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BitTorrentの開示請求は何年前まで遡る?著作権侵害の時効を解説

BitTorrentの開示請求は何年前まで遡る?著作権侵害の時効を解説

BitTorrentの開示請求は何年前まで遡る?著作権侵害の時効を解説

BitTorrentの開示請求は何年前まで遡る?著作権侵害の時効を解説

BitTorrentの開示請求は何年前まで遡る?著作権侵害の時効を解説

プロバイダから意見照会書が届いた、あるいは権利者の代理人から損害賠償請求の通知書が届いた——そのようなとき、多くの方が最初に思い浮かべるのが「これは何年前の話なのか」「もう時効ではないのか」という点です。書面の発信日時が数年前であれば、なおさら「今さらなぜ」という感覚を持たれるのは自然なことです。

しかし、BitTorrent(トレント)を用いた著作権侵害をめぐる時効は、「アップロードした日から何年」という単純な計算にはなりません。民事の時効は、権利者があなたの氏名・住所を知った時点から動き出すのが原則だからです。この記事では、条文に即して起算点と期間を整理し、時効が止まる場面と、「時効を待つ」という判断が現実的といえるのかまでを、横浜の弁護士が解説します。

BitTorrentの著作権侵害で問題になる3つの期限

時効の話が混乱しやすいのは、性質の異なる期限が同時に走っているためです。

期限の種類根拠条文期間起算点
損害賠償請求権の消滅時効(主観的)民法724条1号3年被害者が損害及び加害者を知った時
損害賠償請求権の消滅時効(客観的)民法724条2号20年不法行為の時
刑事の公訴時効刑事訴訟法250条2項4号7年犯罪行為が終わった時

これに加えて、法律上の期限ではないものの、実務上はプロバイダのアクセスログの保存期間が事実上の締切として機能します。

損害賠償請求の消滅時効——民法724条の3年と20年

不法行為に基づく損害賠償請求権について、民法724条は「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき」(1号)と「不法行為の時から二十年間行使しないとき」(2号)に時効によって消滅すると定めています。BitTorrentによる公衆送信権侵害も不法行為ですから、この規定が適用されます。

起算点は「損害及び加害者を知った時」

決定的に重要なのは、3年の起算点が「侵害があった時」ではなく「損害及び加害者を知った時」だという点です。裁判例では、この「加害者を知った時」とは、被害者において加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度に知った時を意味すると解されています(最高裁昭和48年11月16日判決)。

BitTorrentの事案で権利者が監視により把握できるのはIPアドレスと発信日時だけであり、誰に請求すればよいのかは、発信者情報開示の手続を経て契約者の氏名・住所の開示を受けて初めて判明します。したがって、3年の時効は開示を受けた時点から進行を始めると考えるのが通常です。

よくある誤解:「発信日から3年以上経っているから時効」とは限りません。発信日が4年前でも、開示が半年前であれば、時効はまだ半年しか進行していないという整理になります。

20年の期間はどう働くか

他方、民法724条2号の20年は「不法行為の時」、すなわち送信可能化・公衆送信が行われた時から数えます。2020年4月施行の改正民法により、この20年も除斥期間ではなく消滅時効であることが条文上明確にされました。もっとも、実務で争点になるのは1号の3年のほうです。

開示請求そのものに期限はあるのか

発信者情報開示の請求権について、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)に消滅時効の規定は置かれていません。しかし実際には強い時間的制約があります。アクセスプロバイダが保有するIPアドレスの割当履歴(ログ)が消去されれば、契約者の特定が物理的にできなくなるからです。保存期間は事業者や通信の種類によって異なり公表されていないことも多いのですが、無期限ではありません(ログ保存期間と消去禁止命令の解説記事)。

裏を返せば、「意見照会書が届いた」という事実自体が、権利者がログの保存期間内に手続を進めた証でもあります(BitTorrent著作権侵害の意見照会対応)。

時効が止まる・やり直しになる場面

3年という期間は、放っておけば自動的に満了するものではありません。民法は、完成を先延ばしにする「完成猶予」と、期間をゼロから数え直す「更新」を定めています。

催告——通知書が届いた場合(民法150条)

民法150条1項は、催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は時効は完成しないと定めています。権利者の代理人から届く損害賠償請求の通知書は、通常この催告にあたります。ただし効果は6か月の猶予にとどまり、同条2項により、猶予中に重ねて催告をしても効力はありません。

裁判上の請求・支払督促(民法147条)

訴訟の提起や支払督促の申立てがあると、その事由が終了するまでの間は時効は完成せず(同条1項)、確定判決等によって権利が確定したときは、その時から新たに進行を始めます(同条2項)。訴えられてしまえば、時効を理由とする解決の見込みは大きく後退します。

