タングラム法律事務所

削除仮処分を自分で申し立てる方法|手順・費用・担保金を弁護士が解説

削除仮処分を自分で申し立てる方法|手順・費用・担保金を弁護士が解説

削除仮処分を自分で申し立てる方法|手順・費用・担保金を弁護士が解説

削除仮処分を自分で申し立てる方法|手順・費用・担保金を弁護士が解説

削除仮処分を自分で申し立てる方法|手順・費用・担保金を弁護士が解説

ネット上の誹謗中傷投稿について、「サイトに削除依頼を出しても消してもらえない」「裁判所を使って削除させたいが、費用をかけずに自分でできないか」とお悩みではないでしょうか。任意の削除依頼に応じてもらえないとき、次の一手として使われるのが裁判所に投稿の削除を命じてもらう「削除仮処分」です。

この記事では、投稿削除の仮処分を弁護士に依頼せず自分(本人)で申し立てる場合の流れ、必要書類、裁判所に納める費用と担保金、審尋から発令までの進み方を整理します。あわせて、本人で行う場合の限界と弁護士に依頼した場合との違いにも触れます。横浜の法律事務所として、実務の視点から解説します。

削除仮処分とは|自分で申し立てることはできるのか

削除仮処分とは、名誉毀損やプライバシー侵害などにあたる投稿について、裁判所がサイト運営者(コンテンツプロバイダ)に対して暫定的に削除を命じる手続きです。民事保全法上は「仮の地位を定める仮処分」(民事保全法23条2項)に位置づけられます。通常の訴訟(本案訴訟)は判決までに長い時間がかかりますが、誹謗中傷は放置するほど被害が拡大するため、迅速に削除を実現する保全手続きが用いられます。

削除仮処分は、法律上は弁護士に依頼せず本人で申し立てることが可能です。申立人(債権者)が個人であっても手続き自体は認められています。もっとも、後述のとおり、権利侵害を裏づける疎明や申立書の作成、審尋への対応などが求められるため、実務上のハードルは決して低くありません。

被保全権利(削除を求める権利があること)と保全の必要性(暫定的に削除を命じる必要があること)は、いずれも「疎明」しなければなりません(民事保全法13条2項)。疎明とは、裁判官に一応確からしいと考えてもらえる程度の立証をいい、本案訴訟の「証明」より緩やかですが、資料の提出は必要です。

削除仮処分を自分で申し立てる全体の流れ

本人で削除仮処分を進める場合、おおまかには次のステップをたどります。

ステップ内容
①証拠の保全削除したい投稿のURL・スクリーンショット・投稿日時などを保存する
②相手方(債務者)の特定サイト運営者(法人名・所在地)を調べ、資格証明書等を準備する
③申立書・目録の作成申立書、投稿記事目録、疎明資料を準備し、管轄の裁判所へ提出する
④審尋裁判所で申立人(と相手方)の言い分を聴く期日が開かれる
⑤担保提供命令・供託裁判所が定めた担保金を供託し、供託書(写し)を提出する
⑥仮処分命令の発令削除を命じる決定が出され、運営者が投稿を削除する

削除仮処分は、争いのある権利関係について暫定的な地位を定めるものであるため、原則として口頭弁論または債務者が立ち会える審尋の期日を経る必要があります(民事保全法23条4項)。発信者情報開示の仮処分などと比べても、相手方の言い分を聴くプロセスが入る点が特徴です。手続き全体の位置づけは投稿削除を仮処分で求める方法の記事もあわせてご覧ください。

必要書類と申立書の準備

本人申立てで特に負担が大きいのが、書類の準備です。一般に次のような書類が必要になります。

  • 仮処分命令申立書:申立ての趣旨(どのような削除を求めるか)と、被保全権利・保全の必要性を記載する中心的な書面
  • 投稿記事目録:削除を求める投稿を、URL・投稿番号・投稿内容などで特定した一覧
  • 疎明資料(証拠):権利侵害を裏づける投稿ページの写し、投稿によって社会的評価が低下していることを示す資料など
  • 資格証明書:相手方や申立人が法人の場合の登記事項証明書等(原則として発行から3か月以内のもの)

投稿記事目録では、どの投稿を削除するのかを第三者が見て特定できる程度に記載する必要があります。範囲が曖昧だと、そもそも何を削除すべきかが定まらず、手続きが進みません。証拠の残し方については削除手続きの解説記事や、削除依頼を自分で送る場合の送信防止措置依頼書の書き方も参考になります。

サイト運営者が外国法人(X・Google・Metaの各サービス等)である場合は、日本の裁判所の管轄を認める旨の上申書(民事訴訟法10条の2、民事訴訟規則6条の2等)を提出します。外国法人の資格証明の取得や送達などに手間がかかり、本人で対応する難易度はさらに上がります。

削除仮処分にかかる費用と担保金

削除仮処分では、裁判所に納める手数料などの実費に加えて、「担保金」が必要になる点が大きな特徴です。

費目目安
申立手数料(収入印紙)申立て1件につき2,000円
決定正本の送達費用相手方1名につき1,220円程度(特別送達。申立人も送達を希望する場合は加算)
担保金(供託金)削除の場合は30万円程度が多い(事案により50万円程度になることも)

