タングラム法律事務所

偽サイト・なりすましSNSアカウントへの対応|削除と特定を弁護士が解説

偽サイト・なりすましSNSアカウントへの対応|削除と特定を弁護士が解説

偽サイト・なりすましSNSアカウントへの対応|削除と特定を弁護士が解説

偽サイト・なりすましSNSアカウントへの対応|削除と特定を弁護士が解説

偽サイト・なりすましSNSアカウントへの対応|削除と特定を弁護士が解説

「自社のロゴと商品写真をそのまま使った通販サイトが見つかった」「公式を名乗るSNSアカウントが勝手にキャンペーンを告知している」——こうした相談は規模の大小を問わず増えています。厄介なのは、被害を最初に知らせてくるのが自社ではなく、だまされた顧客からの問い合わせやクレームだという点です。代金を払ったのに商品が届かない、個人情報を入力してしまったという連絡が窓口に集中し、対応に追われるうちにブランドへの信頼が削られていきます。

偽サイトやなりすましアカウントは、単なる嫌がらせではなく、自社の売上と信用を直接奪う行為です。法律上も、商標法や不正競争防止法により差止めや損害賠償を求めることができ、刑事責任が問われる場合もあります。この記事では、被害を発見した事業者が最初に何をすべきか、削除・閉鎖を求めるルート、相手を特定して責任を追及する方法、再発を防ぐ備えまでを順に整理します。

自社をかたる偽サイト・なりすましアカウントの典型的な手口

企業が被害に遭うなりすましには、いくつかの型があります。どの型かによって、使うべき法的根拠も、削除を求める相手方も変わります。

  • 偽ECサイト:自社サイトのロゴ・商品画像・会社概要を複製し、不自然に安い価格で販売する。決済口座だけが第三者のものになっている。
  • フィッシングサイト:会員向けログイン画面を模倣し、IDとパスワードやクレジットカード情報を入力させる。
  • 類似ドメインの取得・使用:公式ドメインの末尾や綴りを一文字だけ変えたものを取得し、公式であるかのように使用する。
  • なりすましSNSアカウント:公式アカウントのアイコンとプロフィールを複製し、キャンペーン当選を装ってDMで個人情報や送金を求める。
  • 取引先・採用をかたる手口:自社の担当者名義で取引先に連絡し、振込先の変更を求めるなど、社名の信用そのものを利用する。

生じる損害は逸失した売上だけではありません。顧客対応の人件費、問い合わせ窓口の負荷、そして「あの会社は詐欺サイトを放置している」という評判の悪化が長く尾を引きます。

偽サイト・なりすましに使える法的根拠

対応の出発点は、「自社のどの権利が、どの条文で守られているか」を確認することです。商標登録の有無によって、取り得る手段と立証の負担が大きく変わります。

被害の状況主な根拠請求できる内容
登録商標と同一・類似の標章を使われている商標法25条・36条使用の差止め、侵害品の廃棄、損害賠償(38条に損害額の推定規定)
商標登録はないが、社名・ロゴ・サービス名が需要者に広く知られている不正競争防止法2条1項1号(周知表示混同惹起)差止め(3条)、損害賠償(4条、5条に損害額の推定規定)
表示が著名で、混同の立証が難しい同2条1項2号(著名表示冒用)混同の発生を要さずに差止め・損害賠償
公式と紛らわしいドメイン名を取得・使用されている同2条1項19号(ドメイン名の不正取得等)使用の差止め、損害賠償
「公式」「正規代理店」など品質・内容を誤認させる表示がある同2条1項20号(誤認惹起表示)差止め、損害賠償
信用を害する虚偽の事実を流布されている同2条1項21号(信用毀損)差止め、損害賠償、信用回復措置(14条)

刑事面でも手当てがあります。不正の目的で周知表示混同惹起行為や誤認惹起表示を行った者は、不正競争防止法21条2項1号により5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科もあり得ます)の対象となります。商標権侵害については商標法78条が10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金を定めています。ID・パスワードの入力を求めるフィッシングサイトの公開は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律7条が禁じる行為にあたり、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。代金をだまし取る行為には刑法の詐欺罪も問題となります。

