タングラム法律事務所

誹謗中傷で訴えられたら|訴状・答弁書の期限を弁護士が解説

誹謗中傷で訴えられたら|訴状・答弁書の期限を弁護士が解説

誹謗中傷で訴えられたら|訴状・答弁書の期限を弁護士が解説

誹謗中傷で訴えられたら|訴状・答弁書の期限を弁護士が解説

誹謗中傷で訴えられたら|訴状・答弁書の期限を弁護士が解説

ネット上の投稿について発信者情報が開示され、示談の交渉が続いていた。あるいは、通知書を受け取ったものの、どう答えてよいか分からないまま時間が過ぎていた。そうしたところへ、裁判所から封筒が届く。裁判所の書面は特別送達で送られるため、不在通知を受け取りに行って初めて中身を知る方も少なくありません。

この記事では、誹謗中傷を理由に訴えられた方に向けて、届いた書面の見分け方、答弁書の提出期限、期日に出頭しなかった場合に何が起こるか、支払督促を受けた場合の2週間の期限、遠方の裁判所から届いた場合の考え方を整理します。手続ごとに期限の意味が違うため、まずは書面の種類を確かめてください。

まず、届いた書面がどれかを確かめる

「訴えられた」と一口に言っても、実際に届く書面にはいくつかの種類があります。差出人が裁判所なのか相手方なのかで、期限の重みが変わります。

書面差出人期限何もしなかった場合
損害賠償請求の通知書・内容証明相手方またはその代理人弁護士2週間程度と書かれていることが多い直ちに法的な効果は生じないが、交渉が打ち切られ次の段階に進む
訴状・口頭弁論期日呼出状裁判所呼出状に記載された答弁書の提出期限原告の請求どおりの判決が出ることがある
支払督促簡易裁判所の裁判所書記官送達を受けた日から2週間仮執行宣言が付され、強制執行が可能になり得る
少額訴訟の訴状簡易裁判所期日および移行申述の時期原則として1回の期日で判決に至る

相手方の代理人から届く通知書の段階での対応は、誹謗中傷で損害賠償を請求されたときの対応を扱った記事にまとめています。この記事は、そこから一歩進んで裁判所の手続に入った段階を扱います。

訴状が届いた場合——答弁書の提出期限と欠席のリスク

訴状には、口頭弁論期日呼出状と答弁書の書式が同封されているのが通常です。呼出状には第1回口頭弁論期日の日時と、答弁書の提出期限が記載されています。提出期限は期日の1週間程度前に設定されていることが多いのですが、実際の日付は必ず届いた書面の記載で確認してください。

ここで最も重要なのは、何もしないまま期日を迎えると、争っていないものとして扱われる余地があるという点です。裁判所も、被告が最初の期日に出頭せず、答弁書等において原告の請求を争う意思を明らかにしていない限り、原告の請求どおりの判決が出ることがあると案内しています。

金額に納得できない場合でも、「支払わない」という意思表示をしないまま放置すると、請求額がそのまま認められた判決が出てしまうことがあります。争う姿勢を示すこと自体に、期限があると考えてください。

答弁書には何を書くのか

答弁書の基本的な構成は、請求の趣旨に対する答弁(請求を棄却するよう求めるかどうか)と、訴状に書かれた事実に対する認否です。認否は、事実の一つひとつについて「認める」「否認する」「知らない」を明らかにする作業になります。

注意が必要なのは、いったん認めた事実が、その後の審理の前提として扱われる点です。投稿したこと自体は事実でも、その内容が名誉毀損にあたるかは別の評価の問題です。事実の認否と法的評価を切り分けずに書くと、争える部分まで自ら手放すことになりかねません。

どの部分に争う余地があるのかは、事案によって異なります。摘示された事実が真実である場合や、公共の利害に関わる事柄について公益を図る目的で述べた場合には、違法性が阻却されることがあります。この点は名誉毀損が成立しない場合の3要件を扱った記事で詳しく説明しています。

支払督促が届いた場合——2週間という期限の意味

支払督促は、簡易裁判所の裁判所書記官が、債務者の言い分を聞かないまま金銭の支払いを命じる手続です(民事訴訟法382条以下)。審理を経ずに発せられるところに特徴があります。

これに対しては、送達を受けた日から2週間以内に督促異議を申し立てることができます。異議を申し立てれば、事件は通常の訴訟手続に移行し、裁判官があらためて請求の当否を審理します。異議の申立てそのものに、詳細な理由を書くことは求められていません。

一方、この期間内に異議を申し立てないと、相手方の申立てにより仮執行宣言が付されます。仮執行宣言が付された支払督促についても、送達から2週間以内であれば督促異議を申し立てられますが、それも経過すると確定判決と同一の効力を持つことになります。給与や預金の差押えといった強制執行の根拠になり得るということです。