担保金は費用として消えてしまうお金ではなく、裁判所に預ける(供託する)保証金です。仮処分が後に不当だったと判断された場合に相手方が被る損害を担保するためのもので、手続き終了後に担保取消しの手続きを経て取り戻すことができます。もっとも、一時的にまとまった現金を用意する必要があり、金額は最終的に裁判官が事案に応じて決めます。実費自体は数千円でも、担保金として数十万円を用意する必要がある点が、本人申立てのハードルのひとつです。

審尋から発令・削除の実現まで

申立て後は、裁判所で審尋の期日が指定されます。申立人は、なぜ削除が認められるべきか(権利侵害の内容)を裁判官に説明し、必要に応じて追加の疎明資料を提出します。裁判官が被保全権利と保全の必要性を認めると、担保提供命令が出されます。指定された担保金を供託し、供託書(東京地裁の場合は写しで足ります)を提出すると、削除を命じる仮処分命令が発令されます。

多くのサイト運営者は仮処分決定を受けて任意に投稿を削除します。しかし、決定が出れば自動的に消えるわけではなく、運営者が応じない場合には間接強制(削除しない期間に応じた金銭の支払いを命じる方法)などの手続きを別途検討する必要があります。X・Instagram等のSNSでの削除・特定についてはSNSなりすまし・誹謗中傷への対応ページでも解説しています。

自分で行う場合の限界と弁護士に依頼した場合の違い

削除仮処分を本人で行うことは制度上は可能ですが、次のような点で現実的な難しさがあります。

  • 疎明・法的構成の難しさ:どの投稿が、なぜ名誉毀損やプライバシー侵害にあたるのかを法的に構成し、疎明資料とともに示す必要があります。ここが不十分だと申立ては認められにくくなります。
  • 相手方の特定と外国法人対応:運営者が海外企業の場合、資格証明の取得や管轄の上申など手続きが複雑化します。
  • 削除だけでは終わらないことがある:投稿者を特定して損害賠償まで求めたい場合、削除と並行して発信者情報開示を進める必要があります。ログの保存期間には限りがあり、削除に時間をとられている間に特定の機会を失うおそれがあります。

弁護士に依頼した場合は、申立書・目録の作成、疎明資料の整理、審尋への対応、削除と投稿者特定の並行進行までを一貫して任せられます。担保金の負担や手続きの複雑さ、特定のタイムリミットを踏まえると、少なくとも一度は弁護士に相談したうえで方針を決めることをおすすめします。損害賠償まで自分で進める場合の流れは誹謗中傷の少額訴訟の進め方もご参照ください。

よくある質問(FAQ)

削除仮処分は弁護士に頼まず本人でも申し立てられますか?

法律上、削除仮処分(仮の地位を定める仮処分)は本人でも申し立てることができます。ただし、削除を求める権利と保全の必要性を疎明する申立書の作成、投稿記事目録の特定、審尋への対応など専門的な作業が必要で、実務上は難易度が高い手続きです。

削除仮処分の担保金はいくら必要ですか?後で戻ってきますか?

インターネット関係の削除仮処分では担保金が30万円程度とされることが多く、事案によって増減し50万円程度になる場合もあります。担保金は裁判所に供託する保証金であり、手続き終了後に担保取消しの手続きを経て取り戻すことができます。金額は最終的に裁判官が判断します。

相手が海外の会社(X・Google等)でも自分で申し立てられますか?

サイト運営者が外国法人の場合でも、日本の裁判所に管轄を認める旨の上申書(民事訴訟法10条の2等)を提出して申し立てます。ただし外国法人の資格証明の取得や送達など手続きが複雑になるため、本人で行う難易度は上がります。

削除仮処分が認められればすぐ削除されますか。運営者が従わない場合は?

多くのサイト運営者は仮処分決定に任意で応じますが、応じない場合は間接強制(従わない期間に応じた金銭の支払いを命じる方法)などの手続きを検討することになります。決定が出れば必ず即座に削除されるわけではない点に注意が必要です。

削除仮処分と発信者情報開示は同時にできますか?

削除と投稿者特定は目的が異なる別の手続きです。削除は仮処分、投稿者特定は発信者情報開示命令等で進めます。ログの保存期間には限りがあるため、投稿者を特定して損害賠償まで求めたい場合は、削除と並行して早期に開示手続きを進めることが重要です。

まとめ

削除仮処分は、任意の削除依頼に応じてもらえない誹謗中傷投稿を、裁判所の力で消すための有力な手段です。制度上は本人でも申し立てられますが、被保全権利と保全の必要性の疎明、投稿記事目録の特定、審尋への対応、そして30万円程度になることが多い担保金の準備など、乗り越えるべきハードルがいくつもあります。運営者が外国法人の場合や、削除と同時に投稿者を特定して損害賠償まで求めたい場合には、手続きはさらに複雑になります。

費用を抑えるために自分で進めたいという判断は自然なものですが、疎明が不十分で申立てが認められなかったり、特定のタイムリミットを逃したりすると、かえって不利益が大きくなることもあります。方針に迷ったときは、削除と投稿者特定の両面から見通しを立てられる弁護士に、早めに相談することをおすすめします。

削除仮処分・投稿者特定でお悩みの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。削除仮処分の申立てから投稿者の特定、損害賠償まで、被害の内容に応じた最適な進め方をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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