並べると分かるとおり、商標登録の有無で交渉の速度がまったく変わります。商標権があれば登録番号を示して使用の中止を求めれば足りる場面でも、登録がなければ周知性の立証から始めなければなりません。まだ出願していない社名やサービス名があれば、商標登録を自社で行うか弁理士・弁護士に依頼すべきかの判断基準もあわせてご確認ください。

発見したらまず何をするか——証拠保全と初動

最初にすべきは、相手への連絡ではなく証拠の保全です。抗議すると、サイトを閉じて別ドメインに移り、痕跡だけが消えるという結果になりかねません。

  • URL・ドメイン名・アクセス日時が画面に写り込む形でのスクリーンショット、またはページ全体のPDF保存
  • Whois情報(登録者・レジストラ・ネームサーバー)の取得と保存
  • 特定商取引法に基づく表記、記載された会社名・住所・電話番号・振込先口座
  • 顧客から寄せられた被害申告のメール、注文確認メールのヘッダー情報
  • SNSの場合は、アカウントのユーザー名・URL・プロフィール・投稿内容とその日時
証拠は「後から同じものを再現できない」前提で集めてください。削除申請が通れば偽サイトは消えますが、その後に損害賠償を請求する段階では、消えたページの内容と掲載期間を自社で立証しなければなりません。削除を急ぐ場面ほど、先に記録を残す必要があります。

あわせて、社内の対応窓口を一本化し、顧客向けの注意喚起を自社サイトとSNSで速やかに公表してください。「当社を装ったサイトが確認されています。公式サイトのURLは○○です」と明示するだけでも、被害の拡大と自社への苦情の集中をかなり抑えられます。

削除・閉鎖を求める手続

プラットフォームへの申告

なりすましSNSアカウントやモール型ECの出店者による侵害であれば、各事業者が用意する権利侵害の申告フォームが最短ルートです。申告の様式や必要書類は変更されることがあるため、申請前に各サービスの最新の公式ヘルプを確認してください。商標権を証明する登録原簿の写しを添付できると、判断が早まる傾向があります。

ホスティング事業者・レジストラへのテイクダウン依頼

独立したドメインで運営されている偽サイトの場合は、Whoisから判明するホスティング事業者やドメイン登録業者に対し、利用規約違反を理由とする停止を求めます。日本国内の事業者であれば、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)に基づく送信防止措置の申出を行うことになります。同法は2025年4月1日に施行され、総務大臣が指定した大規模特定電気通信役務提供者については、削除申出の窓口と方法の公表(22条)、および申出を受けてから原則として14日以内に対応の結果とその理由を申出者へ通知すること(25条1項)が義務づけられました。

ドメイン名紛争処理手続(JP-DRP/UDRP)

類似ドメインそのものを取り上げたい場合には、ドメイン名紛争処理手続という選択肢があります。JPドメイン名については日本知的財産仲裁センターが処理を行うJP-DRP、一般のgTLDについてはICANNのUDRPが用意されており、裁定によってドメイン名の移転または取消しを求めることができます。訴訟に比べて短期間で結論が出る点が特徴です。

公的な通報窓口の活用

フィッシングサイトについてはフィッシング対策協議会への情報提供が有効で、稼働が確認されたサイトはJPCERT/CCを通じた閉鎖調整につながります。悪質なECサイトについてはセーファーインターネット協会の通報窓口があり、詐欺被害が生じている場合には警察のサイバー犯罪相談窓口への相談も並行して行うべきです。なお、SNS上のなりすましについては、SNSなりすまし・誹謗中傷への対応の特設ページでも、削除と発信者情報開示の進め方をご案内しています。

相手を特定して損害賠償・刑事責任を追及する

削除だけでは、同じ相手が別のドメインで再開するだけという事態がしばしば起こります。繰り返される場合や損害が大きい場合には、発信者情報開示によって相手を特定し、責任追及に進む判断が必要です。

情報流通プラットフォーム対処法は、権利を侵害された者による発信者情報の開示請求権を5条に定め、裁判所の非訟手続として発信者情報開示命令(8条)、経由プロバイダを辿るための提供命令(15条)、審理中の記録消去を防ぐ消去禁止命令(16条)を用意しています。ここで問題になるのが時間です。通信記録の保存期間は事業者によって異なり、一般には数か月程度とされることが多く、被害の発見から申立てまでに時間がかかると、そもそも記録が残っていないという結果になりかねません。発見から早い段階で着手することが決定的に重要です。

