タングラム法律事務所

意見照会書を無視・放置するとどうなる?回答しないリスクを弁護士が解説

意見照会書を無視・放置するとどうなる?回答しないリスクを弁護士が解説

意見照会書を無視・放置するとどうなる?回答しないリスクを弁護士が解説

意見照会書を無視・放置するとどうなる?回答しないリスクを弁護士が解説

ある日突然、契約しているプロバイダ(インターネット接続業者やSNS運営会社)から「発信者情報開示に係る意見照会書」という書面が届き、どう対応すればよいのか分からず不安になっている方は少なくありません。見慣れない法律用語が並び、「回答しなければどうなるのか」「無視して放置してもよいのか」と悩んでいるうちに、記載された回答期限が近づいてくる——そんな状況に置かれている方もいるでしょう。

結論から言えば、意見照会書を無視・放置することにはリスクがあります。この記事では、意見照会書とは何か、回答しない場合に何が起こるのか、回答期限の考え方、「開示に同意しない」と回答する際の注意点、そして弁護士に相談・依頼するメリットまでを、横浜の弁護士がわかりやすく解説します。

意見照会書とは何か——なぜあなたのもとに届くのか

意見照会書は、あなたの投稿によって「権利を侵害された」と主張する人物(請求者)が、あなたの氏名や住所などの発信者情報の開示を求めたことをきっかけに送られてくる書面です。

インターネット上の投稿で名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害などの被害を受けたと考える人は、投稿者を特定するために「発信者情報開示請求」を行うことができます。この請求を受けたプロバイダは、実際に情報を開示するかどうかを判断する前に、原則として発信者本人(あなた)の意見を聴かなければならないとされています(情報流通プラットフォーム対処法6条1項)。この意見を聴くための手続が「意見照会」であり、その通知が意見照会書です。

情報流通プラットフォーム対処法は、従来の「プロバイダ責任制限法」を改正・改称した法律で、2025年4月1日に施行されました。発信者情報開示請求や意見照会の基本的な枠組みは引き継がれています。

つまり意見照会書は、あなたにとって「開示に対して意見を述べる機会が与えられた」ことを意味します。この機会をどう使うかが、その後の展開を大きく左右します。

意見照会書に回答しないとどうなる?無視・放置のリスク

意見照会書を無視して何も回答しないと、どうなるのでしょうか。主なリスクは次のとおりです。

1.あなたの言い分が考慮されないまま判断される

意見照会に対して回答がない場合、発信者は「特段の主張をしないもの」として扱われるのが一般的な実務です。つまり、本来であれば「投稿は事実に基づくものだ」「正当な批評の範囲だ」といった反論ができたはずでも、その主張が一切考慮されないまま、プロバイダの判断で開示の可否が決められてしまうことになります。

2.発信者情報が開示される可能性が高まる

回答をしないこと自体が直ちに開示を意味するわけではありませんが、あなたからの反論がなければ、プロバイダは請求者の主張のみを前提に判断することになります。開示の要件を満たすとプロバイダが判断すれば、氏名・住所・電話番号などが請求者に開示されます。開示された情報をもとに、請求者は損害賠償請求(民法709条)や、場合によっては刑事告訴に進むことがあります。

3.後の交渉・裁判で不利にはたらくおそれ

照会に一切応じなかったという経緯は、その後の示談交渉や訴訟の場面で「最初から誠実に対応しなかった」という印象を与え、和解の条件や裁判官の心証に影響する可能性も否定できません。

これらを踏まえると、「よく分からないから」「関わりたくないから」といった理由で意見照会書を放置するのは得策ではありません。仮に開示を争いたい場合でも、まずは期限内に何らかの対応をすることが重要です。

意見照会書の回答期限はいつまで?期限を過ぎたら

意見照会書には回答の期限が記載されているのが通常です。この期限は、多くの場合、書面の発信日からおおむね2週間程度に設定されています。

もっとも、この2週間という日数は法律で定められた確定的な期限ではなく、プロバイダが実務上の目安として設定しているものです。開示に関するガイドラインでも、意見照会後に一定期間(2週間程度)回答がない場合には発信者が特段の主張をしないものとして扱う、という運用が示されています。

ポイント 内容
回答期限の目安 書面の発信からおおむね2週間程度(プロバイダにより異なる)
期限の性質 法定期限ではなく、プロバイダが設定する運用上の目安
期限内に回答した場合 あなたの意見がプロバイダの判断材料として考慮される
回答しなかった場合 特段の主張なしとして扱われ、プロバイダの判断で開示の可否が決まる

もし気づいたときにはすでに期限を過ぎていたとしても、あきらめる必要はありません。プロバイダがまだ開示の判断をしていない段階であれば、追加で意見を出せることもあります。期限徒過に気づいたら、できるだけ早くプロバイダに連絡し、弁護士に相談することをおすすめします。

「開示に同意しない」と回答する場合の書き方と注意点

意見照会書には通常、「開示に同意するか・同意しないか」を選ぶ欄と、理由を記載する欄が設けられています。開示を争いたい場合は「同意しない」を選び、その理由を具体的に記載することになります。

ここで注意したいのは、単に「同意しない」にチェックを入れるだけでは、あなたの言い分は伝わらないという点です。なぜ開示に応じられないのか、投稿にどのような正当性があるのかを、事実に即して具体的に述べることが大切です。たとえば次のような観点が考えられます。

