者・作品 請求している者、対象の作品 交渉相手を一本化できるかどうかの判断材料になる

期限が迫っている、あるいは既に過ぎてしまった書面がある場合の考え方は、意見照会書の回答期限に間に合わないとき・期限が過ぎてしまったときの対応で詳しく整理しています。複数ある場合でも、対応の基本は変わりません。ただし、「1件だけ落とした」ことが他の事件の判断にも影響し得る点には注意が必要です。回答をしなかった事件についても、要件を満たせば開示は行われますし、開示された事実は、権利者側が他の事件を含めて対応方針を決める際の材料になり得ます。

申立先の裁判所は、作品の性質で分かれることがある

ここは、複数の作品が対象になっている場合に固有の、あまり知られていない論点です。開示に同意しない旨を回答すると、権利者は裁判手続(発信者情報開示命令の申立て)に進むことがありますが、その申立先の裁判所は、対象となっている作品の種類によって変わります。

情報流通プラットフォーム対処法10条5項は、「特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利を侵害されたとする者による当該権利の侵害についての発信者情報開示命令の申立て」について、東日本側であれば東京地方裁判所、西日本側であれば大阪地方裁判所の専属管轄と定めています。著作権法10条1項9号にいう「プログラムの著作物」、すなわちゲームソフトやアプリケーションソフトがこれに当たります。

これに対し、映像作品は著作権法10条1項7号の「映画の著作物」であり、プログラムの著作物ではありません。この場合は同法10条1項の原則に戻り、相手方となるプロバイダの本店所在地等を管轄する地方裁判所が管轄裁判所となります。もっとも、同条3項により、東京高裁・名古屋高裁・仙台高裁・札幌高裁の管轄区域内の地方裁判所が管轄権を持つ場合には東京地裁にも、大阪高裁・広島高裁・福岡高裁・高松高裁の管轄区域内であれば大阪地裁にも申し立てることができます。

この振り分けは、開示された後の損害賠償請求訴訟でも同じ構造で現れます。民事訴訟法6条1項は、プログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴えを東京地裁・大阪地裁の専属管轄とし、同法6条の2は、それ以外の著作者の権利に関する訴えについて、東京地裁・大阪地裁にも提起できると定めています。つまり、ゲームソフトと映像作品の両方について請求を受けている方は、手続の段階を問わず、二つの異なる管轄のルールが並走している状態にあります。

実務上の帰結として、対象作品にゲームソフトが含まれている場合、その事件は東京地裁または大阪地裁で扱われることになります。お住まいの地域にかかわらず遠方の裁判所の手続になり得るという点は、方針を検討する段階で知っておくべき事情です。もっとも、これは権利者側が申し立てる手続の管轄であり、発信者本人が出頭を求められる性質のものではありません。

複数の事件が「まとめて」処理されるとは限らない

「どうせ同じ人の話なのだから、裁判所が一つにまとめてくれるのではないか」と考えたくなりますが、そう単純ではありません。

発信者情報開示命令事件は非訟事件であり、非訟事件手続法35条1項は「裁判所は、非訟事件の手続を併合し、又は分離することができる。」と定めています。情報流通プラットフォーム対処法18条は、同法の適用除外として非訟事件手続法22条1項ただし書・27条・40条・42条の2を挙げていますが、35条は除外されていません。したがって、手続の併合はあり得ます

ただし、条文が定めているのは「できる」ということであって、当然に併合されるわけではありません。しかも、併合が問題になるのは、同じ裁判所に係属している事件どうしの話です。次のような場合には、そもそも併合の前提が欠けます。

  • 申立人(権利者)が異なる場合——別の権利者による別の申立てであり、審理の対象も別です
  • 相手方(プロバイダ)が異なる場合——回線が複数あれば、相手方も複数になります
  • 管轄裁判所が異なる場合——前章のとおり、作品の種類によって専属管轄が生じることがあります
  • 申立ての時期がずれている場合——先行する事件が既に終了していれば、併合の余地はありません

なお、同法10条7項は、提供命令によって他の開示関係役務提供者の情報の提供を受けた者が申し立てる事件について、元の事件が係属している裁判所の専属管轄とする旨を定めています。これは、一連の経路をたどる複数の手続を一つの裁判所に集めるための規定ですが、あくまで「同じ侵害情報について経路をたどる場合」の規定であり、別の作品・別の権利者の事件を集約する規定ではありません。

