タングラム法律事務所

不倫慰謝料の求償請求をされたら?負担割合と対応を弁護士が解説

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不倫慰謝料の求償請求をされたら?負担割合と対応を弁護士が解説

不倫慰謝料の求償請求をされたら?負担割合と対応を弁護士が解説

不倫慰謝料の求償請求をされたら?負担割合と対応を弁護士が解説

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年10月5日 最終更新日:2026年10月5日

不倫が配偶者に知られ、夫婦の間ではひとまず話がついたと思っていたところ、今度はかつての不倫相手から「慰謝料を全額払ったので、あなたの負担分を払ってほしい」と請求された――。このような「求償請求」を受け、支払わなければならないのか、いくら払えばよいのか分からず戸惑う方は少なくありません。

この記事では、不倫相手から求償請求を受けた側の立場から、求償権の仕組み、負担割合の考え方、請求を受けたときに確認すべきポイント、交渉の進め方を、横浜の弁護士が解説します。反対に、慰謝料を支払って求償を検討している方にも参考になる内容です。

結論として、不倫相手が配偶者に慰謝料を支払った場合、不倫をした配偶者は、負担割合に応じて求償請求を受ける可能性があります。ただし、支払額が相当な慰謝料額を超えていないか、示談書で求償権が放棄されていないか、負担割合は妥当か、時効が完成していないかによって、支払うべき額は変わり、支払義務がない場合もあります。請求額をそのまま受け入れる前に、これらの点を確認することが重要です。

不倫慰謝料の求償権とは

不貞行為(不倫)は、不倫をした配偶者と不倫相手が共同して、もう一方の配偶者の権利を侵害する「共同不法行為」と考えられています(民法719条1項)。そのため、被害を受けた配偶者は、2人のどちらに対しても慰謝料の全額を請求することができます。

一方、2人の間では、それぞれに「負担部分」があります。たとえば、慰謝料の総額が200万円で負担割合が5対5であれば、各自の負担部分は100万円です。不倫相手が200万円全額を支払った場合、不倫相手は不倫をした配偶者に対し、その負担部分である100万円の支払を求めることができます。これが求償権です。

共同不法行為者の間の求償について、判例は、過失の割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときに、その超える部分を求償できるとする考え方をとってきました(最判昭和63年7月1日民集42巻6号451頁参照)。2020年4月施行の改正民法442条1項は、連帯債務について「自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず」求償できると定めましたが、共同不法行為にこの規定がそのまま当てはまるかについては見解が分かれています。求償権の基本的な仕組みは、不貞慰謝料における求償権の基礎知識でも解説しています。

求償請求を受けやすい典型的なケース

求償請求が問題になるのは、主に次のような場面です。

場面求償の向き
配偶者が不倫相手だけに慰謝料を請求し、不倫相手が全額を支払った不倫相手 → 不倫をした配偶者
離婚の際、不倫をした配偶者が慰謝料を全額支払った不倫をした配偶者 → 不倫相手
ダブル不倫で、双方の配偶者から請求を受けた4人の間で求償関係が複雑になる

特に多いのは、夫婦が離婚せずに関係を修復し、配偶者が不倫相手だけに慰謝料を請求したケースです。この場合、不倫相手が支払った後で求償請求をすると、結局は夫婦の家計からお金が出ていくことになります。ダブル不倫の場合の注意点は、ダブル不倫で相手の配偶者から慰謝料を請求された場合の対応をご覧ください。

求償の負担割合はどう決まるか

負担割合について、法律に決まった数字はありません。話合いで合意できなければ、最終的には裁判所が事案ごとの事情を考慮して判断します。考慮される主な事情は次のとおりです。

  • 不貞関係を主導したのはどちらか(誘った側、関係の継続を求めた側など)
  • 婚姻関係にあり、配偶者に対して貞操を守る立場にあったのは誰か
  • 既婚者であることを隠したり、「離婚する」と言って関係を続けたりした事情があるか
  • 不貞の期間・回数や、発覚後の対応

実務上は5対5を目安に交渉が始まることが多い一方、裁判例の中には、婚姻関係を守るべき立場にあった配偶者の責任をより重く見て、配偶者側の負担割合を大きく認めたものもあります。どちらに有利な事情があるかを具体的に整理することが、交渉の出発点になります。

求償請求を受けたときに確認すべき4つのポイント

1. 支払われた慰謝料額は相当か

求償の計算では、実際に支払われた額ではなく、相当と考えられる慰謝料額を基準に負担部分を算定する扱いがされることがあります。不倫相手が相場を大きく上回る金額を支払っていた場合、その全額を基準に負担割合を計算することには異論を述べる余地があります。示談書や振込記録などで、実際に支払われた金額と時期を確認しましょう。

