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不貞慰謝料の請求への回答書の書き方|反論のポイントを弁護士が解説

不貞慰謝料の請求への回答書の書き方|反論のポイントを弁護士が解説

不貞慰謝料の請求への回答書の書き方|反論のポイントを弁護士が解説

不貞慰謝料の請求への回答書の書き方|反論のポイントを弁護士が解説

不貞慰謝料の請求への回答書の書き方|反論のポイントを弁護士が解説

交際相手の配偶者から、不貞慰謝料を請求する書面が突然届く。金額を見た瞬間に頭が真っ白になり、それでも「◯日以内にご回答ください」の一文だけが目に焼き付いている——。何をどう書けばよいのか分からず、手が止まってしまう方は少なくありません。

回答書は単なる返事の手紙ではなく、その後の交渉の枠組みを左右する書面です。本記事では、書く前に確認すべきこと、書いてはいけない表現、反論の組み立て方、書式と送付方法を横浜の弁護士が解説します。

不貞慰謝料の請求に「回答書」を出す意味

法律上、届いた請求書に回答する義務はありません。しかし無回答のまま期限を過ぎると、相手方が交渉による解決を断念して訴訟に踏み切ることがあり、話し合いの段階なら実現できたはずの柔軟な条件(分割払い、口外禁止条項など)も確保しにくくなります。

他方で、回答書は一度出せば取り消せず、訴訟になれば書証として提出されることもあります。届いた書面への初期対応全般は、不貞慰謝料の内容証明が届いたときの対応もあわせてご確認ください。

回答書を作成する前に確認すべき4つの点

1. 請求の法的根拠と立証責任の所在

不貞慰謝料の請求は、民法709条(不法行為による損害賠償)および民法710条(財産以外の損害の賠償)を根拠とするのが一般的です。民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めており、これらの要件を主張し証拠で裏づける責任は、原則として請求する側にあります。

2. 請求額が相場からどれだけ離れているか

裁判例における認容額は、婚姻期間、不貞行為の期間や回数、夫婦関係への影響(離婚・別居に至ったか)によって大きく変動します。離婚に至らない事案では比較的低額に、離婚に至った事案ではより高額になる傾向があるとされますが、あくまで幅のある目安です。詳しくは不貞慰謝料が高すぎる場合の相場との比較と減額交渉をご覧ください。

3. 消滅時効が完成していないか

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、民法724条により、①損害及び加害者を知った時から3年間、②不法行為の時から20年間と定められています。①の起算点は、原則として不貞行為の事実と相手方が誰であるかの双方を知った時と解されており、相手方が不貞を知ってから長期間が経過している事案では時効の完成が争点になりえます。

4. 相手方が示している証拠の中身

写真やLINEのやり取りが示されている場合と、証拠に一切触れていない場合とでは方針が変わります。証拠が乏しい段階でこちらから詳細な経緯を語ると、相手方に不足していた事実を補ってしまうおそれがあります。

回答書に書いてはいけないこと

支払義務を認める趣旨の記載

「支払います」「分割でなら応じられます」といった記載は、債務の承認と評価される可能性があります。民法152条は「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」と定めており、時効の完成が視野に入る事案では、この一文が結論を左右しかねません。

安易な謝罪と、事実の全面的な自認

謝罪の言葉自体が直ちに法的な自白になるわけではありませんが、「ご迷惑をおかけしました」という表現が、不貞行為の存在を前提とした認識の表れとして扱われる場合があります。判断基準は不貞慰謝料を請求されたら認めるべきかで検討しています。

感情的な反論と、事実と異なる説明

「そちらの夫婦関係に問題があった」という主張は後述のとおり法的な意味を持ちえますが、非難や侮辱の形で書くのは別問題です。また、その場を切り抜けるための説明が後から出た証拠で覆されると、主張全体の信用性が損なわれます。

回答期限への対応:請求書の回答期限は相手方が一方的に設定したもので、法的な効力はありません。ただし無視せず、「検討に時間を要するため◯月◯日までに回答する」と一報を入れておくと、訴訟提起を急がれる事態を避けられる場合があります。

反論の組み立て方:3つの層に分けて考える

回答書の内容は、次の3つの層に分けて整理すると論点の抜け漏れを防げます。

問われること主な検討事項
事実レベルどのような事実があったのか不貞行為の有無、時期、回数、示された証拠との整合
法的評価レベルその事実は違法と評価されるのか婚姻関係の破綻、既婚者であることの認識、離婚慰謝料との区別
金額レベルいくらの賠償義務が生じるのか婚姻期間、不貞期間、夫婦関係への影響、求償関係