支払督促は書面が薄く、軽い通知のように見えることがあります。しかし期限を過ぎたときの効果は、訴訟の判決と変わりません。

少額訴訟で訴えられた場合——通常の手続に移せる

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる簡易裁判所の手続で、原則として1回の期日で審理を終えて判決に至ります。判決に対する不服申立ては異議の申立てに限られ、控訴はできません。

被告には、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をする権利が認められています(民事訴訟法373条1項)。ただしこの申述は、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、またはその期日が終了した後はできません。期日に臨む前に判断しておく必要があるということです。

1回で終わる手続は、主張と証拠を整理する時間が取りにくい面があります。投稿の違法性そのものを争いたい事案では、通常の手続に移したうえで審理を受けるほうが適切な場合があります。

遠方の裁判所から届いた場合

ネット上の投稿をめぐる事件では、相手方が遠方に住んでいることが珍しくありません。損害賠償請求の訴えは、被告の住所地を管轄する裁判所(民事訴訟法4条)のほか、義務履行地を管轄する裁判所(同法5条1号)にも提起できます。金銭債務は原則として債権者の住所地で履行するものとされているため、結果として原告の住所地の裁判所に訴えられることがあり得ます。不法行為地の裁判所(同法5条9号)にも管轄が認められます。

遠方だからといって欠席してよいことにはなりません。もっとも、代理人を選任すれば本人の出頭は原則として不要になり、期日をウェブ会議の方法で行える場合もあります。当事務所は横浜にありますが、遠方の裁判所の事件も取り扱っています。距離を理由に手続をあきらめる必要はありません。

訴訟になった後でも、和解の道は閉じていない

訴えられたという事実は重く感じられますが、判決以外の解決が閉ざされたわけではありません。実務上、訴訟手続の中で和解に至って終了する事件は少なくありません。争うべき点を明らかにしたうえで支払額や支払方法を協議し、合意に至れば和解調書を作成して手続が終わります。

請求されている金額が事案に見合うものかという検討も、この段階で必要になります。とくに投稿が「死ね」といった短い罵倒にとどまる場合、名誉毀損ではなく名誉感情の侵害として扱われ、認められる慰謝料額の水準が異なってきます。この点は名誉感情侵害と開示・削除の可否の記事で整理しています。開示された後の対応全般については、損害賠償請求対応のページもご覧ください。

よくある質問

誹謗中傷の訴状を無視するとどうなりますか?

裁判所は、被告が最初の期日に出頭せず、答弁書等で原告の請求を争う意思を明らかにしていない場合、原告の請求どおりの判決を出すことがあります。訴えられた事実を争いたい場合は、期限までに答弁書を提出する必要があります。

支払督促に異議を申し立てるには理由が必要ですか?

督促異議の申立て自体に、詳細な理由の記載は求められていません。送達を受けた日から2週間以内に申し立てれば、事件は通常の訴訟手続に移行し、あらためて請求の当否が審理されます。理由はその訴訟の中で主張することになります。

遠方の裁判所から訴状が届きました。必ず出頭しなければなりませんか?

損害賠償請求は、被告の住所地のほか、義務履行地(原則として原告の住所地)や不法行為地の裁判所にも提起できるため、遠方の裁判所に訴えられることがあります。代理人を選任すれば本人の出頭は原則として不要で、期日をウェブ会議で行える場合もあります。

答弁書は自分で書いてもよいのでしょうか?

被告本人が作成することもできます。ただし答弁書に書いた認否は、その後の審理の前提として扱われます。認めるつもりのない事実を認めた形になると、後から撤回することは容易ではありません。期限が迫っている場合は、まず請求を争う意思を示す答弁書を提出し、詳細な主張を追って行う方法もあります。

訴えられた後でも示談で解決できますか?

訴訟になった後も、和解による解決は可能です。実務上、判決に至らず訴訟上の和解で終わる事件は少なくありません。訴えられたからといって、話合いによる解決の道が閉ざされるわけではありません。

まとめ

裁判所から書面が届いたときに最初にすべきことは、それが訴状なのか支払督促なのかを確かめ、記載された期限を押さえることです。訴状であれば答弁書の提出期限、支払督促であれば送達から2週間、少額訴訟であれば最初の期日で弁論をする前まで。いずれも、過ぎてしまうと取り戻すことが難しい期限です。

そのうえで、投稿が違法と評価されるのか、請求額が事案に見合うものかを検討することになります。投稿の内容、掲載されていた場所、閲覧できた範囲といった具体的な事情の整理が必要です。当事務所は横浜に事務所を置き、開示を受けた側・請求を受けた側のご相談を扱っています。

訴状・支払督促が届いた方へ

タングラム法律事務所では、インターネット上の権利侵害を理由に損害賠償請求を受けた方の対応を数多くお引き受けしています。手続には期限があります。書面が届いた段階で、早めにご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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