  • 投稿内容が真実であり、かつ公共の利害に関わる事柄で、公益を図る目的があった(名誉毀損の違法性が否定される可能性)
  • 投稿が事実の摘示ではなく、正当な意見・論評の範囲にとどまる
  • そもそも自分が投稿者ではない、または投稿を特定できる情報がない
  • 家族・同居人など第三者が同じ回線から投稿した可能性がある
回答書に記載した内容は、後の裁判で相手方に引用されることもあります。感情的な反論や、かえって不利になりかねない事実の記載は避け、法的に意味のある主張に絞ることが望まれます。この見極めには専門的な判断が必要です。

反対に、「開示に同意する」と回答すると、プロバイダはそのまま発信者情報を請求者に開示します。争う余地がある事案かどうかを見極めないまま安易に同意すると、その後の損害賠償請求などにつながることもあるため、慎重な判断が必要です。

同意すべきか、同意しないべきか——判断の視点

どう回答すべきかは事案によって異なり、一律の正解はありません。判断にあたっては、投稿が本当に違法な権利侵害にあたるのか、争った場合の見通し、開示後に想定される請求の内容などを総合的に考える必要があります。

特に、BitTorrent(トレント)を利用した著作権侵害を理由とする意見照会は、名誉毀損などのケースとは検討すべきポイントが異なります。ダウンロード・アップロードの事実関係や、家庭内の誰が利用していたか、和解による解決の見通しなどを踏まえた対応が求められます。BitTorrentの開示請求・意見照会への対応の詳細は、こちらのページでも解説しています。

いずれの類型でも、限られた回答期限のなかで適切な方針を立てるのは容易ではありません。判断に迷う場合は、回答を出す前に弁護士に相談することが安全です。

意見照会書が届いたら弁護士に相談するメリット

意見照会書への対応を弁護士に相談・依頼することには、次のようなメリットがあります。

  • 投稿が違法な権利侵害にあたるのか、開示される可能性がどの程度あるのかについて、法的な見通しを示してもらえる
  • 「同意しない」と回答する場合に、法的に意味のある理由を的確に記載した回答書を作成できる
  • 開示された後の示談交渉や損害賠償請求への対応まで、一貫して見据えた方針を立てられる
  • 回答期限が迫るなかでの手続を、代理人としてスムーズに進められる

横浜のタングラム法律事務所では、意見照会書を受け取った発信者側の対応にも力を入れています。回答書の作成から、開示後の交渉まで、状況に応じたサポートを行っています。

よくある質問

意見照会書を無視すると必ず発信者情報が開示されますか?

必ず開示されるわけではありません。無視した場合は「発信者は特段の主張をしない」ものとして扱われ、プロバイダが独自の判断で開示の可否を決めます。開示の要件(権利侵害の明白性など)を満たさないとプロバイダが判断すれば開示されないこともありますが、あなたが持っている反論が一切考慮されないまま開示される可能性が高まります。

意見照会書の回答期限を過ぎてしまいました。もう対応できませんか?

回答期限(多くは発信から2週間程度)は法律で定められた確定的な期限ではなく、プロバイダが実務上設定している目安です。期限を過ぎていても、プロバイダがまだ開示の判断をしていない段階であれば、追加で意見を提出できる場合があります。気づいた時点で速やかにプロバイダへ連絡し、弁護士に相談することをおすすめします。

「開示に同意しない」と回答すれば開示を防げますか?

同意しないと回答するだけで開示が止まるわけではありません。同意しない旨を伝えると、多くの場合、請求者は裁判所の手続(発信者情報開示命令や仮処分・訴訟)に進みます。最終的な開示の可否は裁判所が判断します。ただし、なぜ開示に応じられないのか具体的な理由を示すことで、プロバイダや裁判所の判断に影響を与えられる可能性があります。

意見照会書に心当たりがない場合はどうすればよいですか?

心当たりがない場合でも無視は避けるべきです。家族や同居人が同じ回線を使って投稿した、Wi-Fiを第三者に使われた、身に覚えのない請求である等の事情があるなら、その事情を回答書に記載することが考えられます。事実関係の確認や回答書の作成は弁護士に相談すると安全です。

訴状や支払督促が届いた場合の期限と対応は、訴状・支払督促が届いた場合の対応と期限で解説しています。

まとめ

意見照会書は、発信者情報開示請求を受けたプロバイダが、開示の判断をする前にあなたの意見を聴くための手続です。回答しない・無視すると、あなたの言い分が考慮されないままプロバイダの判断で開示され得るほか、その後の交渉や裁判で不利にはたらくおそれもあります。

回答期限(おおむね2週間)はプロバイダが設定する目安ですが、限られた時間のなかで「同意するか・同意しないか」「どのような理由を述べるか」を適切に判断するのは簡単ではありません。とりわけ開示を争う余地がある事案では、法的に意味のある回答書を作成できるかどうかがその後を大きく左右します。意見照会書が届いて対応に迷ったら、期限内に弁護士へ相談することが、後悔しないための第一歩です。

関連する解説として、発信者情報開示請求に係る意見照会書が届いたときの対処法BitTorrent開示請求に心当たりがない時の対処法発信者情報開示でどこまでわかるか(開示される情報の範囲)もあわせてご覧ください。

意見照会書が届いてお困りの方へ

タングラム法律事務所では、ネット誹謗中傷に関する発信者情報開示請求・削除請求・損害賠償請求について、豊富な実績を有しております。開示に係る意見照会書を受け取った発信者側の回答書作成から、開示後の交渉まで、状況に応じて対応いたします。

法律相談の予約はこちら

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

発信者情報開示請求・削除請求について見る

意見照会書や損害賠償請求の通知が届いた方へのご案内

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。