相手が特定できれば、不正競争防止法5条2項や商標法38条2項の推定規定を用いて、侵害者が得た利益を損害額として請求することが考えられます。悪質な事案では、刑事告訴や被害申告を併せて検討します。横浜の当事務所における削除請求・投稿者特定の対応内容は、企業法務の取扱分野のページでもご紹介しています。

再発を防ぐための平時の備え

なりすまし被害は一度で終わらないことが多く、事後対応と同じくらい平時の備えが効きます。

  • 商標登録を済ませておく:社名・ロゴ・主要サービス名の登録は、削除申請の通りやすさに直結します。
  • 類似ドメインの先行取得と監視:主要な表記ゆれや他のトップレベルドメインを自社で押さえ、定期的に検索して類似サイトを早期に発見します。
  • 公式アカウントの一覧を自社サイトに掲載する:どれが公式かを自社が明示していれば、顧客が偽アカウントを見分けやすくなります。
  • 社内ルールの整備:発見時の報告経路と対外公表の判断権者をあらかじめ決めておきます。SNS運用における著作権・肖像権のリスク管理とあわせて運用ルールを見直すと効率的です。
  • 情報管理の徹底:顧客名簿や取引先情報が外部に流出すると、なりすましの精度が上がります。営業秘密の持ち出しへの対応もあわせてご確認ください。

よくある質問

商標登録をしていなくても、偽サイトの削除を求められますか。

商標登録がなくても、社名・ロゴ・サービス名が需要者の間に広く知られている場合には、不正競争防止法2条1項1号の周知表示混同惹起行為として、同法3条に基づく差止請求ができる可能性があります。ただし「広く認識されている」ことを自ら立証する必要があり、商標権がある場合に比べて主張・立証の負担は重くなります。

偽サイトのサーバーが海外にある場合でも対応できますか。

海外のホスティング事業者やドメイン登録業者が相手でも、テイクダウン依頼やドメイン名紛争処理手続(UDRP)を利用できる場合があります。もっとも、日本の裁判所の手続による場合は送達や執行に時間がかかるため、まずは事業者への申告や通報窓口を併用し、並行して法的手続を検討するのが現実的です。

顧客が偽サイトで代金をだまし取られた場合、当社は責任を負いますか。

偽サイトの運営は第三者による犯罪行為ですから、自社が当然に売買契約上の責任を負うわけではありません。ただし、被害を認識しながら長期間放置し、顧客への注意喚起を怠った場合には、対応の当否が問題となる余地があります。被害を把握した時点で速やかに自社サイト等で注意喚起を公表しておくことが重要です。

偽サイトへの対応は、どの段階で弁護士に相談すべきですか。

発見した直後の段階での相談をおすすめします。証拠として残すべき情報の範囲、削除申請と発信者情報開示のどちらを先行させるか、顧客への告知の文面など、初動の選択がその後の結果を左右します。特に発信者の特定は通信記録の保存期間に左右されるため、時間の経過とともに困難になります。

まとめ

自社をかたる偽サイトやなりすましアカウントへの対応は、①証拠保全と顧客への注意喚起、②プラットフォーム・ホスティング事業者への削除申請とドメイン名紛争処理、③発信者情報開示による特定と損害賠償・刑事責任の追及、という三段構えで進めるのが基本です。根拠となるのは商標法と不正競争防止法であり、商標登録の有無が交渉の速さを左右します。

特に注意していただきたいのは時間の要素です。削除を急げば証拠が消え、証拠集めに時間をかければ通信記録が消えるという二つの締切が同時に走っています。どちらを優先するかは、被害の態様と相手の悪質性によって判断が分かれるところで、インターネット上の権利侵害を扱い慣れた弁護士が関与する意味が最も大きい場面でもあります。横浜近隣で事業を営む方はもちろん、遠方の事業者の方も、自社だけで削除申請を繰り返して行き詰まる前に早い段階でご相談ください。

偽サイト・なりすましアカウントの被害でお困りの事業者の方へ

タングラム法律事務所では、企業法務(契約書レビュー・労務・法改正対応等)について、中小企業・個人経営の事業者向けに豊富な実績を有しております。横浜・山下公園の当事務所では、削除請求・発信者情報開示の経験を活かし、証拠保全から相手方の特定・責任追及まで一貫して対応いたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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