タングラム法律事務所

夫・妻のスマホを勝手に見るのは違法?不倫の証拠にできるか弁護士が解説

夫・妻のスマホを勝手に見るのは違法?不倫の証拠にできるか弁護士が解説

夫・妻のスマホを勝手に見るのは違法?不倫の証拠にできるか弁護士が解説

夫・妻のスマホを勝手に見るのは違法?不倫の証拠にできるか弁護士が解説

夫・妻のスマホを勝手に見るのは違法?不倫の証拠にできるか弁護士が解説

配偶者の帰宅が遅くなった、スマートフォンを肌身離さず持ち歩くようになった——そうした変化に気づいたとき、多くの方が最初に考えるのが「本人のスマホを見れば分かるのではないか」ということではないでしょうか。

もっとも、無断で中を見る行為には法的なリスクが伴います。方法によっては刑事罰の対象となり得ますし、プライバシー侵害として逆に損害賠償を請求される場合もあります。この記事では、配偶者のスマートフォンを勝手に見る行為がどこから違法になるのか、そこで得た情報を不貞慰謝料の証拠として使えるのかを、横浜の弁護士が整理して解説します。

配偶者のスマホを勝手に見る行為は法律上どう評価されるか

「夫婦なのだからスマートフォンを見るくらい問題ないはずだ」と考える方は少なくありません。しかし、夫婦であることを理由に相手のデータを無断で見る行為が当然に適法になるという規定はありません。問題となり得る法律を整理すると、次のとおりです。

場面問題となり得る法律制裁の内容
IDとパスワードを無断で入力してクラウドやSNSにログインした不正アクセス禁止法3条3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(同法11条)
無断で監視アプリを仕込んだ刑法168条の2、ストーカー規制法2条3項等事案により刑事責任等
私的な通信内容を無断で閲覧・保存し、第三者に見せた民法709条(プライバシー侵害)損害賠償(慰謝料)
2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されています。上記は施行後の法定刑です。

不正アクセス禁止法に触れる場合・触れない場合

実務上もっとも重要なのが不正アクセス禁止法です。同法2条4項1号は、不正アクセス行為を「アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて……他人の識別符号を入力して……特定利用をし得る状態にさせる行為」と定義し、利用権者の承諾を得てする場合を除外しています。ここから次の区別が導かれます。

不正アクセス行為に当たり得る例

  • 配偶者のIDとパスワードを無断で入力し、ウェブメール・クラウドストレージ・SNSにログインして中身を見る
  • 配偶者名義のアカウントに無断でログインし、メッセージの履歴やバックアップを閲覧する

不正アクセス行為には当たらないと考えられる例

  • 手元にある端末のロックを解除し、端末内に保存済みの写真やメッセージを見た
  • ログインされたままの画面に通知が表示され、それを見た

後者が該当しないのは、「電気通信回線を通じて」識別符号を入力するという要件を欠くためです。ただしこれは刑事責任の話にとどまり、民事上のプライバシー侵害と評価される可能性は別途残ります。

なお、家族で共用している端末やアカウントであれば承諾があったと評価される余地もありますが、口頭の承諾は後から争われやすく、立証は容易ではありません。

プライバシー侵害として損害賠償を請求されるおそれ

刑事責任が問われない場合でも、民事上の責任は別に検討が必要です。私的な通信内容は夫婦間であっても一定の保護を受けると解されており、侵害の態様が社会通念上受忍すべき限度を超えれば、民法709条の不法行為として慰謝料の支払義務が生じ得ます。

特に注意すべきは閲覧そのものより、その後の行動です。スクリーンショットを不倫相手の勤務先に送る、SNSに投稿するといった行為は名誉毀損の問題も生じさせます。慰謝料を請求する立場であったはずが反対に請求を受け、実質的な回収額が目減りすることもあります。危険な証拠収集の類型は不貞慰謝料請求の証拠収集でやってはいけないことで整理しています。

勝手に見て得た証拠は裁判で使えるのか

民事訴訟法247条は、裁判所が口頭弁論の全趣旨および証拠調べの結果をしん酌して自由な心証により事実を認定すると定めています(自由心証主義)。刑事裁判と異なり、民事訴訟には違法収集証拠を一律に排除する明文の規定がありません。

裁判例も、収集方法に問題があることから直ちに証拠能力を否定するのではなく、その手段が著しく反社会的といえるかという観点から判断する傾向にあります。無断録音テープが争われた東京高裁昭和52年7月15日判決は、著しく反社会的な手段で人格権を侵害して採集された証拠は違法の評価を免れないとしつつ、当該事案では証拠能力を肯定しました。録音の扱いは不倫の証拠に録音は使えるかでも触れています。

