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不貞慰謝料を請求され直接交渉を求められたら?対応を弁護士が解説

不貞慰謝料を請求され直接交渉を求められたら?対応を弁護士が解説

不貞慰謝料を請求され直接交渉を求められたら?対応を弁護士が解説

不貞慰謝料を請求され直接交渉を求められたら?対応を弁護士が解説

不貞慰謝料を請求され直接交渉を求められたら?対応を弁護士が解説

不貞慰謝料を請求されたとき、相手方(交際相手の配偶者)から「一度直接会って話したい」と求められることは珍しくありません。こちらにも後ろめたさがあるため、会って謝れば穏便に済むのではないかと考えてしまう方が多くいらっしゃいます。

しかし、直接交渉の席は法的に中立な場ではありません。その場での一言が後の裁判で不利に働き、署名した書面で支払義務が確定してしまうこともあります。この記事では、応じる義務の有無、応じた場合のリスク、相手の言動が違法になる場合、どう対応すべきかを横浜の弁護士が解説します。

不貞慰謝料の直接交渉に応じる法的義務はあるのか

結論として、不貞慰謝料を請求された側に、相手方と直接面談したり電話で話したりする法律上の義務はありません。

不貞慰謝料は不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条・710条)として請求されますが、民法は「どのような方法で話し合うか」までは定めていません。交渉の手段(面談・電話・書面)は、請求を受けた側が選べます。

また、面談に応じなかったこと自体が増額事由として評価されるとは考えにくいといえます。裁判所が慰謝料額を判断する際に考慮するのは、不貞行為の有無・期間・態様、婚姻関係に与えた影響、婚姻期間、子の有無といった事情だからです。

ただし「無視してよい」という意味ではありません。連絡を一切返さない状態が続けば、相手方は訴訟や支払督促に踏み切りやすくなります。面談は断ったうえで書面で立場を明らかにする——これが多くの事案で現実的な選択肢です。

直接交渉に応じることの4つのリスク

1. その場の発言が「承認」となり、消滅時効が更新される

不貞行為に基づく損害賠償請求権は、被害者が損害および加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効によって消滅します(民法724条)。時効は有力な防御手段になりえます。

ところが民法152条1項は「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」と定めています。交渉の席で「払います」「分割なら応じられます」と述べると、債務の承認があったと評価され、時効が更新される可能性があります。承認は書面でなくても成立しうると解されています。反論の組み立て方は不貞慰謝料の請求への回答書の書き方で整理しています。

2. 示談書・念書にサインすると、後から覆すのが難しい

交渉の場では、用意された示談書や念書への署名を求められることがあります。示談は民法695条にいう和解にあたり、民法696条により争いをやめた内容で権利関係が確定します。後から「実は不貞行為はなかった」「金額が高すぎた」と主張しても、原則として覆せません。

強迫による意思表示であれば民法96条1項により取り消せ、公序良俗に反すれば民法90条により無効となる余地はあります。しかし主張する側が立証しなければならず、「その場の雰囲気で断れなかった」という程度では認められにくいのが実情です。確認点は不貞慰謝料の示談書にサインする前の確認点で解説しています。

3. 録音され、後の裁判で証拠として使われる

面談や通話は、相手方が録音していると考えておくべきです。民事訴訟法247条は自由心証主義を定めており、無断で録音された音声でも、著しく反社会的な手段によるものでない限り証拠として取り調べられる傾向にあります。謝罪のつもりの一言が、不貞行為を認めた証拠として提出されることもありえます。

4. 相場を知らないまま、過大な金額に合意してしまう

慰謝料額は、裁判例の傾向として離婚に至らなかった事案では比較的低額に、離婚や別居に至った事案ではより高額になるとされ、幅があります。他方、交渉の初期に示される請求額は、この水準を大きく上回っていることが少なくありません。詳しくは不貞慰謝料が高すぎる?相場との比較と減額交渉のポイントをご覧ください。

相手の言動が違法になるのはどのような場合か

前提として、慰謝料を請求すること自体は正当な権利の行使であり、厳しい言葉を向けられても、それだけで違法とはなりません。もっとも、手段が行き過ぎれば刑事上の問題となりうる場合があります。

相手方の行為 問題となりうる規定 条文上の要件(概要)
「家族や会社にばらす」「危害を加える」などと告げる 脅迫罪(刑法222条) 生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告知して脅迫すること
脅したうえで念書や謝罪文への署名を強いる 強要罪(刑法223条) 脅迫・暴行により義務のないことを行わせること(未遂も処罰)
脅したうえで金銭を支払わせる 恐喝罪(刑法249条) 人を恐喝して財物を交付させ、または財産上不法の利益を得ること
自宅や職場に無断で立ち入る/退去を求めても帰らない 住居侵入等(刑法130条) 正当な理由なく住居等に侵入し、要求を受けても退去しないこと

