タングラム法律事務所

Googleマップの口コミ投稿者を特定する方法|開示請求の流れを解説

Googleマップの口コミ投稿者を特定する方法|開示請求の流れを解説

Googleマップの口コミ投稿者を特定する方法|開示請求の流れを解説

Googleマップの口コミ投稿者を特定する方法|開示請求の流れを解説

Googleマップの口コミ投稿者を特定する方法|開示請求の流れを解説

身に覚えのない出来事を事実であるかのように書かれた口コミ。名指しで人格を否定するような投稿。Googleマップの口コミは検索結果にも表示されるため、店舗や事務所、クリニックにとっては売上や採用に直結する深刻な問題です。削除を申請しても通らず、「誰が書いたのかだけでも知りたい」と考える方は少なくありません。

この記事では、Googleマップの口コミ投稿者を法的手続によって特定する方法を解説します。Google LLCに対してどの手続で何を請求するのか、なぜ「ログイン時のIPアドレス」が鍵になるのか、費用と期間はどの程度か、そして特定できないのはどのような場合かまで、横浜で発信者情報開示請求を取り扱う弁護士の視点から整理します。

Googleマップの口コミ投稿者は特定できるのか

結論として、Googleマップの口コミ投稿者を特定することは可能です。ただし、Googleに問い合わせれば教えてもらえるという性質のものではありません。Googleマップを運営するGoogle LLC(アメリカ合衆国の法人)が投稿者に関する情報を任意に開示することは通常なく、裁判所の手続を経る必要があります。

その法的根拠が、発信者情報開示請求です。かつてのプロバイダ責任制限法は改正され、2025年4月1日から情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)として運用されています。同法5条1項は、権利を侵害されたとする者が、①侵害情報の流通によって権利が侵害されたことが明らかであるとき(権利侵害の明白性)、②発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき、という要件のもとで開示を請求できると定めています。

Googleマップの口コミは、Googleアカウントにログインした状態で投稿されます。そのため、後述するように「ログイン型」のサービスに特有の論点が生じ、匿名掲示板とは手続の組み立てが異なります。制度全体の見取り図は当事務所の発信者情報開示請求・削除請求の解説ページに、掲示板・SNSごとの対応の違いはサイト別の削除・投稿者特定のページにまとめています。

特定の前提となる「権利侵害の明白性」という関門

実務上、最初の関門は権利侵害の明白性です。これは単に「事実と違う」「不快だ」というだけでは足りず、名誉毀損等の権利侵害が成立し、かつ違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情がないことまで求められると解されています。たとえば「対応が遅い」「料金が高い」といった主観的な感想は、意見・論評として違法性が否定される方向に働きます。他方、「無資格者に施術させている」「保健所から指導を受けた」といった具体的な事実の摘示であって、それが真実でないのであれば、権利侵害が認められる可能性が高まります。

もっとも、裁判例のなかには、被害者に「そのような事実がおよそ存在しなかった」という不可能に近い立証まで求めるのは相当でないとして、明白性の判断を過度に厳格にすべきではないと述べたものもあります。事実無根であることを示す社内記録や台帳、対応履歴などを丁寧に積み上げることが、この関門を越える鍵になります。

評価のみでコメントを伴わない口コミについては、事実の摘示がないため権利侵害の明白性を満たしにくいという問題があります。詳しくはGoogleの星1つだけの口コミは削除できるかを解説した記事をご覧ください。

投稿者特定の手続は二段階に分かれる

Googleマップの口コミ投稿者の特定は、次の二段階で進みます。一段階目でGoogle LLCからIPアドレス等を取得し、二段階目でそのIPアドレスを割り当てていた接続プロバイダから契約者の氏名・住所の開示を受ける、という流れです。

段階相手方請求する情報用いる手続
一段階目Google LLCアカウントの電話番号・電子メールアドレス、ログイン時のIPアドレス・タイムスタンプ発信者情報開示命令(情プラ法8条)+提供命令(同法15条)、または開示仮処分
二段階目接続プロバイダ(携帯電話会社・光回線事業者等)契約者の氏名・住所発信者情報開示命令+消去禁止命令(同法16条)