ただし、提出できることと有利に働くことは別問題です。実務上は次のような不利益が生じ得ます。

  • 収集の違法性を指摘され、反対に損害賠償を請求される
  • 争点が不貞の有無から収集方法の当否にずれる
  • 原本が確認できず、改変の可能性を指摘されて証明力が下がる

最後の点は見落とされがちです。不倫のLINEを慰謝料の証拠にする際の残し方で述べたとおり、前後の文脈やアカウント名が分かる形で残さなければ証明力は大きく下がります。

違法のリスクを避けて不貞の証拠を集める方法

不貞行為の立証は、一つの決定的な証拠だけで行うものとは限りません。性的関係を直接示す資料がなくても、複数の事実を組み合わせて不貞行為があったと推認させる形で立証していくのが一般的です。リスクの低い方法としては次のものが挙げられます。

  • 自分がアクセス権を持つ情報を整理する:共有の家計簿、自分名義のクレジットカード明細、共有カレンダー、自宅に届いた郵便物
  • 外形的な事実を記録する:帰宅時刻、外泊した日付、不自然な出費の日時を継続的にメモに残す
  • 配偶者本人の説明を確保する:不貞を認める発言があった場合、その内容を書面や録音で残す
  • 探偵業者への依頼を検討する:探偵業法に基づく届出をしている業者に調査報告書を作成してもらう

弁護士に依頼した場合、法律上認められた手続を用いて情報を収集できる場面があり、手元の資料のうちどれを提出すべきかを事前に選別できます。当事務所の不貞慰謝料請求の取扱分野ページでは、請求する側・された側それぞれの対応の流れをご案内しています。

よくある質問

夫婦なら配偶者のスマホを見ても問題ないのではないですか。

夫婦であることを理由に、無断でスマートフォンを見る行為が当然に適法になるわけではありません。不正アクセス禁止法2条4項1号は利用権者の承諾を得て行う場合を不正アクセス行為から除いていますが、裏を返せば承諾がなければ配偶者であっても除外されません。

端末のロックを解除して中を見ただけでも犯罪になりますか。

不正アクセス行為は「電気通信回線を通じて」他人の識別符号を入力する行為を対象としています。手元の端末のロックを解除し、端末内に保存済みの写真やメッセージを見ただけの行為はこの要件を欠きます。他方、そこからクラウドやSNSにログインした場合は該当する可能性があります。

違法な方法で集めた証拠は裁判でまったく使えなくなりますか。

民事訴訟には違法収集証拠を一律に排除する明文の規定がなく、直ちに使えなくなるわけではありません。東京高裁昭和52年7月15日判決は、著しく反社会的な手段かどうかを基準としつつ無断録音テープの証拠能力を認めています。ただし別途損害賠償を請求されるおそれは残ります。

配偶者のスマホに監視アプリを入れて行動を把握してもよいですか。

無断でのインストールは避けるべきです。位置情報を無承諾で取得する行為はストーカー行為等の規制等に関する法律2条3項の規律の対象となり得ますし、アプリの性質によっては刑法168条の2の不正指令電磁的記録に関する罪が問題となる余地もあります。

すでにスマホを見て証拠を撮ってしまいました。どうすればよいですか。

まず、それ以上の閲覧やアカウントへのログインを続けないことが大切です。そのうえで、いつ・どのような方法で入手したのかを整理し、そのまま提出してよい資料か、別の方法で補強すべき資料かを弁護士とご検討ください。

まとめ

配偶者のスマートフォンを勝手に見る行為は、夫婦であるという一事によって適法となるものではありません。特に、IDとパスワードを無断で入力してクラウドやSNSにログインする行為は不正アクセス禁止法3条に違反し、同法11条により3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象となり得ます。端末のロック解除にとどまる場合でも、プライバシー侵害として損害賠償を請求されるおそれは残ります。

他方、民事訴訟には違法収集証拠を一律に排除する規定がなく、収集方法に問題のある資料が直ちに使えなくなるわけではありません。どこまでが許される方法かは、端末の名義やアカウントの管理状況など細かな事情で結論が変わります。証拠を増やすことに焦るより、いま手元にある資料をどう使うかを早い段階で弁護士と検討するほうが、結果的に近道になることが少なくありません。

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タングラム法律事務所では、不貞慰謝料請求について、請求する側・請求された側の双方のご相談に対応しております。手元の資料が証拠として使えるか、どのように請求を進めるべきかについて、横浜・山下公園の事務所にてご相談を承ります。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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