タングラム法律事務所

LINEは開示請求できない?1対1のトークと弁護士会照会の違い

LINEは開示請求できない?1対1のトークと弁護士会照会の違い

LINEは開示請求できない?1対1のトークと弁護士会照会の違い

LINEは開示請求できない?1対1のトークと弁護士会照会の違い

LINEは開示請求できない?1対1のトークと弁護士会照会の違い

執筆:弁護士 安藤 一章(タングラム法律事務所/神奈川県弁護士会所属) 公開日:2026年9月25日 最終更新日:2026年9月25日

LINEで嫌がらせのメッセージが届く、LINEでやり取りしていた相手にお金をだまし取られた、LINEでしか連絡先を知らない不倫相手に慰謝料を請求したい――。インターネット上の相手を特定する方法として「発信者情報開示請求」を思い浮かべる方は多いと思いますが、実は1対1のLINEのやり取りは、この開示請求の対象になりません。

この記事では、1対1のLINEが開示請求の対象にならない理由、LINEグループやオープンチャットの場合の考え方、そして代わりに使う弁護士会照会との違いを、横浜の弁護士が解説します。

結論として、発信者情報開示請求は「不特定の者によって受信されることを目的とする」通信(特定電気通信)を対象とする制度であり、特定の相手に送る1対1のLINEはこれにあたりません。1対1のLINEの相手を特定するには、弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会により、LINEヤフー株式会社と携帯電話会社に順に照会する方法を用います。

発信者情報開示請求の対象は「特定電気通信」

発信者情報開示請求は、情報流通プラットフォーム対処法(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対応に関する法律)に基づく制度です。同法は、対象となる「特定電気通信」を、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信と定めています(2条1号)。

典型的には、X(旧Twitter)やInstagramの公開投稿、Googleマップの口コミ、5ちゃんねるなどの掲示板への書き込みがこれにあたります。誰でも閲覧できる場所への投稿だからこそ、権利侵害の被害が広がりやすく、発信者を特定する特別な制度が設けられているのです。制度の全体像は発信者情報開示請求とは?手続きの流れ・費用・期間で、法律の概要は情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)とはで解説しています。

1対1のLINEが開示請求の対象にならない理由

1対1のLINEのトークは、特定の相手に向けて送るメッセージです。メールやSNSのダイレクトメッセージと同じく、不特定の者に受信されることを目的とする通信ではないため、特定電気通信にあたりません。そのため、トークの内容がどれほど悪質でも、情報流通プラットフォーム対処法に基づく発信者情報開示請求によって相手を特定することはできません。

なお、これは「相手を特定する手続が使えない」という話であり、1対1のメッセージによる脅迫や嫌がらせが違法にならないという意味ではありません。1対1のメッセージで名誉毀損が成立するかという別の問題については、名誉毀損の「公然性」とは|DMや1対1でも成立するかで解説しています。

LINEグループ・オープンチャットの場合

LINEの機能開示請求の対象になるか(考え方)
1対1のトーク対象外(特定の相手への送信)
友人・知人の少人数グループメンバーが限られるため、対象外と判断される可能性が高い
誰でも参加できるオープンチャット不特定の者が受信し得るため、対象になり得る

オープンチャットのように誰でも参加できる場での投稿は、特定電気通信にあたると考えられる余地があります。一方、参加者が限られたグループについては、事案ごとの判断になります。グループやオープンチャットでの誹謗中傷への対処は、LINEグループ・オープンチャットの誹謗中傷への法的対処法をご覧ください。

1対1のLINEの相手を特定するには――弁護士会照会

1対1のLINEの相手を特定するために用いられるのが、弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会です。弁護士が受任している事件について、弁護士会を通じてLINEヤフー株式会社に照会し、登録電話番号などの回答を受けたうえで、携帯電話会社に契約者の氏名・住所を照会します。

LINEヤフー株式会社は、照会への対応方針を公表しており、照会の前提として、相手のプロフィール画面からの通報が必要になります。通報の方法はLINEの通報と弁護士会照会の記事で、手続の全体像はLINEしか知らない相手を特定する方法で解説しています。

発信者情報開示請求と弁護士会照会の違い

項目発信者情報開示請求弁護士会照会
根拠情報流通プラットフォーム対処法弁護士法23条の2
対象SNSの公開投稿・口コミ・掲示板など1対1のLINEなど、開示請求の対象外のもの
手続裁判所の手続(開示命令・仮処分など)弁護士会を通じた照会(裁判所を通さない)
強制力裁判所の決定に基づき開示されるなし(照会先の任意の回答)
利用できる人権利を侵害された本人(弁護士に依頼することが多い)事件を受任した弁護士のみ

弁護士会照会は裁判所を通さないぶん手続は比較的簡素ですが、強制力がないため、回答が得られない可能性もあります。インターネット上の相手方特定の手続全般については、発信者情報開示請求・削除請求の取扱分野のページもご覧ください。

どちらの手続を使うか迷ったら

同じ相手が、SNSでは誹謗中傷を投稿し、LINEでは個別に嫌がらせのメッセージを送ってくる、ということもあります。その場合は、公開された投稿については開示請求、1対1のLINEについては弁護士会照会と、手段を組み合わせることが考えられます。また、脅迫やストーカー行為にあたるおそれがある場合は、相手の特定を待たずに警察に相談することも大切です。

どの手続が使えるかは、やり取りがどの機能で行われたか、どのような請求を予定しているかによって変わります。スクリーンショットなどの証拠を保存したうえで、弁護士にご相談ください。

よくある質問

LINEで脅迫や嫌がらせのメッセージが届いています。開示請求で相手を特定できますか?

1対1のトークで届いたメッセージは、発信者情報開示請求の対象になりません。相手の特定には弁護士会照会を検討することになります。また、脅迫などの犯罪にあたる可能性がある場合は、警察への相談も検討してください。

LINEのオープンチャットでの誹謗中傷はどうですか?

誰でも参加できるオープンチャットへの投稿は、不特定の者に受信されることを目的とする通信として、発信者情報開示請求の対象になり得ると考えられます。ただし、参加が制限されている場合などは個別の判断になります。

弁護士会照会は、開示請求より簡単な手続なのですか?

裁判所を通さないため手続は比較的簡素ですが、照会先に回答を強制する手段がありません。回答が得られるかどうかは照会先の審査次第で、結果が保証されない点に注意が必要です。

開示請求と弁護士会照会の両方を使うことはありますか?

あります。たとえば、同じ相手がSNSで誹謗中傷を投稿し、LINEでも嫌がらせのメッセージを送ってくる場合には、投稿については開示請求、LINEについては弁護士会照会と、手段を使い分けることが考えられます。

まとめ

発信者情報開示請求は、不特定の者に受信されることを目的とする特定電気通信を対象とする制度であり、1対1のLINEのやり取りには使えません。誰でも参加できるオープンチャットへの投稿は対象になり得ますが、少人数のグループは個別の判断になります。1対1のLINEの相手を特定するには、弁護士会照会により、LINEヤフー株式会社と携帯電話会社に順に照会する方法を用います。

横浜のタングラム法律事務所では、開示請求と弁護士会照会の双方を取り扱っており、事案に応じて適切な手続をご提案しています。LINEの相手方特定の手続と費用は、LINEしか知らない相手の特定(弁護士会照会)の詳細はこちらをご覧ください。

LINEの相手を特定したい方へ

タングラム法律事務所では、SNSの投稿者を特定する発信者情報開示請求と、1対1のLINEの相手を特定する弁護士会照会の双方を取り扱っております。事案に合った手続をご提案いたします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。

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