該当するかは言動の内容や状況によって判断され、交渉として社会的に相当な範囲にとどまれば犯罪は成立しません。身の危険を感じる状況では安全の確保を優先し、やり取りを記録したうえで警察や弁護士にご相談ください。

直接交渉を求められたときの対応手順

ステップ1:その場で即答しない

その場で日程を決めさせようとされても、答える必要はありません。「弁護士に相談したうえで、書面でご連絡します」と伝え、いったん会話を終えることが第一歩です。訪問を受けた場合は玄関先で対応し、室内に招き入れないほうが無難です。

ステップ2:事実関係と証拠を整理する

いつ・どのような関係があったのか、相手が既婚者だと認識していたか、当時その夫婦の婚姻関係がどうだったかを整理します。事実を認めるかどうかの判断は慎重を要し、この点は不貞慰謝料を請求されたら認めるべきかで説明しています。

ステップ3:面談ではなく書面で回答する

多くの事案で現実的なのは、面談は断り、書面(回答書)で立場を明らかにする方法です。落ち着いて検討でき、こちらにも同じ記録が残ります。内容証明郵便を受け取っている場合は不貞慰謝料の内容証明が届いたときの対応もご覧ください。

ステップ4:どうしても会う場合の注意点

  • 自宅や職場ではなく、第三者の目がある場所を選ぶ
  • 一人で行かず、可能であれば弁護士に同席を依頼する
  • 金額・支払方法についてその場で確約しない
  • 書面への署名・押印は必ず持ち帰って検討する
  • やり取りの内容を、終了後すぐ記録に残す

請求を受けた場合の全体的な流れは不貞慰謝料請求の取扱分野ページを、接客業やパパ活を背景とする事案は夜職・パパ活の不倫慰謝料請求への対応をご参照ください。

弁護士に依頼すると直接交渉はどうなるか

弁護士に依頼すると、受任通知の送付によって交渉の窓口が代理人に移り、依頼者本人が相手方と直接話す必要は原則としてなくなります。

相手方にも弁護士が就いている場合には、さらに明確な規律があります。弁護士職務基本規程52条は、相手方に法令上の資格を有する代理人が選任されたときは、正当な理由なく、その代理人の承諾を得ないで直接相手方と交渉してはならないと定めています。相手方“本人”からの連絡に同条が直接適用されるわけではありませんが、代理人就任の通知により、事実上、接触が止まることが多いといえます。

意味は窓口が変わることだけではありません。請求額の妥当性を検討し、婚姻関係の破綻、既婚者と知らなかったことへの無過失、時効の完成といった主張の可否を整理したうえで、支払う場合の条件(分割の可否、求償権の扱いなど)を書面に落とし込むところまで一貫して行えます。

よくある質問

直接会わないと「誠意がない」と言われました。会わないと不利になりますか。

直接面談する法律上の義務はありません。面談を断ったこと自体が増額事由として評価されるとは考えにくく、裁判所が判断するのは不貞行為の有無・態様や婚姻関係への影響といった事情です。ただし無視は訴訟を招くため、面談は断りつつ書面で回答する対応が考えられます。

電話で話すだけならリスクはありませんか。

電話でも同様のリスクがあります。通話は容易に録音でき、支払う意思を口にすると債務の承認(民法152条1項)にあたると評価され、消滅時効が更新される可能性もあります。口頭のやり取りは記録が相手方にしか残らない点でも不利です。

その場で念書にサインしてしまいました。取り消せますか。

強迫による意思表示であれば民法96条1項により取り消すことができ、公序良俗に反する内容であれば民法90条により無効となる余地があります。ただし主張する側が立証しなければならず、容易ではありません。署名済みでも直ちに諦めず、早い段階でご相談ください。

相手が勤務先や自宅に来ると言っています。どうすればよいですか。

住居等に無断で立ち入る、退去を求められても居座るといった行為は住居侵入等(刑法130条)に、害を加える旨を告げる行為は脅迫(刑法222条)にあたる可能性があります。日時・場所・言動を記録し、身の危険があれば警察に相談してください。

まとめ

不貞慰謝料を請求された側に、相手方と直接会う法律上の義務はありません。直接交渉では、発言が債務の承認(民法152条1項)と評価されて時効が更新され、署名した書面が民法695条・696条により確定的な和解となるなど、不利な結果が生じやすいのが実情です。他方、無視し続けることは訴訟を招きます。面談は断りつつ書面で立場を示す組み立てが、多くの事案で穏当な着地につながります。

弁護士に依頼すれば、窓口を代理人に一本化し、感情的なやり取りから離れて法的な主張と条件交渉に集中できます。面談の日が近い、すでに書面に署名してしまったという段階でも、手立てが残っていることは少なくありません。応じる・応じないを決める前にご相談ください。

不貞慰謝料の請求を受け、直接交渉を求められている方へ

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料を請求された側からのご相談・ご依頼を数多くお取り扱いしております。面談に応じるべきかの判断、回答書の作成、請求額の妥当性の検討から示談書の締結まで、横浜の弁護士が一貫して対応いたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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