承認——最も注意すべき落とし穴(民法152条)

民法152条1項は、時効は権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始めると定めています。「支払います」「分割でなら応じます」といった返答や、一部だけ振り込むといった行為が「承認」と評価されると、それまで積み上がった期間が失われます。減額交渉の進め方はBitTorrentの示談金相場と減額交渉のポイントで解説していますが、開示後に損害賠償を請求された段階の対応全般は、インターネットの損害賠償請求対応のページでご案内しています。

刑事の公訴時効は7年

著作権法119条1項は、著作権等を侵害した者を10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定めています。長期15年未満の拘禁刑にあたる罪ですから、刑事訴訟法250条2項4号により、公訴時効は犯罪行為が終わった時から7年となります。民事の消滅時効とは起算点も期間も別に考えなければなりません(BitTorrentの開示請求で逮捕されるのか)。

「時効を待つ」という選択は現実的か

意見照会書や通知書が届いた段階で「時効まで黙っていよう」という判断は、多くの場合うまく機能しません。理由は3つあります。

  • 起算点が後ろにある:3年は開示を受けた時点から進行するのが通常で、発信日からの経過は直接関係しません。
  • 催告と訴訟で容易に止まる:通知書の送付で6か月の猶予が生じ、その間に提訴されれば完成はさらに遠のきます。
  • 放置に別のコストがある:意見照会に回答しなければ開示に応じるべきでない理由が記録に残らず、訴訟を放置すれば欠席判決で結論が出ます。

他方で、時効の検討自体が無意味なわけではありません。開示から相当の期間が経過している事案などでは、どの時点を起算点と見るかが結論に影響し得ます。時効は「待つ対象」ではなく「主張の一つ」として、他の防御方法とあわせて検討すべきものです。

よくある質問

BitTorrentの利用が5年前なら、もう請求されませんか。

5年が経過していても、直ちに時効が完成しているとはいえません。民法724条1号の3年は「損害及び加害者を知った時」から進行し、権利者が氏名・住所を知るのは開示を受けた後であるのが通常だからです。同条2号の20年も、発信日から20年が経過していなければ完成しません。

意見照会書が届いてから何もせずに放置すれば、時効で消えますか。

意見照会の段階は、権利者がまだ発信者の氏名・住所を知らない段階です。放置すればプロバイダが開示に応じる判断をしやすくなり、開示後に3年の時効が進行を始めます。反論の機会を失うだけで、解決は早まりません。

権利者から通知書が届いた時点で、時効は止まりますか。

通知書による請求は民法150条1項の「催告」にあたり、その時から6か月を経過するまでの間は時効が完成しません。ただし完成猶予にとどまり、同条2項により、猶予中に重ねて催告をしても効力はありません。

「分割でなら払います」と伝えると、時効に影響しますか。

影響する可能性があります。民法152条1項は、時効は権利の承認があったときはその時から新たに進行を始めると定めており、支払意思の表明や一部弁済が「承認」と評価されると経過期間がリセットされます。回答の文言には注意が必要です。

民事の時効が完成すれば、刑事責任も問われませんか。

別の制度ですので連動しません。著作権法119条1項の罪は10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金であり、刑事訴訟法250条2項4号により公訴時効は犯罪行為が終わった時から7年です。

まとめ

  • 損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効消滅する(民法724条)。
  • 3年の起算点は発信日ではなく、権利者が氏名・住所の開示を受けた時点であるのが通常である。
  • 通知書は催告として6か月の完成猶予を生じさせ(民法150条1項)、提訴すればさらに完成が猶予される(民法147条)。
  • 支払意思の表明や一部弁済は「承認」として時効を更新させ得る(民法152条1項)。
  • 刑事の公訴時効は、犯罪行為が終わった時から7年である(著作権法119条1項、刑事訴訟法250条2項4号)。

時効は、条文だけを読むと単純な期間計算に見えますが、実際には「誰が、いつ、何を知ったか」という事実認定の問題です。手元の書面の発信日時、開示を受けた時期、通知書の日付を並べてみて初めて、主張できるのかどうかが見えてきます。

開示後に損害賠償請求の通知書が届いた方は、BitTorrent著作権侵害の損害賠償請求対応の詳細はこちらをご覧ください。

BitTorrentの開示請求・損害賠償請求でお困りの方へ

横浜のタングラム法律事務所では、BitTorrentの著作権侵害に係る意見照会への回答書作成から、開示後の示談交渉・示談書の締結まで、発信者側の立場での対応に豊富な実績を有しております。回答期限は限られています。まずは書面をお手元にご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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