事実レベルの反論

相手方が主張する事実のうち、認める部分と争う部分を明確にします。交際は認めるが性的関係は否認する、関係は認めるが期間・回数は事実と異なる、といった切り分けです。

法的評価レベルの反論

  • 婚姻関係の破綻:最高裁平成8年3月26日判決(民集50巻4号993頁)は、第三者が配偶者と肉体関係を持った場合でも、その当時すでに婚姻関係が破綻していたときは、特段の事情のない限り不法行為責任を負わないと判示しています。もっとも、裁判実務で「破綻」が認められるハードルは高いとされます。
  • 既婚者と知らなかった場合:民法709条は故意または過失を要件としています。相手が独身と偽っていたなど、既婚者と知らず、知らなかったことに過失もないといえる事情があれば、責任が否定される余地があります。夜職やパパ活での交際で請求を受けたケースは、夜職・パパ活の不倫慰謝料請求への対応もご覧ください。
  • 離婚に伴う慰謝料:最高裁平成31年2月19日判決(民集73巻2号187頁)は、第三者が単に不貞行為に及ぶにとどまらず、夫婦を離婚させることを意図して婚姻関係に不当に干渉するなどして離婚のやむなきに至らしめたと評価すべき特段の事情がない限り、離婚それ自体による慰謝料は請求できないとしています。

金額レベルの反論

責任自体は争わない場合でも、金額は別の検討対象です。婚姻期間が短い、不貞期間が短く回数も限られる、離婚や別居に至っていないといった事情は減額の方向に働きうるとされています。また不貞行為は不貞をした配偶者との共同不法行為(民法719条)と構成されるため、示談では求償権を放棄する代わりに支払額を抑える調整も行われます。

回答書の基本的な構成と送り方

決まった書式はありませんが、一般に次の要素を備えていれば足ります。

  • 作成日付/差出人の氏名・住所・連絡先
  • 宛先(相手方本人。代理人弁護士がついている場合はその弁護士宛て)
  • 件名と、受領した書面を特定する記載
  • 本文(認否、反論、こちらの提案)と今後の連絡方法

本文は感情を交えず、事実と評価を分けて簡潔に記載します。すべての事情を書き込む必要はなく、争点を示したうえで協議による解決を希望する旨を述べるにとどめる構成もありえます。送付方法は、届いたことを確認できる特定記録郵便や簡易書留が多く用いられます。内容証明郵便は文面まで証拠として残る反面、字数・行数の制限があり、対立的な印象を与えることもあります。文面の控えと発送記録は必ず残してください。

相手方に代理人弁護士がついている場合:本人ではなく代理人宛てに回答するのが原則です。代理人がついているのに本人へ直接連絡すると、無用のトラブルを招くおそれがあります。

自分で回答書を出す場合の限界

自分で作成すること自体は可能で、本人が作成して交渉が成立する事案もあります。もっとも、法的な意味を持つ表現とそうでない表現の区別は外形からは分かりにくく、日常的な言葉づかいのつもりで書いた一文が承認や自白として扱われることがあります。また、示談書に清算条項や求償権放棄条項が適切に盛り込まれていなければ、解決したはずの問題が後から蒸し返される可能性も残ります。

弁護士が代理人に就任すれば連絡窓口が一本化され、相手方から直接連絡が来る状態を止められます。当事務所の取扱いは不貞慰謝料請求の取扱分野ページをご覧ください。

よくある質問

不貞慰謝料の請求に対して、回答書は必ず出さなければいけませんか。

法律上、回答書を出す義務はありません。もっとも、放置すると相手方が交渉での解決を断念して訴訟を提起することがあり、何らかの形で対応の意思を示しておく意味はあります。

回答書に不貞行為を認める内容を書くと不利になりますか。

事実を認める記載は、後の交渉や訴訟で相手方の主張を裏づける資料となりえます。また、支払義務を認める記載は民法152条の「承認」にあたり、消滅時効が更新される場合があります。認める事実と争う事実を切り分けることが重要です。

回答書はどのような方法で送ればよいですか。

届いたことを確認できる特定記録郵便や簡易書留が多く用いられます。内容証明郵便は文面まで証拠として残せますが形式的な制約があります。いずれの方法でも文面の控えは必ず保管してください。

回答書を出した後に、相手から訴訟を起こされることはありますか。

相手方が納得しなければ訴訟が提起される可能性はあります。ただし、争点と立場を早い段階で示しておくことで、交渉による解決に至る場合もあります。訴状が届いたら答弁書の提出期限があるため速やかな対応が必要です。

まとめ

回答書は、返事の体裁を整えるための書面ではなく、その後の交渉の枠組みを決める最初の一手です。書き始める前に、請求の法的根拠と立証責任の所在、請求額と相場との距離、消滅時効(民法724条)の成否、示された証拠の中身という4点を確認してください。

そのうえで事実・法的評価・金額の3層に分けて反論を組み立て、自らの立場を狭める表現を避けることが要点になります。回答書は一度出すと撤回できませんので、迷う点がある段階で弁護士に相談しておくことをおすすめします。

不貞慰謝料を請求され、回答書の作成にお困りの方へ

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料を請求された側の対応について多数のご相談を承っております。回答書の作成から減額交渉、示談書の締結まで、横浜の弁護士が一貫して対応いたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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