タングラム法律事務所

NURO光・So-netから意見照会書が届いたら|トレント開示請求対応

NURO光・So-netから意見照会書が届いたら|トレント開示請求対応

NURO光・So-netから意見照会書が届いたら|トレント開示請求対応

NURO光・So-netから意見照会書が届いたら|トレント開示請求対応

ある日、封書で「発信者情報開示に係る意見照会書」が届く。差出人はソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社。心当たりを探すうちに、BitTorrent(トレント)という言葉と、見慣れない英数字の羅列が目に入る——NURO光やSo-netをご利用の方から、こうしたご相談をお受けすることが増えています。

この記事では、ソニーネットワークコミュニケーションズが自社の公式サイトで公表している手続情報と注意喚起をもとに、なぜ同社から書面が届くのか、書面のどこを確認すべきか、回答期限と回答後に何が起こるのかを、横浜の弁護士が整理します。同社は、大手プロバイダのなかでもファイル共有ソフトの危険性について独立したページを設けて注意喚起している数少ない事業者であり、その内容は書面を読み解くうえで大きな手がかりになります。

なぜソニーネットワークコミュニケーションズから届くのか

まず、ご自身の契約先を確認してください。NURO光・So-net光・NUROモバイルなどは、いずれもソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が提供するサービスです。発信者情報を保有し、意見照会を行うのは契約先の事業者ですから、サービス名がNURO光であっても、書面の差出人は同社の社名になるのが通常です。

BitTorrentは、ファイルを細かな断片に分け、参加者どうしが互いに断片を送り合うP2P方式の技術です。権利者側は、対象作品を配布しているネットワークに参加し、断片を送信してきた相手のIPアドレスと日時を記録します。IPアドレスだけでは個人は分かりませんから、それを割り当てていた通信事業者に契約者情報の開示を求めることになります。これが情報流通プラットフォーム対処法(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律。令和7年4月1日施行)5条に基づく発信者情報開示請求で、同社も公式サイトで、同法5条に基づく手続として案内しています。

そして同法6条1項は、開示請求を受けたプロバイダは、発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示に応じるべきかどうかについて発信者の意見を聴かなければならないと定めています。お手元の書面は、この法律上の意見聴取義務に基づくものです。あなたを非難する通知ではなく、意見を述べる機会が法律上保障されていることの表れだと捉えてください。

同社が自ら公表しているBitTorrentへの注意喚起

ソニーネットワークコミュニケーションズの特徴的な点は、請求する側への案内だけでなく、自社の利用者に向けた注意喚起ページを公開していることです。同社は「ファイル共有ソフト利用での著作権侵害増加の啓蒙活動」と題するページで、次の趣旨を明記しています。

  • 身に覚えがないにもかかわらず、第三者の著作物(漫画・AV動画・音楽等)の著作権を侵害しているとして、権利者から同社に対し、損害賠償請求を目的として発信者情報開示請求が申し立てられる事例が増えていること
  • これらの請求の多くはBitTorrent等のファイル共有ソフトの利用に起因しており、当該ソフトはダウンロードしたファイルを自己の端末を介して同時かつ自動的にアップロードする仕組みになっていること
  • したがって、ダウンロードした場合、本人の認識のないままアップロードも行っていることになること

ここが重要です。「ダウンロードしただけです」というご説明は、実感としては正しくても、技術的な仕組みの説明としては通りにくい。著作権法上、問題とされるのは主として送信可能化・公衆送信の側面であり、契約先のプロバイダ自身がその仕組みを公表している以上、単に「知らなかった」という一言で議論が終わることは期待しにくいのが実情です。この論点は「ダウンロードしただけ」は通用するか|送信可能化権との関係で詳しく解説しています。

これは一社だけの現象ではありません。総務省は令和7年11月7日、ファイル共有ソフトの不適切な利用による著作権侵害に関する注意喚起を公表しています。同省のアンケート調査によれば、令和6年にプロバイダに対して申し立てられた発信者情報開示請求(訴訟・仮処分・非訟・任意請求)の総数154,484件のうち、約95.6%に相当する147,746件が、特定のファイル共有ソフトを用いたアダルト動画の著作権侵害を内容とする事案だったとされています。届いた書面は、あなただけに起きている特殊な出来事ではありません。

