【2025年最新】公正証書遺言の作り方|費用・必要書類を弁護士が解説
【2025年最新】公正証書遺言の作り方|費用・必要書類を弁護士が解説
「自分にもしものことがあったとき、家族が遺産で揉めないようにしておきたい」「特定の人に確実に財産を残したい」。そう考えて遺言書を検討し始めると、自分で書く自筆証書遺言よりも、公証人が関与する公正証書遺言のほうが安心だと耳にすることが多いのではないでしょうか。とはいえ、いざ作ろうとすると、何から手を付ければよいのか、費用はいくらかかるのか、分からないことが多いものです。
この記事では、公正証書遺言の作り方について、作成の流れ・必要書類・証人の要件・公証人手数料の費用の目安を、横浜の弁護士がわかりやすく解説します。あわせて、2025年10月から始まった公正証書の作成手続のデジタル化(オンラインでの作成)についても紹介します。確実に残る遺言書を作りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
公正証書遺言とは?自筆証書遺言との違い
公正証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がその内容を文章にまとめて作成する遺言です。作成の方式は民法969条に定められており、証人2人以上の立会いのもとで作成されます。完成した遺言書の原本は公証役場で保管されるため、紛失・改ざん・偽造のおそれがほとんどありません。
これに対して自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言です(民法968条)。手軽な一方で、形式の不備で無効になったり、保管方法によっては紛失・隠匿のリスクがあったりします。また、自筆証書遺言は原則として家庭裁判所での検認が必要ですが、公正証書遺言は検認が不要で、相続開始後すぐに手続きに使えます。
| 比較項目 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成者 | 公証人(証人2人以上が立会い) | 遺言者本人が自書 |
| 保管 | 公証役場で原本を保管 | 本人・法務局の保管制度など |
| 無効になるリスク | 低い | 形式不備で無効となる場合がある |
| 家庭裁判所の検認 | 不要 | 原則必要(法務局保管の場合は不要) |
| 費用 | 公証人手数料がかかる | 作成に費用はかからない |
公正証書遺言の作り方|作成の流れ
公正証書遺言は、おおむね次のような流れで作成します。財産の内容や相続人の状況によって前後しますが、全体像を把握しておくと準備がスムーズです。
- ①遺言の内容を検討する:誰に、どの財産を残すのかを整理し、遺留分にも配慮しながら方針を決めます。
- ②必要書類を集める:戸籍謄本や印鑑登録証明書、不動産の資料など(次章参照)を準備します。
- ③公証役場と打合せをする:希望内容と資料を伝え、公証人に文案を作成してもらいます。
- ④証人2人を確保する:作成当日に立ち会う証人を手配します。
- ⑤当日に署名・押印する:公証人が内容を読み聞かせ、遺言者と証人が確認して署名・押印し、完成します。
作成後、遺言書の原本は公証役場で保管され、遺言者には正本・謄本が交付されます。
公正証書遺言の作成に必要な書類
必要書類は事案によって異なりますが、一般的には次のようなものが求められます。詳しくは作成を依頼する公証役場で確認してください。
- 遺言者本人の印鑑登録証明書(運転免許証やマイナンバーカードで代える場合もあります)
- 遺言者と相続人の関係が分かる戸籍謄本
- 相続人以外に遺贈する場合は、その人の住民票など
- 不動産がある場合は、登記事項証明書と固定資産評価証明書(または固定資産税納税通知書)
- 預貯金・有価証券などの資料(通帳の写しなど)
- 証人予定者の氏名・住所・生年月日・職業が分かるもの
証人の要件|2人以上が必要・なれない人に注意
公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要です(民法969条1号)。証人は、遺言者が本人であること、遺言者が自らの意思で遺言の内容を述べたことなどを確認する役割を担います。
ただし、民法974条により、次の人は証人になることができません。
- 未成年者
- 推定相続人および受遺者、これらの配偶者・直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人
配偶者や子など、遺言で財産を受け取る立場の人は証人になれない点に注意が必要です。適切な証人が身近にいない場合は、公証役場で紹介を受けられることがあるほか、弁護士に依頼して証人を手配してもらう方法もあります。
公正証書遺言の費用|公証人手数料の目安
公証人に支払う手数料は、政府が定める公証人手数料令(令和7年政令第263号)で決められています。遺言公正証書の基本手数料は、相続・遺贈する財産の「目的の価額」に応じて次のとおりです。
| 目的の価額 | 基本手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円(50万円以下は3,000円) |
| 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 1万3000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 2万円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 2万6000円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 3万3000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 4万9000円 |
