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削除仮処分の担保金は返ってくる?自分で取り戻す手続を弁護士が解説

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削除仮処分の担保金は返ってくる?自分で取り戻す手続を弁護士が解説

削除仮処分の担保金は返ってくる?自分で取り戻す手続を弁護士が解説

削除仮処分の担保金は返ってくる?自分で取り戻す手続を弁護士が解説

ネット上の誹謗中傷を削除するために投稿記事削除仮処分を申し立て、裁判所の指示に従って法務局に担保金(供託金)を納めた——。決定が出てサイト運営者が投稿を削除し、ひとまず問題は解決した。ところが、そのまま何か月経っても、預けた担保金が戻ってくる気配がない。そんな状態のまま放置している方は少なくありません。

担保金は、何もしなければ自動的には返ってきません。取り戻すには、裁判所に対する「担保取消し」の申立てと、法務局に対する「払渡請求」という二段階の手続を、自分から起こす必要があります。この記事では、担保取消しの3つのルートの違い、自分で申し立てる場合の手順と必要書類、かかる期間の目安を、裁判所が公表している資料をもとに整理します。

削除仮処分の担保金(供託金)とは何か

民事保全法14条1項は、保全命令は「担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる」と定めています。投稿記事の削除を求める仮処分でも、実務上は担保を立てることを条件に決定が出されるのが通常です。

この担保は、仮処分が後に不当であったと判明した場合に、相手方(債務者)が被る損害の賠償を確保するためのものです。担保の額は事案ごとに裁判所が定めるため一律ではなく、申立て全体の流れは削除仮処分を自分で申し立てる方法を解説した記事で触れています。

担保金は「担保取消し」を経なければ戻らない

担保金は、多くの場合、法務局(供託所)に現金を供託する方法で立てられます。供託された金銭は供託所が保管しており、供託した人が窓口に行けば返してもらえるという性質のものではありません。

民事保全法には担保の取消しに関する規定が置かれておらず、同法4条2項により民事訴訟法79条が準用されます。同条の定める事由に当たることを裁判所に認めてもらい、担保取消決定を得たうえで、その確定を示す書面を供託所に提出して、はじめて払渡しを受けられるという建て付けです。

担保取消しの手続は、令和8年5月21日に始まった民事訴訟の全面電子化の対象から、一部の例外を除いて外されています。東京地方裁判所民事第9部(保全部)の案内によれば、申立ての際には従来どおり書面を提出する必要があります。

担保取消しの3つのルート——民事訴訟法79条

民事訴訟法79条は、担保取消しが認められる場合として次の3つを定めています。どのルートを使えるかによって、必要な書類も期間も変わります。

根拠条文取消しの事由主な証明書類証明書交付までの目安
79条1項担保の事由が消滅したこと(本案訴訟で全部勝訴し確定した場合など)各審級の判決正本とその写し、判決確定証明書(原本)約1か月
79条2項担保権利者(相手方)が担保取消しに同意したこと同意書、相手方の印鑑登録証明書または代理人の委任状、即時抗告権の放棄書約1週間
79条3項訴訟完結後、裁判所の権利行使催告に対し相手方が権利を行使しなかったこと(同意が擬制される)本案訴訟の終了を示す書面(未提起ならその旨の記載)、保全命令の取下書約2か月

表中の「証明書交付までの目安」は、東京地方裁判所民事第9部が公表している、申立てから供託原因消滅証明書を交付するまでの日数です。記録が同部に保管されていない場合には、取寄せのためさらに日数を要するとされています。

誹謗中傷の削除仮処分では「権利行使催告」が典型

一般の債権保全の事件では本案訴訟で勝訴して79条1項によることも多いのですが、ネット誹謗中傷の削除仮処分では事情が違います。仮処分決定が出ればサイト運営者は任意に投稿を削除するのが通常で、そこで目的が達せられてしまうため、あえて本案訴訟まで提起することは多くありません。勝訴判決はなく、相手方が進んで同意書を書いてくれるとも限らない——そこで実務上は、79条3項の権利行使催告によるルートをとることになります。

このルートには、順序についての注意があります。東京地裁民事第9部は、79条3項で申し立てる場合には先に保全事件の取下げ(執行取消し)をする必要があるとしています。取下書と担保取消申立書を同時に提出することは差し支えないものの、その場合も取下げの処理が先行するとされています。投稿が削除されて安心し、取下げをしないまま担保取消しだけを申し立てても手続は進まない、ということです。

自分で担保取消しを申し立てる手順

ステップ1 書式を入手して申立書を作成する

担保取消申立書の書式は、裁判所ウェブサイトで公開されています。債権者本人が供託した場合、支払保証委託契約による場合、第三者が供託した場合で書式が分かれているため、自分の事案に合うものを選びます。当事者の表示が「債権者・債務者」ではなく「申立人・被申立人」となる点に注意が必要です。

ステップ2 添付書類を揃える

ルートを問わず共通して必要となるのは、次の書類です。

  • 担保取消しの申立書1通(収入印紙は不要とされています)
  • 供託原因消滅証明申請書の正本と副本 各1通(証明事項1件につき収入印紙150円)
  • 同証明書の受書1通(日付欄は空欄)
  • 担保取消決定正本受書
  • 郵便切手(決定正本等の特別送達費用。東京地裁の案内では1220円×被申立人数、権利行使催告の場合は1220円×2×被申立人数)

このほか、保全命令の発令時から5年以上が経過している場合には代理人の新たな委任状、当事者の住所・氏名・商号等に変更がある場合には住民票や資格証明書が求められます。時間が経つほど揃えるべき書類が増えるため、早めに着手するに越したことはありません。