要するに、複数の事件は、原則としてばらばらに進むものと考えて準備するのが安全です。結果的に併合されればそれは幸いですが、併合を前提に管理を怠ると、期限も判断も取りこぼします。

損害額は、作品ごとに観念される

金額の話に入る前に、枠組みを確認しておきます。著作権法114条は損害の額の推定等を定めた規定であり、同条3項は「著作権者、出版権者又は著作隣接権者は、故意又は過失によりその著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対し、その著作権、出版権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として、その賠償を請求することができる。」と定めています。

この規定は、「その著作権」の行使につき受けるべき金銭の額を問題にしています。作品Aの権利と作品Bの権利は別個のものですから、損害も作品ごとに観念されます。対象が増えれば総額が増える方向に働くのは、この構造からくる当然の帰結です。

もっとも、これは「作品数×一定の単価」という計算が成り立つという意味ではありません。裁判例が示した算定の枠組みを見ておきましょう。知的財産高等裁判所令和4年4月20日判決(令和3年(ネ)第10074号・著作権侵害損害賠償債務不存在確認請求控訴事件。原審は東京地方裁判所令和2年(ワ)第1573号・令和3年8月27日判決)は、裁判所ウェブサイトに掲載された判決要旨によれば、次のように整理しています。

「ファイル共有ネットワークであるBitTorrentを通じて他人の著作物である動画をダウンロードした者は、その仕組み上、ダウンロードした動画を他のユーザに対して送信可能な状態に置くことになるから、ダウンロード時点からBitTorrentの使用を中止した時点までの上記動画のダウンロードによる損害について不法行為責任を負う。」

そして、損害額については「同時期にダウンロードされたと推定される本件著作物の本数に、一審被告が本件著作物をストリーミング配信により販売する際の利益額を乗じた額」として認定されました。算定の要素になっているのは、期間と、その期間中のダウンロード数の推定と、権利者側の1件あたりの利益額です。作品の配信形態や価格帯によってこれらは大きく変わりますから、作品が3つあれば単純に3倍、とはなりません。損害額の考え方については、トレントの示談金はどう決まるのか(損害賠償額の算定要素)で詳しく整理しています。

他の利用者との関係——共同不法行為

同判決は、BitTorrentの利用者について、「本件著作物をダウンロードしてからBitTorrentの使用を中止した時点までの間、同時期にBitTorrentを通じて本件著作物を送信可能な状態に置いていた者(他の一審原告らや氏名不詳者ら)と共同で本件著作物に係る著作権を侵害していた」と認定しました。民法719条1項は「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。」と定めています。

この構成のもとでは、責任の範囲は「自分が送信した分」に限定されません。「自分はほとんどアップロードしていない」「回線が遅かったので実際に送れた量はわずかだ」という説明が、そのまま金額の減少に結びつくとは限らない、ということです。ファイルの断片(ピース)しか送信していない場合の議論については、トレントの断片(ピース)送信でも著作権侵害になるかをご覧ください。

全事件に共通して効く事情——「いつやめたか」

複数の事件を抱えている方にとって、実務上もっとも重要な指摘がここです。

前掲の知財高裁判決は、損害の対象となる期間を「ダウンロード時点からBitTorrentの使用を中止した時点まで」で画しました。しかも同判決は、控訴審で提出された証拠に基づき、一審原告らが警告書を受領した時点で使用を停止したと認定した結果、原判決が認定した損害額よりも少額の認定になったと判決要旨に明記されています。

ここから導かれる帰結は明快です。利用を停止した時点は、対象となっているすべての作品について、共通の終期として働き得ます。作品Aについても作品Bについても、同じソフトウェアを同じ端末で使っていたのであれば、その使用をやめた時点は共通です。1件の意見照会書しか届いていない段階で利用を完全に停止しておくことは、その1件のためだけでなく、まだ届いていない請求も含めた全体の期間を止める意味を持ちます。

したがって、複数の書面を受け取った方が最初にすべきことは、次の3点です。

  • BitTorrentクライアントの利用を完全に停止する——アプリケーションを終了するだけでなく、常駐設定・自動起動の解除まで確認します。作品を削除しただけでは、他のファイルの共有が続いている可能性があります
  • 停止した日時を証拠として残す——アンインストールの記録、設定変更の日付、端末の操作履歴など、後から日付を示せる形で残します
  • その後は再開しない——一度停止した後に再開すれば、期間は再び進行します
端末の初期化やデータの完全消去は、慎重に判断してください。自分に有利な事実(対象の作品を扱っていなかったこと、当該日時に端末を使用していなかったこと等)を裏づける記録まで失われることがあり、また、証拠の隠滅と受け取られかねない場合もあります。何をどう保全するかは、対応方針とあわせて検討すべき事柄です。