窓口と手続から読み取れること

同社は、発信者情報開示請求の手続を公式サイトで公表しています。請求する側に向けた案内ですが、請求される側にとっても、何がどのように審査されているのかを知る手がかりになります。

窓口は渉外部。手続は郵送

同社は、発信者情報開示請求書に必要事項を記入のうえ、所定の書類を同梱して郵送するよう案内しており、送付先を「〒108-0075 東京都港区港南1-7-1 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 渉外部 情報流通プラットフォーム対処法申立窓口」としています。窓口の名称からも分かるとおり、この手続はカスタマーサポートの担当ではありません。サポート窓口に電話をしても、この件についての実質的な回答は得られないのが通常です。回答は書面で行うことを前提に準備を進めてください。

請求者に求められる書類

同社が請求者に求めている書類は、次のとおりです。

書類 内容
発信者情報開示請求書 所定の様式に必要事項を記入し、実印を押印したもの
印鑑登録証明書 請求書に押印した実印のもの。発行から3か月以内
権利侵害があったとする証拠 当該ページのコピー等。発信者への意見照会の際に開示する場合があるため、開示に同意する/同意しないを明確に記載して添付することとされている
本人性確認資料 運転免許証・パスポート・登記事項証明書等の公的証明書の写し(代理人の場合は委任状等も必要)

3番目の取扱いは、実務上とくに意味があります。届いた資料の一部が黒塗りであったり、そもそも添付されていなかったりする場合、それは請求者が非開示を選んだ資料である可能性があるということです。書面が偽物であることを意味するわけではありません。他方、開示に応じるかどうかを検討する側から見れば、手元の資料だけでは特定の根拠を十分に検証できない状態に置かれているとも言えます。この点は、回答書で意見を述べる際の実質的な前提になります。

auひかりをSo-netで契約している場合。auひかりは、KDDIの光回線に対してプロバイダを選んで契約する仕組みで、So-netもその選択肢の一つです。この場合、回線はauひかりでも、発信者情報を保有するのはSo-net側であり、差出人がソニーネットワークコミュニケーションズになることがあります。逆のパターンを含め、詳しくはauひかり・KDDIから意見照会書が届いた場合の対応をご覧ください。

回答期限と、書面で確認すべきこと

意見照会書には回答期限が記載されています。これは法律が定めたものではなく各社の運用として設定されるもので、事業者や事案によって長短があります。他社より短い期限が設定されることもありますので、「おおむね2週間」といった一般論ではなく、必ずお手元の書面の記載をご確認ください。郵送でのやり取りが前提となる以上、投函から到達までの日数も見込む必要があります。

書面が届いたら、まず次の項目を書き写しておくことをおすすめします。

確認する項目 なぜ重要か
回答期限・提出先 提出方法(郵送)と到達までの日数を逆算するため
整理番号・お客様番号 以後の連絡・回答書の特定に必要
発信日時(年月日・時刻) 在宅状況や端末の稼働状況と突き合わせるため。海外の監視事業者の記録は協定世界時(UTC)で作成されていることがあり、日本標準時(JST)との9時間の差の換算が正しいかは確認する価値がある
IPアドレス・ポート番号 割当ての同一性を検討する前提となる
対象著作物・ファイル名・ハッシュ値 心当たりの有無、作品数・期間の把握のため
請求者(権利者)・代理人の名称 開示後にどこから連絡が来るかの見通しを立てるため

なお、発信日時が数か月前、場合によってはそれ以上前になっていることがありますが、それ自体は珍しいことではありません。期限内の準備が難しいときの考え方は、回答期限に間に合わないとき・期限が過ぎてしまったときをご覧ください。

回答書を作るときに注意したいこと

回答書の内容は、その後の交渉や訴訟で相手方の目に触れることを前提に組み立てる必要があります。

  • 事実に反することを書かない。後から覆せば、かえって信用を損ないます。
  • 争う趣旨と、認める事実を切り分ける。技術的な特定の当否と、実際に利用していたかどうかは別の論点です。
  • 不用意に金額の話をしない。意見照会は開示の可否について意見を述べる手続であり、賠償額を協議する場ではありません。
  • 同居のご家族がいる場合の記載は慎重に。誰が「発信者」にあたるかという評価に直結します。

開示に同意しない旨を回答した場合、通常はその時点で任意に開示されることはなく、権利者が裁判所の手続(発信者情報開示命令の申立て等)に進むかどうかを判断する段階に移ります。回答後に音沙汰がないからといって、手続が終わったとは限りません。その後の流れは「開示に同意しない」と回答した後の流れで解説しています。