ステップ3 発令裁判所に提出する

管轄は、担保の提供を命じた裁判所と解されています。東京地方裁判所の場合、保全部・行政部・労働部が担保提供を命じた事件は民事第9部が担保取消しを担当しますが、民事執行センターやビジネス・コートに属する部が命じた事件は、当該部が担当するとされています。

ステップ4 担保取消決定の確定を待つ

担保取消しの決定は相手方に送達され、即時抗告の期間が経過すると確定します。相手方の同意によるルートでは、あらかじめ即時抗告権の放棄書を提出してもらうことで、この待ち時間を短縮できます。

ステップ5 法務局で払渡しを請求する

裁判所から供託原因消滅証明書の交付を受けたら、供託所に供託金払渡請求書を提出します。添付書類は、請求者の3か月以内の印鑑証明書、供託原因の消滅を証する裁判所の証明書(担保取消決定正本およびその確定証明書等)、法人であれば資格証明書、代理人による請求であれば委任状です。なお、供託金には供託規則33条1項の利息が付きますが、利率は令和元年10月1日以降、年0.0012パーセントです。

「簡易の取戻し」で済む場合もある

例外的に、担保取消しの手続を経ずに担保を取り戻せる場合があります。民事保全規則17条1項は、保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかである場合において、保全執行期間が経過し、または保全命令の申立てが取り下げられたときは、発令裁判所の許可により担保を取り戻すことができると定めています。この場合は担保取戻許可申立書を提出すれば足り、供託原因消滅証明申請書は不要です。ただし、削除仮処分の決定が出て相手方に送達され、実際に投稿が削除されている通常の事案では、このルートは使えません。

自分で行う場合の限界と、弁護士に依頼した場合の違い

担保取消し自体は、書式が公開されており、争いのある手続でもないため、本人でも申し立てられないものではありません。もっとも、実務上つまずきやすい点があります。どのルートを選ぶべきかは、本案訴訟を提起しているか、相手方と交渉の余地があるか、保全執行に着手しているかによって変わります。権利行使催告のルートでは保全命令の取下げが先行する必要があり、順序を誤ると手続が止まります。書類の不備や被申立人への送達ができない場合にも、裁判所から連絡があるまで手続は進まず、その分だけ資金の拘束が長引きます。

また、削除仮処分を弁護士に依頼していた場合は、担保取消しから供託金の払渡しまでを受任範囲に含めている事務所が多く、追加の負担なく処理されることもあります。依頼先を選ぶ際に確認しておくと後の手間が変わります。削除請求全般の進め方については発信者情報開示請求・削除請求の取扱分野ページを、削除仮処分が用いられることの多いGoogleマップの口コミについてはGoogleマップ口コミ・低評価の削除に関する特設ページ(横浜の当事務所の特設ページ)を、それぞれご覧ください。

よくある質問

削除仮処分の担保金は、放っておいても返ってきますか。

自動的には返ってきません。担保金は法務局(供託所)に供託されており、取り戻すには、裁判所に担保取消しの申立てを行い、担保取消決定を得たうえで、供託所に払渡しを請求する必要があります。放置している限り、供託金は供託所に留め置かれます。

担保取消しの申立てに手数料(収入印紙)はかかりますか。

東京地方裁判所民事第9部(保全部)の案内によれば、担保取消しの申立書自体には収入印紙は不要です。ただし、同時に提出する供託原因消滅証明申請書には証明事項1件につき150円の収入印紙が必要とされ、このほか担保取消決定を相手方に送達するための郵便切手がかかります。

担保金が戻ってくるまでどれくらいかかりますか。

東京地方裁判所民事第9部が公表する目安では、申立てから供託原因消滅証明書が交付されるまで、相手方の同意による場合が約1週間、本案訴訟の勝訴確定による場合が約1か月、権利行使催告による場合が約2か月とされています。誹謗中傷の削除仮処分では権利行使催告によることが多く、その後の法務局での払渡手続の日数も加わります。

供託した担保金には利息がつきますか。

供託規則33条1項に基づく利息が付きますが、その利率は令和元年10月1日以降、年0.0012パーセントです。受入れの月と払渡しの月には付されず、1万円未満の端数にも付されないため、実際に受け取れる利息はごくわずかです。

まとめ

削除仮処分で納めた担保金は、投稿が削除されて事件が事実上終わっても、それだけでは戻ってきません。民事保全法4条2項・民事訴訟法79条に基づく担保取消しの決定を得て、その確定を証する書面を供託所に提出する、という二段階の手続が必要です。誹謗中傷の削除仮処分では本案訴訟を提起しないまま終わることが多いため、権利行使催告(79条3項)によるルートが典型となり、保全命令の取下げが先行します。決して難しすぎる手続ではありませんが、ルートの選択と順序を誤ると、そのぶん資金が拘束され続けます。

Googleマップの口コミ削除を弁護士に依頼する費用と期間の記事でも触れているとおり、担保金は最終的に戻ってくる性質のお金です。費用の見通しを立てる際には「出ていく額」と「戻る額」を分けて考えることが大切です。横浜のタングラム法律事務所では、削除請求の申立てから担保金の回収までを見据えたご相談に対応しています。手続の途中で止まってしまっている方も、一度弁護士にご相談ください。

削除仮処分・担保金の手続でお困りの方へ

タングラム法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷について、投稿の削除請求・発信者情報開示請求から、仮処分の取下げ・担保取消し・供託金の回収まで一貫して対応しております。すでにご自身で申し立てられた事件についてのご相談も承ります。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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