回答書に何をどこまで書くかは、それ自体が慎重な判断を要する作業です。複数の事件がある場合、1件目の回答書に書いた内容が、後続の事件でも前提として扱われる可能性がありますので、なおさら整合性への配慮が必要になります。具体的にどのような対応が可能かについては、BitTorrent著作権侵害の意見照会対応のご案内もあわせてご覧ください。当事務所の意見照会対応(発信者側の対応)のページでは、書面が届いてからの流れを段階ごとに説明しています。

一つの示談で、すべてが終わるわけではない

開示が実行され、権利者側から損害賠償の請求を受けた段階に進んだとき、複数の事件を抱えている方が陥りやすい誤解があります。「一つ示談してしまえば、全部片づく」という期待です。

示談は、法律上は和解契約です。契約の効力は、その契約の当事者の間にしか及びません。示談書に清算条項(「本件に関し、当事者間には他に何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった条項)が入っていても、それは当該権利者との関係で、当該示談の対象とされた事項について効力を持つにとどまります。別の権利者からの請求を封じる効果はありません。

さらに、同じ権利者との間であっても、清算条項の「本件」が何を指すのかによって射程は変わります。清算条項の範囲や、示談書を確認する際の着眼点については、トレントの示談交渉を自分で行う場合の注意点(示談書の落とし穴)で詳しく扱っていますので、そちらをご覧ください。複数の事件がある場合には、示談書の「本件」に、まだ請求されていない作品や日時まで含まれているのか、それとも当該作品に限られるのかを、条項の文言で確認する必要があります。

また、複数の権利者と順次交渉することになる場合、一つ目の交渉での対応が、事実上、後続の交渉の出発点になってしまうことがあります。たとえば、一つ目で事実関係を全面的に認める内容の書面を出していれば、二つ目でその点を争うことは事実上難しくなります。どこまでを争い、どこからを争わないのかという線引きは、最初の1件だけを見て決めるのではなく、想定される全体を見渡してから決めるべき事柄です。

費用の見立てと、まとめて相談することの意味

複数の事件を抱えている方にとって、費用は現実的な問題です。弁護士費用の体系は法律事務所ごとに異なりますが、事件の数に応じた設定になっていることが一般的です。件数が増えれば、費用の総額も増えます。

他方で、複数の事件には共通する作業が少なくありません。端末や回線の利用状況の確認、契約者と実際の利用者の関係の整理、いつ利用を停止したかの裏づけ、対象作品の確認——これらは1件目のために行った作業が、そのまま2件目・3件目にも使えます。個別に、時期をずらして相談するよりも、届いている書面をまとめて示して方針を立てたほうが、全体としては整理しやすいというのが実感です。

費用に見合うかどうかの判断枠組みについては、トレント開示請求の弁護士費用と費用倒れの判断基準で整理しています。複数事件の場合は、そこで述べた考え方に加えて、次の点を確認しておくとよいでしょう。

確認する事項 なぜ確認するか
依頼の対象となる事件の範囲 「現に届いている書面のうちどれを対象とするのか」を明確にする。後から届いた分の扱いも確認しておく
事件が追加された場合の費用 意見照会が続く事案では、依頼後に新たな書面が届くことがある
段階ごとの費用の区切り 意見照会への対応と、開示後の示談交渉とで、契約が分かれることがある
実費の扱い 郵送費、記録の取得費用など。件数に比例して増える部分がある

よくある質問

同じプロバイダから意見照会書が2通届きました。1通にまとめて回答してよいですか。

原則として、同封されている回答書に1通ずつ記入して返送するのが安全です。意見照会は、開示請求1件ごとに行われるものであり、整理番号・照会番号も通常は別々に振られています。1通にまとめて回答すると、プロバイダの側でどの請求に対する回答なのかを対応づけられず、一方の請求について「回答がなかった」ものとして扱われるおそれがあります。内容が同じであっても、書面は分けて提出してください。