ポイントは、財産を受け取る人ごとに手数料を計算し、それを合算する点です。たとえば妻に6,000万円、長男に4,000万円を相続させる場合、妻の分は4万9000円、長男の分は3万3000円となり、合計8万2000円となります。
さらに、1通の遺言公正証書における目的価額の合計が1億円以下のときは、遺言加算として1万3000円が加算されます(2025年10月の改正で1万1000円から1万3000円になりました)。上記の例では、8万2000円に遺言加算1万3000円を加えた9万5000円が手数料の目安です。このほか、正本・謄本の交付手数料などがかかります。公証人が出張して作成する場合には、手数料の加算に加え、日当や旅費が必要になることもあります。
2025年10月開始|公正証書遺言のデジタル化
2025年(令和7年)10月1日から、公証人法の改正に伴い、公正証書の作成手続がデジタル化されました。これにより、公正証書遺言についても次のような対応が可能になっています。
- オンラインでの作成:Web会議システムを利用し、公証役場に出向かずに自宅などから遺言を作成できる仕組みが導入されました。高齢・病気・遠方在住などで足を運ぶのが難しい方の負担軽減が期待されます。
- 電子データでの保存・交付:作成された遺言は電磁的記録として保存され、正本・謄本の電子交付を選ぶこともできるようになりました。
もっとも、利用にあたっては本人確認や意思確認の方法など一定の条件があり、すべての事案でオンライン作成が使えるとは限りません。利用を検討する場合は、事前に公証役場へ確認することをおすすめします。
遺言を作るときに気をつけたい「遺留分」
公正証書遺言であっても、内容の作り方によっては相続開始後に紛争が生じることがあります。その代表例が遺留分です。兄弟姉妹以外の相続人には、法律上最低限保障された遺産の取り分である遺留分があり、これを侵害する内容の遺言をしても遺言自体が無効になるわけではありませんが、遺留分を侵害された相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
「特定の子にすべてを相続させたい」といった希望がある場合でも、遺留分に配慮した内容にしておくことで、残された家族間の争いを防ぎやすくなります。作成後に事情が変わったときは、遺言書の撤回・書き直しで内容を変更することもできます。費用を抑えたい場合は、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する方法もあります。
よくある質問(FAQ)
Q1.公正証書遺言は自分ひとりで作れますか?
公正証書遺言は、遺言者本人のほかに証人2人以上の立会いのもとで作成する必要があります(民法969条)。文案は公証人が作成し、公証人が方式に従って証書を作りますので、遺言者ひとりだけで完結させることはできません。証人には推定相続人や受遺者などがなれないため、あらかじめ適切な証人を確保しておくことが必要です。
Q2.公正証書遺言の費用はいくらかかりますか?
公証人に支払う手数料は、相続・遺贈する財産の価額に応じて公証人手数料令で定められています。たとえば目的の価額が3,000万円を超え5,000万円以下の場合の基本手数料は3万3000円です。これに、目的価額の合計が1億円以下のときは遺言加算として1万3000円が加算されます(2025年10月改正後)。財産を取得する人ごとに手数料を計算するため、受遺者の人数などにより総額は変動します。
Q3.証人が見つからない場合はどうすればよいですか?
適切な証人が身近にいない場合は、公証役場で証人を紹介してもらえることがあります。また、弁護士などの専門家に遺言作成を依頼すると、証人の手配も含めて対応してもらえるのが一般的です。証人には守秘義務の観点からも信頼できる人を選ぶことが望ましいといえます。
Q4.体が不自由で公証役場に行けない場合でも作成できますか?
公証人が自宅や病院・施設へ出張して作成する方法があるほか、2025年10月からは作成手続のデジタル化により、Web会議システムを用いて公証役場に出向かずに作成できる仕組みも導入されました。出張の場合は手数料の加算や日当・旅費がかかることがあります。利用の可否や条件は事前に公証役場へご確認ください。
まとめ
公正証書遺言は、公証人が関与して作成し原本が公証役場で保管されるため、無効になりにくく、紛失・改ざんのおそれが少ない確実性の高い遺言方式です。作成には、証人2人以上の確保、戸籍や不動産資料などの必要書類の準備、財産額に応じた公証人手数料の負担が必要になります。2025年10月からは作成手続のデジタル化も始まり、公証役場に出向くのが難しい方の選択肢も広がりました。
一方で、遺留分に配慮しない内容の遺言は、かえって相続人間の紛争の火種になりかねません。誰にどの財産を残すか、どのような文言にすれば意図が正確に実現できるかは、財産や家族関係によって大きく異なります。将来の争いを防ぐ遺言を確実に残したい場合は、設計段階から弁護士に相談することで、遺留分や相続税も見据えた内容にしやすくなります。なお、税金の詳細については税理士や税務署にもご確認ください。
確実に残る遺言書を作りたい方へ
タングラム法律事務所では、相続や遺留分侵害額請求の事案について豊富な実績を有しております。公正証書遺言の内容設計から遺留分への配慮まで、将来の紛争を見据えた遺言作成をサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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