2. 示談書に求償権放棄の条項がないか

不倫相手と配偶者の間の示談書に「求償権を行使しない(放棄する)」という条項があれば、求償請求は認められない可能性が高くなります。示談書の写しの提示を求め、条項の有無と文言を確認してください。示談書の主な条項は不貞慰謝料の示談書にサインする前の確認点で解説しています。

3. 自分の分の慰謝料が免除されていないか

配偶者が、離婚協議などで不倫をした配偶者に対する慰謝料請求を免除している場合、その免除の効力が不倫相手の債務にも及ぶかどうかは、免除をした人の意思によって判断されます(最判平成10年9月10日民集52巻6号1494頁)。免除の効力が及ぶと評価されれば、求償できる額に影響する可能性があります。

4. 時効が完成していないか

求償権は、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年で時効により消滅します(民法166条1項)。一般には、不倫相手が慰謝料を支払った時期が目安になります。ただし、支払の約束や一部の支払をすると時効が更新されることがあるため(民法152条1項)、古い請求であっても安易に支払を約束しないよう注意が必要です。

求償請求への対応と交渉の進め方

求償請求を受けたら、次の手順で対応するのが一般的です。

  • 無視しない:放置すると、訴訟を起こされ、主張する機会がないまま請求どおりの判決が出るおそれがあります
  • 資料を集める:示談書、振込記録、請求書面、不貞関係の経緯が分かるやり取りなどを確認します
  • 負担割合の根拠を整理する:関係を主導したのはどちらか、既婚者であることをどう伝えていたかなど、自分に有利な事情を整理します
  • 書面で回答する:感情的なやり取りは避け、支払う場合の金額・方法と、清算条項(他に債権債務がないことの確認)を含む合意書の作成を求めます

夫婦が離婚せずに生活している場合は、求償の問題を夫婦でも共有しておくことが大切です。配偶者に知られないまま支払おうとすると、後で新たなトラブルになりかねません。当事務所の不貞慰謝料事件への取り組みは、不貞慰謝料請求(請求する側・請求された側)の取扱分野ページでご紹介しています。

慰謝料を支払う側の立場で示談をする場合は、後の求償トラブルを防ぐため、求償権をどう扱うか(行使するのか、放棄して慰謝料を減額してもらうのか)を示談書で明確にしておくことが重要です。

よくある質問

不倫相手から求償請求されたら、必ず支払わなければなりませんか?

必ずではありません。不倫相手が支払った額が相当な慰謝料額の範囲内か、示談書で求償権を放棄していないか、負担割合が妥当か、時効が完成していないかなどを確認し、請求額が過大であれば減額を求めることができます。

求償の負担割合は必ず5対5になりますか?

決まった割合はありません。不貞関係を主導したのはどちらか、婚姻関係にある配偶者の責任をどう評価するかなどの事情によって判断され、裁判例でも5対5とするものから、不貞をした配偶者の負担を大きく認めるものまであります。

夫婦が離婚していない場合でも求償請求はされますか?

法律上は可能です。ただし、夫婦が同じ家計で生活している場合、求償に応じると慰謝料の一部が家計から出ていくことになるため、示談の段階で不倫相手が求償権を放棄し、その代わりに慰謝料を減額するという解決がとられることも多くあります。

求償権に時効はありますか?

あります。求償権は、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年で時効により消滅します(民法166条1項)。一般には、不倫相手が慰謝料を支払った時期が起算の目安になります。

まとめ

  • 不貞行為は共同不法行為とされ、慰謝料を支払った不倫相手は、不倫をした配偶者に負担部分を求償できる
  • 負担割合に決まった数字はなく、関係を主導した側や配偶者としての責任などを考慮して判断される
  • 支払額の相当性、求償権放棄条項の有無、免除の有無、時効を必ず確認する
  • 無視は避け、書面で根拠を示して交渉し、支払う場合は清算条項入りの合意書を作る

求償請求は、元の慰謝料の示談の内容や夫婦関係の状況によって、取るべき対応が大きく変わります。弁護士に依頼すれば、示談書の確認から負担割合の主張、合意書の作成までを任せることができます。横浜を拠点とするタングラム法律事務所では、慰謝料を請求された方・求償の問題を抱える方からのご相談にも対応しています。

不倫慰謝料の求償請求でお困りの方へ

タングラム法律事務所では、不貞慰謝料の請求する側・請求された側の双方について、示談交渉から訴訟まで数多くの事件を取り扱っております。求償請求への対応や負担割合の交渉について、お早めにご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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