1件目は開示されませんでした。2件目も同じように不開示になりますか。

そうとは限りません。開示の要件は、情報流通プラットフォーム対処法5条1項に従って、請求ごと・対象となる情報ごとに判断されます。1件目が不開示になった理由が、対象となった作品や通信ログ固有の事情(提出資料の不足、時刻や識別情報の特定が不十分であったこと等)にあった場合、2件目では同じ結論にならないことがあります。逆に、1件目で開示されたからといって、2件目が自動的に開示されるわけでもありません。

複数の作品について請求されると、損害額は単純に作品数を掛けた額になるのですか。

作品ごとに損害が観念されるため、対象が増えれば総額が増える方向に働くのは確かです。もっとも、著作権法114条は損害額の算定方法を定めた規定であり、金額は作品の性質、配信の形態、権利者が受けるべき対価の水準、送信可能な状態に置かれていた期間などの要素によって左右されます。作品数に一定の単価を掛ければ答えが出るという性質のものではありません。当事務所として具体的な相場額を示すことは差し控えます。

1社の権利者と示談すれば、他の請求も終わりますか。

終わりません。示談(和解契約)の効力は、その契約の当事者の間にしか及びません。ある権利者との示談書に「本件に関し、当事者間には他に何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった清算条項が入っていても、それは当該権利者との関係で、当該示談の対象とされた事項について効力を持つにとどまります。別の権利者からの請求を防ぐ効果はありません。

複数の事件をまとめて弁護士に依頼した場合、費用も件数分かかりますか。

費用体系は法律事務所ごとに異なるため一律には言えませんが、事件の数に応じた設定になっていることが一般的です。ただし、事実関係の調査、利用状況の確認、方針の決定といった作業は複数の事件で共通する部分が大きく、まとめて依頼したほうが結果的に整理しやすい場面もあります。着手の前に、対象となる事件の範囲と費用の総額の見込みを確認しておくことをおすすめします。

まとめ

  • 「複数届いた」には、発信日時が複数の型、作品が複数の型、権利者が複数の型、プロバイダが複数の型があり、まずは書面を並べて切り分ける
  • 開示請求は情報流通プラットフォーム対処法5条1項・8条により「自己の権利」ごとに立つため、作品ごと・権利者ごとに別個の手続になる
  • 回答期限は事件ごとに別々に進行する。最初に全部の期限を抜き出し、いちばん早いものを確認する
  • 申立先の裁判所は作品の種類で分かれる。プログラムの著作物は同法10条5項により東京地裁・大阪地裁の専属管轄となり、映像作品はそうではない(民事訴訟法6条1項・6条の2にも同じ構造がある)
  • 非訟事件手続法35条1項により手続の併合はあり得るが、当事者や管轄が異なれば前提を欠く。ばらばらに進むものとして準備する
  • 損害額は著作権法114条により作品ごとに観念されるが、算定要素は期間・推定ダウンロード数・権利者側の利益額であり、単純な掛け算にはならない
  • 「いつ利用をやめたか」は、対象となるすべての作品について共通の終期として働き得る(知財高判令和4年4月20日)。停止と、その日時の証拠化を最優先する
  • 示談の清算条項は当事者間・当該事項にしか及ばない。一つの示談で全部が終わることはない
  • 費用は件数に応じて増えるが、共通する作業も多い。依頼の範囲と追加分の扱いを事前に確認する

複数の書面が届いたとき、いちばん避けたいのは、目の前の1通に気を取られて他の期限を落とすことと、全体像を見ないまま最初の1件で線引きを決めてしまうことです。数が多いほど、個別に対応するのではなく、届いているものを一度に並べて方針を立てる作業が効いてきます。横浜のタングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)に関する発信者情報開示について、発信者側の立場から、意見照会への対応から開示後の示談交渉まで数多く取り扱っております。すでに何通か届いている、あるいは1通目に自分で回答した後に2通目が届いた、という段階でも、対応の余地は残っています。弁護士にご相談ください。

BitTorrent著作権侵害の意見照会対応の詳細はこちら(既に開示され、損害賠償請求の通知書が届いている方は損害賠償請求対応のご案内をご覧ください)

意見照会書が複数届いてお困りの方へ

タングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)に関する発信者情報開示について、発信者側の立場で多数の対応実績を有しております。複数の書面が届いている場合も、全体を見渡したうえで回答書の作成から開示後の対応まで承りますので、まずはご状況をお聞かせください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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