Google LLCは日本に外国会社の登記をしており、その登記が東京にあることから、開示命令の申立ての管轄は東京地方裁判所となります(情プラ法10条)。実務上は東京地方裁判所民事第9部が発信者情報開示命令事件を担当しており、接続プロバイダが判明した後の二段階目の申立ても同じ裁判所に係属させることになります。

提供命令は、この二段階を切れ目なくつなぐための制度です。Google LLCに対し、保有するIPアドレス等から接続プロバイダを特定してその名称・住所を申立人に提供するよう命じるもので、従来は別々に進める必要があった手続を一連の流れとして進めることができます。詳細は提供命令の仕組みを解説した記事をご覧ください。

Googleに何を請求するか|ログイン時IPアドレスと補充性

Googleマップの口コミにおいて実務上もっとも重要なのが、「投稿時のIPアドレス」ではなく「ログイン時のIPアドレス」を請求するという点です。Googleは口コミの投稿そのものに用いられたIPアドレスを保有していないとされており、開示の対象となるのは主としてログインに用いられたIPアドレスです。これは情プラ法上「侵害関連通信」に係る情報、すなわち特定発信者情報として位置づけられます。

特定発信者情報の開示を求めるには、通常の要件に加えて、情プラ法5条1項3号の補充性の要件を満たす必要があります。同号ロは、事業者が保有する特定発信者情報以外の発信者情報が、発信者の氏名・住所や他の開示関係役務提供者を特定できる情報を含まず、総務省令で定めるもののみである場合を掲げています。

ここに実務上の落とし穴があります。発信者情報目録に「氏名」「住所」を並べて記載してしまうと、この補充性の要件を満たさないと判断され、肝心のログイン時IPアドレスの開示を受けられなくなるおそれがあるのです。そのため、Googleに対しては通常、アカウント情報として電話番号と電子メールアドレスのみを指定します。ログイン型サービス特有のこの論点については、特定発信者情報の開示請求を解説した記事で詳しく扱っています。

電話番号や電子メールアドレスを併せて請求するのには理由があります。IPアドレスから接続プロバイダを経由して契約者にたどり着けない事案が一定数あるためで、アカウントに登録された電話番号が開示されれば、そこから投稿者にたどり着ける場合があります。もっとも、電話番号を登録していないアカウントも存在するため、IPアドレスの開示請求と併用するのが安全です。

費用と期間の目安

裁判所に納める申立手数料は、発信者情報開示命令の申立て・提供命令の申立て・消去禁止命令の申立てのそれぞれについて、一申立てにつき1,000円とされています(申立人または相手方が複数の場合はその人数分)。このほか、郵便費用、Google LLCの外国会社の登記事項証明書の取得費用などの実費がかかります。

これに弁護士費用が加わります。一段階目と二段階目は別個の裁判手続となるため、それぞれについて費用が発生する体系をとる事務所が一般的です(当事務所の費用は弁護士費用のページをご覧ください)。期間については、Google LLCが提供命令に応じて接続プロバイダを回答するまでに1か月半から2か月程度を要することもあり、全体では数か月単位を見込む必要があります。

接続プロバイダの通信ログの保存期間は一般に3か月から6か月程度とされています。この期間が経過すると、たとえ一段階目でIPアドレスを取得できても投稿者にたどり着けません。ログ保存期間と消去禁止命令を解説した記事もあわせてご覧ください。

特定できないことがあるのはどのような場合か

すべての事案で投稿者を特定できるわけではありません。実務上、特定に至らない典型的な場面は次のとおりです。

  • 時間の経過:接続プロバイダの通信ログが既に消去されている場合。着手が遅れるほどこのリスクは高まります。
  • 権利侵害の明白性が認められない場合:投稿が意見・論評にとどまる、あるいは摘示された事実が真実でないことを示せない場合。
  • 回線契約者と投稿者が一致しない場合:公衆Wi-Fi、法人名義の回線、家族名義の回線などでは、契約者が判明しても投稿者本人の特定には至らないことがあります。
  • Googleが指定した情報を保有していない場合:この場合でも、投稿後のログイン時IPアドレスやログアウト時のIPアドレスへ請求範囲を広げることで、開示に至る余地があります。
  • VPN等の利用:接続元を秘匿する手段が用いられている場合、追跡が困難になることがあります。