開示後に権利者から求められる金額について、一律の相場をお示しすることはできません。実務上は、作品の性質、送信の態様(規模や継続性)、対象期間、作品数といった要素の組合せで検討されるのが通常で、事案ごとの幅が大きい領域です。当事務所ではBitTorrent著作権侵害の意見照会対応として、回答書の作成から開示後の示談交渉まで一括して取り扱っています。開示請求を受けた側の対応全般についてはインターネット問題(書面が届いた側の対応)の解説ページもあわせてご覧ください。

よくある質問

NURO光を使っていますが、意見照会書の差出人が「ソニーネットワークコミュニケーションズ」でした。これは正しい差出人ですか。

正しい差出人と考えられます。NURO光・So-net光・NUROモバイル等は、いずれもソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が提供するサービスです。発信者情報を保有し、意見照会を行うのは契約先の事業者ですので、サービス名がNURO光であっても、書面の差出人が同社の社名になるのが通常です。同社は公式サイトで、情報流通プラットフォーム対処法に基づく申立窓口を渉外部に置いていることを公表しています。

プロバイダ自身がBitTorrentについて注意喚起しているというのは本当ですか。

本当です。ソニーネットワークコミュニケーションズは公式サイトに「ファイル共有ソフト利用での著作権侵害増加の啓蒙活動」というページを設け、BitTorrent等のファイル共有ソフトは、自らダウンロードしたファイルを自己の端末を介して同時かつ自動的にアップロードする仕組みになっており、認識のないままアップロードも行っていることになる旨を明記しています。あわせて国民生活センター・総務省・JAIPAの注意喚起も紹介されています。

添付されている証拠の一部が黒塗りになっています。書面が不正なものではないのですか。

不正を示すものではありません。同社は請求者に対し、権利侵害があったとする証拠を提出する際、その証拠が発信者への意見照会の際に開示される場合があるとして、開示することに同意する・同意しないを明確に記載して添付するよう求めています。つまり、請求者が非開示を選んだ資料は発信者に示されない取扱いが手続上想定されており、一部が伏せられていること自体は手続に沿ったものです。

回答期限が短く、書かれた日数では準備が間に合いません。どうすればよいですか。

回答期限は法律が定めたものではなく各社の運用として設定されるもので、事業者や事案により長短があります。まずお手元の書面の期限と、郵送に要する日数を確認してください。期限内の提出が難しい場合でも、放置は避け、書面記載の窓口に対して速やかに対応中である旨を書面で伝えたうえで準備を進めるのが通常の対応です。期限を過ぎた後の対応にも検討の余地は残ります。

まとめ

NURO光・So-netをご利用の方が意見照会書を受け取ったときに確認すべき順序は、①差出人と窓口(渉外部の申立窓口か)、②特定の根拠とされている発信日時・IPアドレス・ポート番号・対象作品は何か、③回答期限はいつか、の3点です。契約先であるソニーネットワークコミュニケーションズ自身が、BitTorrentはダウンロードと同時に自動でアップロードする仕組みであると公表している以上、「ダウンロードしただけ」という説明だけで議論が終わることは期待しにくい——この前提から出発する必要があります。

もっとも、技術的な特定の当否を検討し、認めるべき事実と争う余地のある事実を切り分けたうえで、後の交渉に不利益を残さない回答書を組み立てる作業には、独力では判断の難しい部分が残ります。開示された場合の示談交渉まで見据えた方針を最初の段階で決められるかどうか——ここが、弁護士に相談する実益のもっとも大きいところです。手続の全体像と費用はBitTorrent著作権侵害の意見照会対応の特設ページにまとめています。

NURO光・So-netから意見照会書が届いた方へ

横浜のタングラム法律事務所では、BitTorrent(トレント)による著作権侵害を理由とする発信者情報開示請求・意見照会書への対応を継続的に取り扱っており、ITエンジニアの経験を持つ弁護士が技術的背景を踏まえて対応します。ご相談・お打合せはオンラインで完結し、全国からご依頼をお受けしています。回答には期限がありますので、お早めにご連絡ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案についてのご判断は、弁護士にご相談ください。なお、プロバイダの受付窓口・書式・運用は変更されることがあります。手続の詳細は各社の公式情報を必ずご確認ください。

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