また、削除と特定を同時に進める場合には順序への配慮が必要です。削除だけが先に実現すると、投稿者が手続の存在に気付いてアカウントを削除してしまい、特定に必要な情報が失われるおそれがあります。Googleマップの口コミ被害への対応全般については、Googleマップ口コミ・低評価の削除請求への対応ページで、削除と投稿者特定の両面から取扱いをご案内しています。

よくある質問

Googleマップの口コミ投稿者の氏名や住所は、Googleから直接開示されますか。

Google LLCが投稿者の氏名・住所を保有しているとは限らず、実務上Googleから開示を受けられるのは、アカウントに登録された電話番号・電子メールアドレスやログイン時のIPアドレスです。氏名・住所を得るには、開示されたIPアドレスをもとに接続プロバイダへ二段階目の請求を行う必要があります。

口コミの投稿から何か月経つと特定できなくなりますか。

接続プロバイダの通信ログの保存期間は一般に3か月から6か月程度とされ、これを過ぎると投稿者の氏名・住所にたどり着けなくなります。Google LLCへの申立てから接続プロバイダの特定までに1か月半から2か月程度を要することもあるため、早期の着手が重要です。

星1つだけでコメントのない口コミでも投稿者を特定できますか。

評価のみでコメントを伴わない口コミは、具体的な事実の摘示や侮辱的表現を欠くことが多く、権利侵害の明白性を満たさないと判断される可能性が高いと考えられます。もっとも、同一人物による多数の低評価が業務妨害と評価しうる場合など、事案によって判断は異なります。

削除請求と投稿者特定は同時に進められますか。

同時に進めることは可能ですが、順序には注意が必要です。削除だけが先に実現すると、投稿者が事態に気付いてアカウントを削除し、特定に必要な情報が失われるおそれがあります。実務では、削除と開示のタイミングが揃うよう手続を組み立てることが多くあります。

投稿者を特定した後、口コミを書いた人に慰謝料を請求できますか。

投稿が名誉毀損等の不法行為にあたる場合、民法709条・710条に基づき損害賠償を請求できる可能性があります。事業者の場合は営業損害を主張する余地もありますが、投稿との因果関係の立証が課題となります。特定に要した弁護士費用の一部が損害として認められる例もあります。

まとめ

Googleマップの口コミ投稿者の特定は、Google LLCに対する発信者情報開示命令と提供命令によってログイン時のIPアドレス等を取得し、続いて接続プロバイダから契約者情報の開示を受けるという二段階の手続によって行います。管轄は東京地方裁判所であり、申立手数料は各申立てにつき1,000円ですが、手続の設計そのものに専門的な判断が求められます。

とりわけ、Googleが投稿時のIPアドレスを保有していないという前提のもとで特定発信者情報の補充性をどう構成するか、発信者情報目録に何を書き何を書かないかは、開示の可否を左右する繊細な論点です。加えて、接続プロバイダの通信ログの保存期間という時間の制約があります。投稿を見つけてから相談までに数か月を費やしてしまうと、法的に正しい主張ができても投稿者にたどり着けません。弁護士に依頼する最大の利点は、証拠の保全から手続の選択、目録の作成までを一貫して短期間に組み立てられる点にあります。

タングラム法律事務所は横浜・山下公園にあり、インターネット上の権利侵害への対応を主要な取扱分野としています。Googleマップの口コミにお困りの事業者の方は、Googleマップ口コミ・低評価の削除と投稿者特定への対応はこちらもご覧ください。

Googleマップの口コミでお困りの方へ

タングラム法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷・発信者情報開示請求について豊富な取扱実績を有しております。理系・ITエンジニア出身の弁護士が、投稿の保全から削除請求・投稿者特定まで一貫して対応いたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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